最後の希望叶えてあげたい

看護師になって色々な人の人生の最後に
共に合わせていただく機会が多く
普通に生きていたら経験できない
そんな貴重な経験をしていく中で
患者さんと共に悩むことが沢山あった。

家に帰りたいと言って帰れる人もいれば
それが叶わず最後を病院で迎える人もいた。
私たち看護師も1人の人間でもあるから
ひとりの人としての感情で
最後の希望を叶えてあげたいと心から思う。

その気持ちをもって向き合うため
患者さんの気持ちばかりに目がいってしまう。
そんな機会も沢山あったように思う。

"看護師が向き合う相手は患者さんだけなのか"

最近そう考えさせられる機会があった。

患者さんは50代とまだ若く
家に帰りたいという希望が強い。
奥さんはお子さんや家のこと患者さんのことで
気持ちもいっぱいいっぱいで
どこから手をつければいいか
毎日いろんな気持ちと闘って精一杯だった。

患者さんの人生の最後の時間は
1人だけのものではなく
共に過ごしてきた家族のものでもある。
その瞬間感じるものは違うけれど
その中で同じ時間を過ごしていく。

みんなが本当に納得して進めれる道は
この選択枠の中でどこなんだろうと。
患者の気持ちが優先となる場合が多いけれど
その中で家族の気持ちと体力の余力は
どこまで残っているのだろうか。

人が歩く人生、闘病生活は
絶対に1人で歩き切ることはない。
人は誰かに支えられて
生きてきているはずだから
支えている人にとっても
この道を一緒に歩けたこと
時間を共にできたことを
よかったと思って時間を過ごして欲しい。
だから患者さんの視点だけではなく
家族や周りにいる人の視点まで考えて
その中で最後の願いを希望を叶える。

難しいけれど看護師の看護の対象は
患者だけではなくその家族も
私たちの向き合う対象だと改めて感じた。

最後を迎え始めてからの時間は
本当に本当にあっという間で
やっぱりこっちの道をと進み始めた時には
思い描いていた時間を過ごせないこともある。
そうなったてしまった時残された方は
本当にこれでよかったのか?
と悩む人もいると思う。

私は"最後の希望を叶えてあげたい"
と思い行動して相手に寄り添えたこと
そこにこそ意味があると思う。

仕事などは結果や数字かもしれないけれど
人の人生は結果や数字じゃ表せないこと
だから悲しさや楽しさ嬉しさを
感じて歩いて行くのではないかなと思う。

いつかは誰もが迎える最後。
"最後の希望を叶えてあげたい"
私たち看護師は誰しもが思うことだと思う。
だから患者である人、その家族である人は
1人ではないことを忘れないで欲しい。
もちろん健康な人も
1人では人生は歩いていけないから。

誰しもが心からよかったと思う人生を
歩いていけますように。