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女性専用車両とレディースデーは女性優遇だなんてちゃんちゃらおかしくて笑っちゃう①

まずはっきりさせておきたいのは、この2つの制度は別の理由で始まったものであり、並べて語るべきではないということ。私個人としては女性専用車両とレディースデーにはそれぞれ別の理由で反対の立場である。

女性専用車両の存在がある限り、私は日本人であることを恥じる

女性専用車両が導入された時、痴漢が悪いのにこんな乗りたくもない(自分の改札から遠くて不便だった)車両に乗せられて屈辱だと思った。乗らなくてもいいというので別の車両に乗ったらやっぱりそこには痴漢がいて、仕方なく女性専用車両に移動したことは何度かあった。

海外から日本に戻ると、女性専用車両は10数年前と全く変わらずそこにあった。この10年で状況が変わっていないことに大げさではなく愕然とした。


女性専用車両を見て、海外から遊びに来た友人があのピンクの車両は何かと聞く。時間帯によっては女性専用車両になるんだよ、痴漢(molester,pervert)がいるからと説明した。恥ずかしかった。相手も仰天した。「えっそんな状況で毎日電車乗ってるの?そもそも痴漢って何?うちの国ではそれは性犯罪だよ!」えーっと、日本でもそうだと思うんだけど。(迷惑防止条例違反または強制わいせつ罪)

導入された当初、痴漢被害の救済措置として一時的に設置されたと思っていた人は私の他にもいたのだろうか。今すぐ痴漢をなくすというのは不可能なので、その間一時的な避難場所ということで始まったのだと勝手に思い込んでいた私がそりゃ悪いのであろう。とにかく10数年経っても痴漢撲滅とは程遠い状況で、それどころか新たに「冤罪って怖いですね」が頻繁に耳につくようになった。

平成27年度犯罪白書によると、

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平成26年の時点で痴漢の検挙件数は迷惑防止条例で3439件、強制わいせつ283件。

なぜ痴漢犯罪がなくならないのか。それは、社会全体が「今すぐ根絶しなければならない重要な事項」として見ていないからである。女性専用車両は女性優遇でなく女性蔑視・軽視の結果生まれた制度であり、もちろん、自由に乗りたい車両に乗ることができない痴漢ではないすべての人に対する差別ということになる。痴漢以外のすべての男女が迷惑を被っているのであるから、一刻も早い廃止を目指して一丸となるべきなのである。


鉄道会社のホームページを見てみると、

車内における迷惑行為防止の観点から、安心してご利用いただける環境を提供するために設定しています。ーJRおでかけネット
女性専用車の導入により痴漢をはじめとする迷惑行為の抑止を図り、女性のお客様のほか、小学生以下のお客様、おからだの不自由なお客様とその介護者の方に安心してご利用いただくことを目的にしております。ー東京メトロ
京急では現在の社会情勢等を考慮し、お客さまのニーズに応える鉄道であるべきという観点から、平日下記時間の品川止まり車両に女性専用車を導入しております。
みなさまのご理解とご協力をお願いいたします。ー京急電鉄
京王電鉄では平日朝・夕の通勤時間帯および深夜時間帯に「女性専用車」を設定しています。詳細は下記のとおりです。皆さまのご理解とご協力をお願いします。ー京王電鉄

え。これだけ?と思った。京急電鉄と京王電鉄に至っては、「痴漢」や「迷惑行為」の単語すら見当たらない。何故導入されることになったか、申し合わせたように各社一切触れられていない。

JRも、迷惑行為防止の観点とか迷惑行為の抑止っていうけど、それって、痴漢に対して「お前らがやってることは許されないぞ」と社会的に働きかける(実際に行動に起こす)ことをやってこそなんじゃないの・・・?

