見出し画像

勝手に1日1推し 121日目 「てだれもんら」

「てだれもんら」(1)中野シズカ     漫画

なにこれ~。凄い好き~。現代版御伽草子。恋愛奇譚。こんなジャンルあったんか~?!BLはまだまだ奥深いわあ。

物の怪退治という少年漫画的プロットと恋物語という少女漫画的プロットのミスマッチの妙。決して激しいバトルや煌びやかな恋模様が描かれることはなく、淡く優しい。
実は、物の怪退治も恋もスピリチュアル(?)な繋がりであり、泡沫なものであるという共通性を持ち、どちらも理屈ではなく心で感じる存在であるという、ちっともミスマッチでなんかなくて、同調し合える小宇宙なんだってことに気付き、胸打たれ感激しました!!世界観がyabai!!
異形との共存って江戸時代味があって大好きだー。板前×庭師って、萌える!これまた江戸から続く職業~。VIVA EDO ERA~。

小料理割烹「薫風」で働く元ヤンの板前・星野トオル。“厄介”な庭の手入れを専門とする寡黙な庭師・鷹木明。週末には明の家で、ささやかな肴を作って晩酌を楽しむふたり。言葉にはしないけど漏れでちゃってるトオルの気持ち。明の本当の仕事には気づいていないけれど……。

Amazon

本作を読んで、長尾謙一郎先生の「おしゃれ手帖」を初めて読んだ時と同様の興奮を覚えました。
画力やデッサンの歪みなど、多少の違和感を凌駕する非凡なオリジナリティ、醸し出す味わい、まさに天才!!!(褒めています)
音楽界で言うと、小沢健二さんも同様かなって思うんですけど、一般的に成功者に必須かと思われる画力や歌唱力を超えたところに圧倒的に君臨する才能が凄すぎて凄すぎて凄すぎて、ハレルヤ!(褒めています)

板前トオルが作る料理が美味しそうなんだなあ。手羽元の柚子胡椒焼きなんて、今すぐ出来そうで美味しそ~。手作り梅のおにぎり・・・よだれ~。料理マンガって本当に好きなんです。子どもの頃は「ミスター味っ子」「クッキングパパ」が大好きだったな。最近は「にがくてあまい」や「きのう何食べた?」の再現レシピにいそしむ私です。やっぱり、人が生きる上で最重要である食に纏わるドラマというのは、無意識に当事者意識を持って読んで共感してる場合が多いなあって思います。

俺は飯を作るのが好きで 食べてもらうのが好きで 一緒に食べるのがもっと好きで・・・・・

ほんと、これ。料理をし食事を共にすることで築かれる関係性って本当に大きくて、作る側と食べる側の心って自然と通じ合って近づくよなって思うんです。そこにドラマが生まれないはずはないってやつです、ハイ。ほっこり・・・。

トオルが仕事帰りに寄るスーパーの商品が品薄なのとか、めちゃリアル。特に閉店間際はお魚とかないよね~。一方、庭師、明の庭の物の怪”庭の怪”退治はファンタジーな訳。庭の精を助けたり、おさめたりって。この一見ミスマッチに見える2人の生活が交錯する様がすんばらしいんだな、前述の通り。明の修業時代のエピソードなんて、人生について考えちゃったよ・・・お庭も美しいんだな~。
どう説明したら良いか分からないけど、読んでみたら分かるからって全力で言いたい!!

余談ですが、「ド」のつく家柄が貴族だってネタがとても興味深かった!!面白いなあ。?な人は(と言うか?しかなさそう・・・)確認のため、お読み下さいませ。全力でおすすめします!

はぁ、こういう斬新な作品に出会うと、画一的に物事を捉えず常に柔軟であろうと自らを省み、律します。

はやく続きが読みたいな~、2巻!2巻!2巻!!!休載中だそうで、残念ですが、いつまででもお待ちします!

ということで、推します。

この記事が参加している募集

#マンガ感想文

20,045件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?