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Notefolio #10 | 1時間で作る3Dプリント治具

前回のNotefolioで1mmくらいご紹介しましたが、今回は、即席で作る3Dプリント治具という、ものづくりハックを紹介いたしますよ。

よくある認識として、3Dプリンターは「試作」に適しているというのがありますね。それはもちろんその通りなのですが、3Dプリンターにはもう一つ面白い使い方があります。

それは治具です。

治具とは。

治具とは、簡易に説明するならば、
加工したいものに取り付け、穴あけや切断の位置決めなど、加工のガイドとなるもの。
といったところでしょうか。

治具を使う目的は、主に、
・作業の簡易化
・作業の効率化
・品質の安定化

などが挙げられます。

いくつか例を挙げてみましょう。

例えば、ドリルで穴を開けようとするとき、正確に垂直な穴を開けるのは難しいですよね。
そんなときは、治具としてドリルガイドを使うと簡単に真っ直ぐな穴を開ける事ができ、作業を簡易化させる事ができます。また、何個も穴を開けるのであれば、品質の安定化、作業の効率化にもなります。

他にも、小学校や中学校で使った事がある(よね?)万力もそうですね。木材の切断や研磨の作業を、万力を用いることで作業の効率化をしていたと思います。

また、(治具はもともと機械用語なので意味を広げすぎではありますが)線をまっすぐ引くための定規パスタを正確に計量するためのパスタメジャーなんかも治具的なものと言えるかもしれません。

ものづくりにおける治具という発想。

今ではたくさんの人が、個人でさまざまなものづくりをするようになりました。電子工作、家具づくり、レジン工作、アクセサリー作りetc...

Webやアプリなどの純粋なソフトウェアは別として、上に挙げたような何か物質を材料とするものづくりの場合、「材料の加工」というのは避けて通れません。

そのときに必要な加工が、1つのパーツを正確に加工する事なのか、はたまた、ある程度の数の同じ加工を効率よく安定して加工する事なのかは様々ですが、治具という発想は、材料の加工において強力な武器になります。

その加工のために治具が必要かどうか、実際に作るかどうかは、それによってもたらされる時間や品質と相談する事になります。
治具を作るにももちろんコストがかかるので、それに見合う効果がなければ作りたくありませんしね。

3Dプリンターで作った治具3例。

本題です。

ここで挙げる例はCADでの治具設計から、3Dプリンターによる出力まで1時間で行っています。

例1)木の丸棒を切断する治具
前回のNotefolioで作ったダンボールトンネルの木の丸棒を「垂直に切断」「斜めにカット」するための治具です。これらは、位置や角度を正確に加工する目的で利用しています。

垂直に切断

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斜めにカット

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これらは、それぞれ設計(CAD)に10〜20分程度、3Dプリントに40〜50分程度かかっており、合わせて1時間程度でした。

例2)有孔ボードの角を丸める治具
次は、MDFの有孔ボードの角4箇所を同じ半径で加工するための治具です。

画像3

(↑MDF加工時の写真を撮り忘れたので、そのへんにあったアクリルを挟んでみた。)

先程の例も、素材はPLAで作成しています。
PLA(ポリ乳酸)という素材は、硬いが脆く、熱にも弱く、最終製品としては利用が難しい素材です。その一方で、プリント安定性があり、価格も安いという特徴があり治具として利用できる場面がたくさんあると思います。

治具をきちんと機能させるためには、場合によっては何度かトライアンドエラーを繰り返す事が必要な時もあります。ですが、3Dプリンターを利用した治具は、容易に何度も試すことができます。また、耐久性の考慮についても、ダメになったらまたプリントすればよいのです。

例3)布を同じ形にカットする型紙
そういえば先日作ったオリジナルのスタイを作ったときの型紙がそうでした。

ただ、これは例としては微妙な感じですね。
量産するなら良いかもしれませんが(一応そのつもりで作っていたが、数枚の量産なので。)、あまり3Dプリンターでやる意味はなかったように思います。紙に印刷して型紙とした方が良かったかもしれません。

(そして、この例は設計に数時間とか掛かってますね。。1例目で2個紹介したので許して..._(:3」∠)_)

のーとさんは治具りたい。

もともと機械工学畑にいたので、治具という発想・考え方には馴染みがあり、個人でものづくりするようになった今も、個人ならではのものづくりの工夫を日々模索しています。

ただし製造現場で働いたことはないので、もしかしたら本業の人に怒られそうな事を言ってしまっているかもしれませんが、あぁぁ、イキってすみません。。もしくはご指摘いただけるととても嬉しいです。

ここでご紹介した3Dプリント治具は、多くの場面で効果を発揮すると思いますが、どういう治具をどうやって作ると良いかは、そのとき必要な加工において異なりますので手段を3Dプリンターに拘らず「治具」という発想をひとつ持っておくと、ものづくりの世界がまたひとつ、広がりますよ。

それではみなさま、良いものづくりライフを。

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