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勝手に1日1推し 130日目 「きつねとなぬきといいなずけ」

「きつねとたぬきといいなずけ」トキワセイイチ     漫画

えーん、読み終わってしまったあ。読み終わってしまったなんて、認めな~い!認めな~い!認めな~い(←気になる方は本編をどうぞ)!
もっと読んでたかったあ。はやく3巻を、3巻を、、、お恵みヲ~。下にもう1枚ふわふわヲ~(←気になる方は本編をどうぞ)。

こんなに読み終わりたくないって思った作品、初めてです。ほんと、1か月半くらいかけてゆ~っくり2冊を読みました。とても大切にページをめくってとても大切に一文字一文字読んでとても大切に味わいました。きつねとたぬきといいなずけ(人間)が、可愛くて可愛くて、愛おしくて愛おしくて。
ほっこりするやら、じーんとするやら。ゆるふわ3人(匹?)の関係に一喜一憂しちゃった!

最高の時間をありがとう。と言いたい!

読むのに時間をかけたのは、もちろん、大切に読み過ぎたっていうのもあるんだけれど、展開が読めないっていうのも関係していると思います。
漫画も小説もだけれど、読めば読むほど今までの経験則から大体の流れや次の予想が出来たりしてスルスル進んで行くものだけれど、それが難しいものほど物理的に読むのに時間がかかると思うんです。思いもよらなければよらない程、気が抜けないと言うか省けないと言うか。正にそれなんですよね、本作って。
ゆるかわファンタジーを超えた色即是空、空即是色感に心を奪われました!まだまだこんなにも新しい気持ちをくれる素敵な作品があることに、嬉しさと感動を噛みしめています・・・アリガトヲゴザイマス・・・

高尾山から田中のもとに突然やってきた言葉を喋るキツネとタヌキ。二匹は彼を自分たちの“いいなずけ”だと言い…おませなキツネが織りなす動物×人のユルくて深イイ現代ファンタジー

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何てことない日常に突然現れたケモノ2匹、きつねとたぬき・・・ケモノと人で何てこともなく一緒に過ごす日々・・・素敵でしょ?

きつねとたぬき(タヌロヲ)の言動は、天真爛漫で自由奔放。とにかく常識の範疇を優に超えているんです。私たちが考え得る範疇を超えた言動が可愛いくて、面白くて、興味深くて、癒されます。でもそんなん傍若無人だからこそ、人に与える影響が大きくて、名言(迷言)の数々が生まれるんだと思います。そこが本作の魅力です!!

雨が降ってきて濡れちゃうって時に、

ずぶ濡れと決まれば こっちのもんよ! 嫌なものが大丈夫になる瞬間 わたし大好き~

1巻

が、ほんと好き!覚悟を決めた後の解放感と開き直り感、気持ちがいいよね。ドヤってなる、あの清々しさはホントいい!

きつねとタヌロヲの暮らすケモノ社会にはケモノ社会のルールや考え方があって、人間のそれとは違うというベースがあります。その上にいいなずけ(田中)と接して得た人間社会の色々が乗っかってくるというイメージですかね?!徐々に人間っぽくなってくるきつねがいいんだよね~。

逆に田中の中の人間社会のルールや考え方の窮屈さやつまらなさの呪縛が、ケモノたちの姿に感化されて解かかれていく感じが、人としてとても心地良いんだよなあ。田中は特別な境遇にあるとかじゃあないです。一般的な成人男性です。それでも無意識に抱えてる社会生活における悩みとか生きにくさとかあるじゃないですか?それらから解放されていく様にホッと和むんです。

きつねもタヌロヲも子どもで、でも子どもだから常識やら何やらが分からないってことじゃなくて、子どもは子どもでも人間の子どもじゃあないってところもポイントだと思います!決して人間の子どもようには人格形成が段階的に育まれないってことなんです。
山の学校で教育を受けているんですもの。いわゆる人の発達段階とは異なるっていうのが当然であって、そこが面白いの!彼らの心は童心のようで、童心じゃないと言うか何と言うか、より本能的な?(個体差かも?)することなすこと、人から見ると理解不能で、でも時に妙に納得だったり、ひたすらちぐはぐに感じるんです。前述の通り、ケモノ社会の土台の上で行う人間の社会生活!価値観の違い!本当に興味深いです。

1巻、冒頭から田中がこのおかしな存在を受け入れちゃう理由から、心鷲掴みです。現代っ子は異世界慣れしてる!いいね!人間界もケモノ界もいいキャラばかりで好きにならずにはいられないです。
ちなみに私のお気に入りは、お風呂のエピソードで、何とも形容しがたいほこほこした気持ちになるんだなぁ。大好き!!!タヌロヲのお姉さん・・・

2巻、きつねとたぬきが山で過ごす光景と田中が町で過ごす光景が入れ子で進む形式が、社会性の違いを一目瞭然に表していて、その対比がまたいいんだよなあ。でもどちらがいい、とかは全くないんですよ~。三者(匹)三様、分かり合えないのに分かり合えるのがほっこりするんだな~。
もう、踊っちゃお!ドンック、ドンック♪
それにしても、てんぐじいは、良く耐えたな。

ケモノたちの山での暮らしぶりにも注目です。まぁ、自由!学校の授業なんて「何これ、可愛い」以外ない。よくこんな授業、思い付くよなってなります。
例えば、きつねとタヌロヲから香る人間界のお花のようないい匂い(シャンプー)に名前を付ける授業。子どもたちは考えます。
①鼻くすぐり②フワンフワン・・・結果:エンドレスくんくーん♪♪
この感性、尊敬します。

きつねの名前はあえて挙げません。1巻ラストで明かされる瞬間が最高にときめくから!!是非読んで欲しいと思います。
いつだって、匿名から信頼や責任が生じる個人的な繋がりを結ぶ名前の存在は、時別な関係の始まりですもんね~。名前が明かされるまでの描写はとても素敵で、何度だって読み返しちゃいます。
まるで宇宙のように広がる無数の点と線は、私たちの頭上にも広がっているんだと思えて心が温かくなります。

シンプルなコマ割りの中で、時折、紙面いっぱいに広がる作画が印象的で効果的で、そのバランスがいいなあって思います。3人(匹)で歩く姿。中央線に乗る2匹。電線を渡る2匹。森を駆け抜けるきつね。空を飛ぶ2匹・・・可愛すぎるんだよお。あと、擬音(?)も独特で可愛いの。「すたらか~」とか「しゅたたた」とか、フォントそのもの(手書き?)も含め、とにかく癒されます。

ちなみに、1.2話が、トキワ先生のnoteで読めます。読んだら一瞬でファンになっちゃいますよ!

文化庁メディア芸術祭マンガ部門で新人賞を受賞されたんですね!おめでとうございます!!

もうすぐ紅葉も見ごろになるし、高尾山に登ろうかなあ。きつねやタヌロヲに会えるかも~。天狗焼き食べたい!温泉入りたい!物語の舞台も親近感!!踊っちゃお!ドンックドンック♪

ということで、推します。

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