「あ、良かったらこっちの車両用意してますんで。嫌ならそっちへどうぞ。」と被害者に言ってそれで終わりだったら、実際に痴漢がいなくなる事が実現することはないのでは?そもそも私は痴漢をなくそうというところがまず大前提だと思ってたんだけど、もしかして世の鉄道会社の皆さんは真摯に向き合うどころか

痴漢ごときでガタガタ言いやがって面倒くさい」

くらいに捉えてるのではないかと疑ってしまう。それに男性だって痴漢の被害にあう人いるけど、彼らは女性専用車両には乗れないわけで、ではどこへ避難すれば良いのか。

日本民営鉄道協会に至っては、

近年導入が進む女性専用車両ですが、大手民鉄で最初に導入したのは京王電鉄で、2001年3月に本格導入しました。
その後、国土交通省の「女性専用車両 路線拡大モデル調査」に協力する形で、2002年10月1日より、京阪電気鉄道と阪急電鉄がそれぞれ試験導入しました。
その試験導入中に、国土交通省が利用されたお客さま向けに行なったアンケートを実施した結果、女性が9割近く、男性も6割前後が女性専用車両に賛成と回答しました(国土交通省資料より)。
結果、多くの賛成のご意見を頂戴するとともに試験導入期間中においてお客さまに大きな混乱も招くこともなかったことなどを踏まえ、京阪、阪急の両社は2002年12月より女性専用車両を本格導入しました。
翌2003年には近鉄、南海、阪神、西鉄といった関西以西の大手民鉄が女性専用車両を順次導入し、2005年5月には、先に導入した京王以外の関東の大手民鉄(東武、西武、京成、小田急、東急、京急、東京メトロ、相鉄)でも導入される(一部は試験導入)など、女性のお客さまにとって、より一層安心してご利用いただけるようになっています。ー一般社団法人日本民営鉄道協会

ここには、「皆が良いって言うからやってます」しか書かれていない。

主な日本の私鉄・JRの中で唯一、「チカンあかん」で有名な?大阪メトロのみが痴漢対策について一歩踏み込んだ回答をしている。

当社では、女性の自立や男女共同参画社会を目指す社会情勢の中で、チカン行為そのものをなくすことが本来と考え、鉄道警察隊などと連携し、チカン追放キャンペーンの実施や駅職員の巡視等による自主警備、車内及び駅構内での啓発放送、駅構内での啓発ポスターの掲示など様々な取組みを行ってきています。しかし、現実にチカン行為は無くならず、被害に遭われた女性の方が深く精神的な苦痛を受け、社会参画に支障が出ることがあることなどから輸送の安全性の確保なども総合的に判断し、チカン行為から女性を保護するという趣旨で女性専用車両を導入しました。ー大阪メトロ

痴漢がいなくなれば女性専用車両もなくて良い

ち‐かん【痴漢】 の解説
1 女性にみだらないたずらをしかける男。2 ばかな男。おろかもの。しれもの。ーgoo国語辞書(出典:デジタル大辞泉)
いたずら〔いたづら〕【悪=戯】 の解説
[名・形動](スル)《「徒 (いたずら) 」から》
1 人の迷惑になることをすること。また、そのさま。悪ふざけ。「悪戯が過ぎる」「悪戯な子」(2-4略)5 性的にみだらなふるまいをすること。強制猥褻の婉曲な言い方。ーgoo辞書(出典:デジタル大辞泉)

シンプルである。痴漢がいなければすべての男女が被害に合うことも冤罪を疑われることもなく、安心して好きな車両に乗ることができる。

では、なぜそれが実現しないのか。痴漢がいなくならないからである。なぜ痴漢がいなくならないのか。痴漢被害に合った人(冤罪の被害に合った人も)以外のすべての人にとって「たかが痴漢」だからだ。そこに日本の重大な女性蔑視感があると私は見る。

なぜ「自分の性欲が抑えられなかった」り「ストレスでイライラしていた」からと言って公共の場で他人を辱めて良いと判断できるのか。相手を対等な立場ではなく下に見ているからである。「抑えられなかった」からと言って、交番の前で露出したり制服を着た警察官に痴漢をする犯人がいるだろうか。確実に相手を選んで、自分の頭で判断して痴漢に及ぶのである。

特に被害に遭いやすい対象として、制服姿の女子中高生があげられる。痴漢だけでなく他にも出したい例は山ほどあるのだが、未成年、子供の権利が侵害されていることにこんなに鈍感な先進国を私は他に知らない。

