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勝手に1日1推し 110日目 「光が死んだ夏」

「光が死んだ夏」(1)モクモクれん     漫画

SNSで話題になっていてずっと読んでみたかったのだけれど、なかなか手に入らなかった~。しかし、ついに入手!ホラー?ホラー?ホラーなの?!いや、ファンタジー?ファンタジー?ファンタジーなの?!いや、BL?BL?BLなの?!怖面白ったです!

ある集落で暮らす少年、よしきと光。同い年の2人はずっと一緒に育ってきた。
しかしある日、よしきが光だと思っていたものは別のナニカにすり替わっていたことに確信を持ってしまう。
それでも、一緒にいたい。
友人の姿をしたナニカとの、いつも通りの日々が始まる。
時を同じくして、集落では様々な事件が起こっていき――。
新進気鋭の作家・モクモクれんが描く、未知のナニカへ堕ちていく物語、開幕。 Amazon

オープニングから、じっとり肌にまとわりつくような夏の暑さ、セミの騒々しいほどの鳴き声、自分の知っている”あの夏”を思い出します。

紙面上なのに、こんなに立体的に、時に温度さえ感じさせるように表現されているのって凄いなあって思いました!漫画って、当たり前だけど、コマと絵と文字(と物語)で作品として成り立っている訳で、本作はその全てを全力で使いきって表現しているように思います。

お話はとてもシンプル。日本古来からある入れ替わりもの、分かり易く言うと、狸や狐が人に化けて人里に下りてくるみたいな、そういう伝統的なモチーフで、本作は、異形なものが人間を乗っ取って、今まで通りそのヒト(光)に成りきって暮らしていく中で、人間の世界を脅かし始めるみたいな、”いとあやし”なストーリーです。

古風な夏の風物詩的なありがちなストーリーなんだけれど、前述の通り、立体的と言うか、3次元的に描かれており、全神経が沸き立つような仕上がりになっていて、本当に凄いです!

書き込みの密度だったり、構図だったり、視点だったり、フォントだったり、そして、それらを大きくしたり、小さくしたり、歪ませたり、傾けたり、ぼやかしたりして、嫌らしさや気味悪さをとことん突き詰めて可視化しているんです。ここまで多種多様な手法で描かれいるのって見たとがなかったので驚いたし凄く新鮮でした!!特に効果音含めフォントの使い方が効いてる~。全ページ隙がなく、圧倒的過ぎて、得体のしれない何かが溢れ出てるんじゃないかな?って思います。斜め読みなんて絶対出来ないですよ!

最初の方の、よしきと光が2人で自転車を押しながら畦道を下校している見開きのシーン、痺れます!コマ割りも最高!構図も最高!視点も最高!書き込みも最高!それを効果音が盛り上げる~!!!好き!

情報量の多さ、表現の多様さにより、頭の中で想像が膨らんで、自分の経験から体で覚えている様々な感覚を呼び起される感じがするんです。具体的なあの時、あの場所のあの感じとか、前に映画で見た、他の漫画で読んだあの感じとかと重ね合わせちゃって、心身ともにかき乱される、みたいになります。経験則から、この後、こうなるかも、ああなるかも。キャー、どきどきどきどき。みたいな。

もはや、光に入り込んだナニカの正体とか、光とよしきの関係性とか、私の中ではどうでもよくって(?)ひたすらこの世界観を味わい続けたくって、早く続きが読みたいくらいです。ウソです。今後の展開だって気になります。でも、それを上回るほど、表現方法が衝撃的でしたので、noteの中心で愛を叫ばずにはおれなかったのです、ハイ。

てか、ホラーって苦手でほぼ読んだり見たりしたことないんで、ホラー作品って大体こうよ?!ってことでしたら、悪しからず・・・。

とまぁ、色々ありますが、とにかく、密度が濃い!!書き込みがもの凄い!!本当に絵が上手くて綺麗ですので、それを眺めるだけでも価値ありって思います(褒めています)。めちゃくちゃ癖になっちゃってて、怖いのに、日に1度はペラペラめくって眺めちゃってます。POPで簡素的なカバーとは裏腹の、ダークでぎゅうぎゅうな内容のギャップもいいですね!是非読んで体感して欲しい推し作の1本となりました。こりゃ、凄いわ。

ということで、推します。






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