見出し画像

現地の暮らしを知る

実際にその地に赴いて、現地の人と話すことで、彼らの暮らしが、ぼんやりとではなく、具体的で明確なものとして認識できる。ルアンパバーンで一番気に入ったゲストハウスでは、一週間以上滞在したからというのもあるだろうが、スタッフ全員と仲良くなった。彼らは空いた時間に、地元の話や生き方についてなど、色々とプライベートな話をしてくれた。

その中のひとりが、モン族出身で大学3年生の、アルバイトのスタッフだった。私が周った都市の中で最も北の都市よりさらに北の、名前すら聞いたことのないような地方の出身だった。

モン族の話す言語はラオ語でも英語でもないといい、ラオ語は小学校の授業で初めて習うのだと話していた。そして自分の親世代は、小学校に通わなかったから、英語はもちろん、ラオ語も話せず、ルアンパバーンなどの都市に出るのも難しいと話していた。

ここ、ベトナムのサパで泊まったゲストハウスが、たまたま、モン族のスタッフがメインで(モン族はラオス、タイ、ベトナムなどかなり広範囲にいる)、同じような言語の障壁について話していた。小学校がなかった親世代の人々は、ベトナム語ではなく英語を学ぶことに貪欲なのだそうだ。なぜなら、ツアーガイドを始めとする、観光業に参入できるから。

国民が、自分の国の言葉を話せないというのがこの時代であり得るのかとかなり衝撃的だった。国というのは、結局のところ枠組みでしかなく、そこに住む人々がそれを意識しているかどうかは関係ない。

しかし良く考えてみれば、その方が自然なのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?