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5万円の絵は高いのか、安いのか。
お店で物を買う時、大抵の場合は値札を確認してから購入しますよね。
自分が今それをどの位必要としているか。
他の類似商品と比べて価格差はどうか。
なぜ高い・安いのか。
検討して、納得して、購入に至ります。
人によって、何にどの程度お金をかけるかは違うので、高い・安いの感じ方には差がありますが、何度も購入している日用品や食材なら平均価格をなんとなく知っているし、「これ以上の値段なら買わない」というような自分の中でのある程度の基準値はあると思います。
ただ、買ったことのないもの、周りの人もあまり頻繁に購入していないものに関しては、どう基準を決めれば良いのかわかりません。
アート作品を買いづらいのは、そういった価格の相場がわからないことがひとつの要因なのでは?と考える今日この頃。
作家さんによって、
同じ大きさの絵でも価格が全然違うことがあるし、かと言って、並べて比べてみたらその差が一目瞭然!というわけでもない。
材料費とか制作時間とかが表記されているわけでもないし、どうやって価格を決めているのかわからないから高過ぎるのか安過ぎるのかわからない。
そもそも、絵の価値の決め方というのは値付けをする側からしても、とっても難しい案件なのです。
商品の価格はどうやって決まるのか?
普通、商品の値段というのはどんな風に決まるのでしょうか。
飲食店のメニューで言うと、ざっくりですが
材料費・人件費を足して原価を出し、それに必要な利益を上乗せしたら(大体、原価率が◯%になるように、みたいに。)商品の価格になります。
他の業種に関しては知識がないのですが、飲食店はかなりシンプルな方だと思います。有名ブランド品ならば、ブランド価値が付加されたりとかもあるのかもしれません。
それでも、「モノ」がある物は考えやすい方です。
モノじゃないもの、例えば「作業」にはどのような値段がつくのでしょうか。
お店の厨房設備の故障で修理をお願いすると、必要な部品などの材料費の他に「作業代」というのが内訳に書かれています。作業内容によるとは思いますが、数万円です。
この作業代はどのように算出されているのでしょうか。さっぱり見当もつきませんが、そういうものなんだなぁと受け入れています。
病院の診察代とかも似た印象です。
少し体調を相談しただけでこんなに、、ということもあります。(※個人的な感想です!)
作業する方がアルバイトさんの場合、単に時給を計算することで人件費がスパーンと出るわけですが、そうでない場合はどうするのか。
大体時給だって仕事によって違うのはなんなのか。
...というところまで考えると、急にわかり易くなります。
時給の安い仕事、高い仕事の違いは、その仕事内容にあります。
「誰にでも出来る簡単な作業」と「限られた人しか出来ない特殊な仕事」とでは、価値が違う為、時給に差が出ますよね。
では時給の高い「特殊な仕事」を得る為には何が必要でしょうか。
勉強です。
時間をかけて知識を得て、更に時間をかけて技術を磨く。それによって、高い時給を獲得するわけですが、スタートラインに立つまでに沢山の時間とお金が必要です。
だからこそ、時給が高くなるわけです。
厨房設備の作業代や、お医者さんの診察代は、彼らが今までに時間とお金をかけて培ってきた知識と技術に対して払っていると言えます。
アートに話を戻しましょう。
アートもやっぱり、ただ単にモノの価値というわけにはいきません。
1枚の絵を描く為に使ったキャンバスや紙、絵の具、時間自体は勿論、その絵に辿り着くまでにかけた時間は途方もないはずです。
ピカソが晩年の有名な、ザ・ピカソ!という絵に(泣く女とか、、)たどり着くまでにどれだけの年数がかかったかご存知でしょうか。
どれだけの枚数の絵を描いてきたか、想像できるでしょうか。
勿論ピカソと同じ年数、同じ枚数描いたからといって、彼と同じだけの価値が作品に付くかといえばそうではありません。そもそも最早彼の絵の値段は自分で付けたものではないですし。
ただ、作家の言い値は自由なのです。
作家自身が、その作品をつくる為に費やしてきた時間、磨いてきた技術、想い、それらをのせて、価格を決めて良いのです。
そこに、「高過ぎる」はありません。
価格と価値は違うもの
しかしながら、「自分にとってこの作品の価格は高過ぎる」と感じるのは自由です。何にどれだけの価値を置くかは人それぞれです。
例えば当時大学生でお洒落にそれ程興味のない私にとって、8,000円のTシャツは高過ぎる買い物でしたが、数年後にアパレル業界へ進んだお洒落が大好きな友人は、Tシャツには3万円までなら出せる、と言っていました。
私は3,000円の画集や写真集を平気で買いますが、絵に興味のない友人からしたら、たかだか本1冊にそんなに出せない、とのことです。
つまり商品を高いと思うか否かは、結局のところ自分がその商品に対してその価格に見合った価値を感じるかという点につきるわけです。
だから、どんな価格を見ても「販売価格を高く設定し過ぎているのでは?」とは思わないで頂きたいのです。それはあなた自身の基準であり、作家自身がその価格をつけた理由はきちんとあるのです。
高いと感じたのであれば、無理に購入する必要はありません。
あなたが心から、その価格を支払って購入したいと思えるものに出会えるまで、またの機会にとサヨナラしましょう。
それでも絵を買うことは幸せ。
突き放したような内容になってしまいましたが、「価値がわからないなら買うな」という話では決してありません。
あくまで、出会った価格が適正かどうかをどう判断するか?という話です。
私が唯一所持している原画作品は5万円で購入したものです。
なぜ購入を決めたのかというと、毎日この絵を見ることで、元気を貰えると思ったから。365日の元気を、この絵を持っている限り貰えるのだとしたら、それってもうめちゃくちゃコスパの良い話では、、と。
消耗品ではないので、長く楽しめば楽しむ程コスパは良くなっていきます。
質の良いお洋服は長く着られるので結局のところ安い物を使い捨てるよりコスパが良いのと少し似ていますね。(違う?)
そして作家さんたちは、自分の作品にこれだけの価値を感じてくれる人に購入して欲しい、という想いで価格をつけてもよいのです。
無名だから安くしないと、と思わなくてもよいのです。
もちろん、少しでも気軽に手にとって欲しいからと低めの価格に設定するも自由です。
ただ、低めの価格にする際は作業時間や材料費のことはしっかりと考えて、自分が息切れしてしまわない程度の価格を見極めたいですね。
自分が価値を決めて良いんだ!と思えば、少し気軽に絵を見ることが出来るのではないでしょうか?
この絵を自分が購入したら、お家のどんな場所に飾ろうかな?なんて考えたりしながら見ると、また印象が変わってくるのでオススメです。
お家にアートを飾る生活、是非一度体験してみてください!
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