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私の心の中のパトラッシュ

仕事でヘトヘトになったとき、
やらなくちゃいけないことが山積みで息が詰まったとき、
私は呟く。

「もう疲れたよ、パトラッシュ、、、」

これには私の「絶対に疲れたと言いたくない」という変な意地が込められている。私は疲れたなどと言っていない。かの有名なセリフを言ってみただけ。だからセーフ。

いやいや、そんなに言いたいなら言えばいいじゃない、とか、それもう言っちゃってるんだから素直に受け止めなよ、とか、色々ツッコミが飛んできそうだけど、この「パトラッシュ」が私にとっては物凄く重要なのだ。


古く日本は「言霊の幸はふ国」などと呼ばれていたらしい。
私は、言霊って存在すると思う。

思っているだけで口には出していなかったことが、誰かに話した途端、その輪郭がくっきりとし、現実味を増して一人でに動き始める。
頭の中でごちゃごちゃしていたアイディアの断片が、人に話しているうちにまとまってきたり、口に出した後で「私こんなふうに思ってたんだ」と気付く。

言葉は慎重に使わなくてはならない。


ソファに転がり目を閉じる。
寄り添うパトラッシュと、ネロ。
そう、浮かぶのはなぜか私ではなくネロ。

ルーベンスの絵画の前で体を寄せ合いながら天に召される二人。
「フランダースの犬」は私が生まれて初めて、感動で涙を流すという経験をした本だ。


ありがとう、私の心の中のパトラッシュ。(と、ネロ)
君のおかげで私は今日も明日も元気でいられる。


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