見出し画像

出産当日3

〜つづき〜

初めてのお産。通い慣れた先生のお家でということもあったし、お産の途中で先生が家事をしていたり(その間は他の助産師さんが付き添ってくれた)、家族がそばで見守ってくれていたり、産み出す痛みは壮絶だけど、自分でも安心して出産できたと思う。授かるまで苦労して、出産なんて人生の超一大イベント!って感じで気合入ってたけれど、お産っていつも通りの暮らしの中で迎える普通の出来事なんだな...。そんなあったかい環境で産めて本当によかった。

お部屋に移動して、家族水入らずの時間。夫は翌日も仕事で家に帰るので、束の間、ベッドで赤ちゃんと添い寝をしてもらった。3人家族になったのだ。小さなおててで私の指をぎゅっと握っている。こんな幸せな光景、夢のようだ。改めて鏡を自分を見ると、いきむ時目をぎゅっとしすぎて、目の周りに赤い点々がいっぱい出てる。しかも口元にヘルペスまで!今までの人生で一番頑張った日だ。よくやった私。よくやった小鳥ちゃん。

「今晩は赤ちゃんを預かるから、ゆっくり休み。明日からは頑張るんやで。」と先生が言ってくれたので、ゆっくりできる夜も当分ないかもなと、いろんな思いに浸りながら、一人の夜を味わった。やっぱり興奮してなかなか寝付けなかったけれど。

翌日、私は検診のためにまた分娩台へ。あんなに長い時間苦しんだ場所なのに、そいういや産んだよな〜、昨日のことなのに、辛かったことを忘れていることに感動した。そこからの景色はむしろキラキラ光って見えるようだった。女性の体って本当によくできている。神秘としか言いようがない。その分娩台からは、いつもきれいに祀られた神棚が見えて、神様がすぐそばで見守ってくれているみたいだった。みんな無事に産まれてくるよう、先生がお祈りしている姿が目に浮かんだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?