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(5)彼は最強の一般人

1‘

握手会事件から1週間

乃木坂46メンバーと一部のマネージャーが

今野さんに、

乃木坂合同会社所有の大型倉庫に呼ばれた。

2‘

今野「忙しい中、集まってもらってすまない!」

奈々未「どうしたんですか?私すら何も聞かされてないんですが」

今野「いや、重大発表ってわけじゃないから、安心してくれ」

“ブロンブロン”

バイクの音が聞こえる。

3‘

一台のバイクが倉庫に入ってくる。

乗っている者がヘルメットをとる。

奈々未「〇〇くん!?」

⚪︎「お久しぶりです」

奈々未「どうして…」

4‘

今野「それは今から話す」

全員が今野さんに注目する。

今野「ここにいる小川〇〇くんは半年間だけ、君達のボディーガードをしてくれることになった!」

全員「えええええええええ!?」

5‘

麻衣「うちの警護スタッフになるってことですか?」

今野「いや、違う!一応、業務委託って形をとっている」

玲香「業務委託?」

真夏「でもそれって、うちの警護部門を〇〇さんに任せるってことですよね?」

⚪︎「それは僕から説明しますね?椅子に座って、説明を聞いてください」

6‘

各自、椅子に座るメンバー達。

⚪︎「まず、僕は警護資格も持ってない、ただの会社員です」

マネ1「え!それって、警護業務を委託できないじゃないですか!」

⚪︎「そうですね、警護業務にあたる方は警備資格が必須です」

マネ2「なら!」

⚪︎「本来なら警護業務委託はできません、だから少し業務委託とは違うんですが、合同会社の警護スタッフとは違う、独立した警護スタッフとして、皆さんを警護します」

7‘

奈々未「それじゃ、マネ1の質問に答えてないわ」

⚪︎「そうですね、僕は今野さんに“知人“のよしみで、乃木坂46の仕事に同行してるだけの一般人ってことです」

理々杏「どういうことですか?」

奈々未「それって…〇〇くんにと得がなくない?」

8‘

美月「それって…?」

真夏「そうだね、それって実質、合同会社は〇〇くんに何があっても、知らんぷりってことだよね?」

⚪︎「まぁ…そういことですね」

紗耶「な、ならなんで?」

⚪︎「簡単です、それが皆さんのお役に立てるのと…関与しないってことはなにかあった時になんでもできるってことです」

9‘

沙友理「やっぱり、得なんかあらへんやん」

⚪︎「はは、そうですね」

聖来「理解できん」

⚪︎「ふふっ」

小さく笑う〇〇。

10‘

⚪︎「ということで、明日からよろしくお願いします」

今野「すまないが、頼む」

⚪︎「いえいえ、僕も貴重な体験させていただいてますから」

2人は握手する。

11‘

〜〜〜〜〜

12‘

〇〇くんがボディーガードに加わってから、

ちょっとした揉め事が起きていた。

警護1「俺やってらんないっす!!」

警護長「落ち着けって!」

奈々未「どうしました?」

13‘

警護長「あ、橋本チーフ…いや」

警護1「奈々未さん!小川って奴を警護から外してください!」

奈々未「どうして?あと、橋本チーフね」

警護「奴は!警護対象から離れたり!警護対象とずっと喋ってたりと警護業務を疎かにするんです!!」

14‘

奈々未「と、言ってるけど?」

⚪︎「う〜ん…疎かにしてるつもりはないですけど、そこ以外は事実ですね」

奈々未「そうなのね…どうして、対象から離れたの?」

⚪︎「それは警護長にお話しましたよ」

警護長「はい、報告を受けてます!ミニライブの際に不審な人物を見かけたとのことで、職質をしていたそうです」

15‘

奈々未「結果は?」

⚪︎「コートの下にステンレス製の刃物を持っていました」

警護1「なっ!?ありえない!ゲートで金属チェックしているんだぞ!」

⚪︎「確かに入場時、ゲートで金属チェックはしますが、金属探知機は金属に対して良い反応はしますが、合金系には反応しない場合がほとんどです」

奈々未「そうなのね…では、メンバーとの会話は?私は別に構わないと思っているけど」

16‘

⚪︎「岩本さんとのことですね、それは岩本さんが怖がっていたので、それでお話しさせていただいていたんです」

奈々未「あぁ、確か、蓮加ちゃんのカウンセリングもしてくれているんだったわね」

⚪︎「そうですね、あの事件以来、岩本さんは刃物恐怖症と一部に対する男性恐怖症の傾向があるので、それで落ち着くようにお話ししていました」

奈々未「こういうことらしいわ」

17‘

警護1「奈々未さん!しかし!」

奈々未「橋本!チーフでしょ?この話は終わりよ!」

警護1「っ…!!」

苦虫を噛み潰した様な顔をする警護1。

18‘

奈々未「解散!」

警護長と警護1はこの場から去る。

奈々未「ごめんなさい、うちの警護スタッフが難癖つけてしまって」

⚪︎「気にしないでください」

奈々未「いや、警護部門は私が責任者だからそういうわけには…」

19‘

⚪︎「ん〜、なら…僕と食事でもどうですか?」

奈々未「え…?」

⚪︎「それで、この話は終わりです!」

奈々未「ふふ、いいわよ、それにしましょう」

⚪︎「では、今日にでも」

奈々未「わかったわ」

20‘

To be continued

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