ミャンマーでの暮らしをつづる:日本語教師養成講座

ミャンマーに渡航して、3週間がたちました。

こちらでの暮らしに慣れてきたと思った先週末、職場で倒れてしまいました。まだまだ日本の身体だったようです。そしてここ数日で停電の頻度が急増しています。

日本語教師として、現地法人に直接採用されて2019年3月から働いています、ななこと申します。

日本で会社員兼ポートレートモデルをしていた私が、ミャンマーで働くことになった経緯やミャンマーでの生活について書きたいと思っています。

2回目は、私の通っていた日本語教師養成講座について書きます。


日本語教師養成講座について書く前に、入国管理局に登録されている日本語学校で日本語教師として働くためには、次のいずれかの条件を満たさなければなりません。

① 大学で日本語教育を主専攻、または副専攻していた者

② 日本語教育能力検定試験合格者

③ 4大卒+日本語教師養成講座420時間以上を修了した者(ただし養成講座は、2017年4月以前開講もしくは文化庁への届出が受理されているものに限る)


日本語教育能力試験は、毎年10月の年に1度しか実施されず合格率も20%程度と非常に難易度の高い試験です。

2019年4月に施行される「特定技能ビザ」に関わる入管法改正により、今後この教育能力試験が国家試験扱いになるとも言われています。

なのでもちろん試験に合格していることに越したことはないのですが、次に受けられる試験が来年であること、独学が難しい分野であることを踏まえて、私は日本語教師養成講座を受講することに決めました。


私が通っていたのは、大阪にある日本語学校に併設された日本語教師養成講座です。

ここは、1日(45分×6コマ)×週5日で4ヶ月で420時間修了できる講座です。

講座のスタートは2018年10月15日から、修了日は2019日2月8日でした。仕事はもう休職中で10月末での退職が決まっていたので、私にとってはちょうどよい受講期間でした。

他の大手グループの養成講座では、土日だけのコースや1日の時間数が少なく半年〜1年かけてゆっくり受講できるものなどがありました。

私の友人や他の先生方に聞くと、養成講座とアルバイトの両方をしながら1年で修了した方、フルタイムで働きながら2年かけて修了した方など様々です。

私は当時自律神経失調症で体調の先読みが難しかったので、4ヶ月という最短で修了できる講座を選びました。

私の通っていた養成講座のスケジュールはこんな感じでした。受講生は、私を含め5人だけ。

月曜日:日本語理論×3、パソコン演習×3

火曜日:日本語理論×4、初級指導技術×2

水曜日:日本文化とグローバルコミュニケーション×3、初級演習×3

木曜日:中級演習×3、中級演習×3

金曜日:日本語教育に関わる関連技術×3、初級演習×3

日本語理論では、言語の構造や日本語の構造、日本語史、教授法などを座学で学びます。個人的には、高校生時にカナダに留学していたこともありバイリンガルについての授業がおもしろかったです。

初級指導技術は、併設されている日本学校で初級クラスを持っている先生が実際の授業でしていることを教えてもらいました。この先生は海外での勤務経験もあり、その時の話を聞くこともできました。

日本文化とグローバルコミュニケーションでは、いわゆる日本社会におけるマナーや礼儀。この授業は先生が情緒が安定しない方で、授業内容よりも先生の機嫌で雰囲気が左右されることが多かったです。内容は、就活のときのビジネスマナーと変わらない程度でした。

初級演習は、初級クラスでの模擬授業を行います。私の場合、週6コマあり受講生が5人だけだったので、必ず毎週模擬授業がありました。指定された文法を導入→練習→産出(運用)まで含めた授業を作ります。でも実際の授業の様子を知らないのに、授業を作りなさいと言われて辛かった。そして日本語教育の大きな前提として、既習語彙しか使わないことがあります。これがとても大変で、無意識のうちにまだ教科書に出ていない言葉を使ってしまったり、一文が長くなってしまったりします。なにより、語彙が限られるので絵や写真で説明するしかなく、20分の授業準備に1週間費やすことがほとんどでした。

中級演習では、模擬授業をする先生と試験対策をする先生に分かれていました。模擬授業を担当する先生がとてもいい先生で、私たちが模擬授業する前にモデル授業→要点・学生の様子の説明→模擬授業実施と、ステップを踏んでくださったのでとてもありがたかったです。中級になると、語彙の制限がなくなり楽になる分、文法が難しくなります。なによりその文法に対する感覚が人によって違ったり、文法辞書の例文が常に正しいわけではなくなってきます。読解は国語に似ていて、本を読むのが好きな私にはやりやすい内容でした。試験対策のほうでは、日本語能力検定2級を中心に試験対策参考書の解説方法を学びます。大変なのは、正解は分かるけれどどうして他の選択肢が不正解なのかを説明することです。ネイティブだからこそ感覚で使い分けているので、そこを理論立てて伝えるのが難しいのです。

日本語教育に関わる関連技術は、日本語学校だけでなく企業での日本語研修や個人レッスンもされている先生でした。この授業ではテキストやハンドアウトも使いましたが、先生が実際に経験したことをたくさん教えてくださるので授業の想像がつかない私にはとても有益でした。なにより、先生が癒し系なのに人を見抜く力と芯の強さを持っていて、強くてしなやかな人だったことが私にはこんな風に生きればいいのかと参考になりました。

こうして振り返ってみると、授業内容よりも先生との相性が満足度に大きく関わっているような気がします。

そして、受講生が5人だけだったことで模擬授業の回数が多かったのは、大変だったけれど回数を重ねられたのはよかったと思います。やはり自分が当たった文法はよく調べるけれど、他の人が当たったのは何もしないままで終わってしまうので。

もうひとつ、よかったところ。他の受講生に恵まれたことです。学生時代の友だちとも違う、同僚でもない、でも考え方や価値観が近い人に出会えたのは財産だなと思うのです。


その養成講座を実施している機関の方針や先生の考え方によって授業内容もカリキュラムも様々だと思うので、これは私の通っていた講座と私の受講した感想です。

実際の授業と模擬授業で指摘されたこととは違うこともやっぱり多く、養成講座を修了したといっても日本語教師なりたての今は毎日手探り状態です。


次は、ミャンマーを働く先として選ぶまでを書きたいと思います。

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