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自己成長のためのSAPIX

小学生三年のわたしはある日、SAPIXの入塾テストを受けた。テストの後に、体験授業があった。とても面白かった。楽しそうに算数の問題の解説をする先生の話に引き込まれた。

対策など何もしなかったから、テストには全く歯が立たなかったが、その分、ここで努力しすれば、大きく成長できる、と確信し、ワクワクした。これは、自己成長への絶好の機会である!と思い、それまでの公文式学習で良いのではないかと渋る親をなんとか説得して塾に入った。つまりSAPIXに入塾したのは自分の意志だった。

そんなわけで、はじめから、努力することそれ自体が勉強の目的だった。成績が上がっていくことはそれなりに面白いことだったが、オマケのようなものだった。入塾したての頃は、13コース中、下から数えて4番目のクラスだった。それが、一年後には上から2,3番目のコースにまで上がっていた。もちろん、そこに辿り着くまでに相当な量の努力を要したのだが。

小5にもなると志望校別のクラスというのが登場した。その時塾の先生はわたしと親に、「桜蔭コースがいいですよ!」と勧めてきた。初めて聞く名前だった。なかなかに偏差値の高い学校だというのは後から知った。桜蔭クラスに通ってしばらくすると、クラスメイトとかなり良い仲になった。

これが小5中盤以降、最後までSAPIXに通い続けられた一番の理由である。なぜなら小5の時点で(成績が伸びた時点で)もう、SAPIXに対する当初の目的は達成されていたのだ。合格のために通い始めたわけではなかったのだ。友達の他にも、尊敬できる先生や面白い授業がSAPIXにあった。だからモチベーションが尽きることはなかった。わたしはそうして、SAPIXを通い切った。桜蔭に合格し、入学することになった。

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