女児(男児も被害に遭っている)を持つ親御さんは、心配ではないのだろうか。子供から痴漢に遭ったから怖くてもう電車に乗りたくない、学校へも行きたくないと訴えられたらなんと言うのか。ネットにあふれる「なぜその場ですぐ警察を呼ばないのか」「触られるのはお前にも隙があるから」「自分の身は自分で守りなさい」それとも「お父さんだって冤罪の被害に遭うかもしれなくて苦労してる」と言うのだろうか。まあ痴漢の被害を告白できるだけのコミュニケーションが取れている親子ならそんなやりとりはきっとしないだろうけど。私は友人も母親にも言えなかった。そんなものを引き寄せてしまった自分に非があるようで。口にするのも汚らわしくて。そうではないのだ。例え胸元が見えそうな服やミニスカートをはいていても、他人が無断で触ってはいけないのだ。触るほうが100%悪いのだ。こんな当たり前のことをわざわざ言わなければならないことにうんざりする。そして、実際被害に遭いやすいとされる人たちはミニスカートや胸強調とは正反対の地味な服装をしている。当時の自分も含めて。

痴漢冤罪の可能性を嘆く前に、痴漢被害そのものがなくなるような環境を求めるべき

自分がもし男性だったとして、「自分には何の落ち度もないのに痴漢と間違われて一生棒に振る恐怖」を抱きながら毎日両手をあげて満員電車で通勤するストレスを考えてみると、正直たまらないなと思う。実際痴漢被害に複数回遭った者として、もう20年も前のことにも関わらず思い出すと今でも悔しさに身が震える。何度も言うが、一番悪いのは痴漢の存在である。私たちは手を取り合って痴漢撲滅に向けて歩むべきではないのだろうか。

思いつく限りの事柄を挙げてみる。

満員電車を解消して防犯カメラをつけよう

残念ながら痴漢は満員電車にしか存在しないという訳ではない。実際私自身が過去に痴漢被害に遭った際も、満員電車ではないことの方が多かった。しかし、乗客と乗客の間にスペースが確実にある状況ならば、目につきやすければ、大幅に痴漢は減ると思う。

大人であれば、公共の場所で何かを行うとき消防法について考慮する機会は多いだろう。例えば音楽ホールでコンサートを行う場合、飲食店やホテルなどの宿泊施設の収容人数など。エレベーターだって最大人数は決まっていて、それを少しでも超えると警告音が鳴るのに、なぜ電車は乗車率200%でも運行して良いのか。特に東京のラッシュアワーの後継は、外国人でなくても他地方民から見ると異常である。あの満員の状況で何か起こったら大惨事になるのは誰が見ても一目瞭然である。

では満員電車に乗らなくても良くなるために、社会はどう変わらなくてはいけないか。フレックス制やシフト勤務、自宅勤務の拡大はやはり欠かせないだろう。正直毎日朝礼が必要な理由は私には分からないが、どうしてもというならオンラインでやれば良い。「いやーそんなのうちの会社ではありえないよ」と言う人がいたら、それは一体何故あり得ないのか考えてみてほしい。会社にいることそのものが一番大切ではないって、本当はもう皆知ってるはずだ。学校だって、各校が同じ時間に始まらないといけない理由はない。

本社を東京ではなく他府県に置くと何か不都合はあるのだろうか。(中央省庁はすでに移転計画しているようだが)人口過密や地方の過疎も解消されて一石二鳥ではないか。本社(実際に社員ごと)を東京から地方に移した会社には国からの援助(奨励金や税制優遇措置など)をしてはどうだろう。

そうやって、満員電車を解消してからの防犯カメラ設置。新幹線などではもう導入されているようだが東急を筆頭に首都圏の各鉄道会社で今後設置が予定されているという。まあきっかけが「東京五輪を機に(訪日外国人の目)」というのと「テロ対策にもなるので」というのが多少気になるところではあるが、これは歓迎すべきことであると思う。せっかく導入しても死角があってカメラに映らないと意味がないので、やはり防犯カメラのみで良しとせずに満員電車問題は早急に解決が必要であろう。




ここまでで少しでも「たかが痴漢対策でそんな風に社会が動くわけないだろうが!」と思った人はいますか?それが「女性の権利を軽視している=女性差別」なんだという話です。



と、文章力がないので結局どこかで聞いたような話しか書けなかったのだが、他の人が同じことをどこかで言っていたとしてもやっぱり大事なことなので何度でも言おうと思った。女性専用車両は女性優遇ではない。


長くなってしまったので、レディースデーの件は次回に。


読んでくれてありがとうございます。

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