他人の容姿に関するコメント。

年が明けてからもう11日も経ってしまいました。年末に始めたnote、今年も細々と続けていてたらなと思います。よろしくお願いします。


我が家では日本のテレビが観られない(本体はあるけど海外仕様なのでチューナーとかつけないと観られない)ので普段は動画配信サービスを利用しているのだが、お笑いやバラエティー番組が好きなので実家に帰省中はずっとテレビをつけていた。

数ある年末年始の特別番組の中で、ものすごく気になるものがあった。それは、街中に出て「おデブちゃん」や「ハゲ」に見える人たちに突撃インタビューし、「あなたのコンプレックスはなんですか?」と尋ね、面白エピソードを披露させるものだった。

ぎょっとした。

しばらく観てみたけれど、一緒に観ていたパートナーが驚き不快感を訴えたので別のチャンネルに変えた。

芸人(または自虐で笑いを取りたい一般人)が自らネタにするのはまだアリだと思う。が、敢えて「あなたのコンプレックスは」と聞いて言わせるのはとても意地が悪いのではないか。その番組は「ハゲ」や「デブ」が悪いと言っているのではないだろうと言うのも無理がある。なぜならスタジオでは明らかにそれをバカにし笑っていたから。カメラに爆笑する姿を映されたデブでもハゲでもない女優や俳優は内心どう思っていたのだろう。本当に笑いたくて笑っていたのかな?

出演されていた方は皆明るく面白エピソードとして披露していたけれど、もちろんそういう方だけオンエアされていたのだろうし、インタビューを持ち掛けた段階で気を悪くされた方もたくさんいたのではないか。あるいはやらせだったのだろうか。

少なくとも「デブ」や「ハゲ」がコンプレックスになり得る(悪い要素)という前提で構成があり、そこで「あなたのコンプレックスは」と聞いてくる(しかも声から察するに半笑いで)人から思いやりは感じられるだろうか?ハゲやデブがあなたに何か迷惑かけたのか。

私は食事制限をしたり運動をしたりといった努力を1年以上続けつつ、それでも日本で痩せの部類には決して入らない体型(要するにデブ)だしそれを自覚しているけれど、街中でいきなり「デブがコンプレックス」と言わされるために突撃されたらかなり傷つくと思うし「大きなお世話」だと思うだろう。


それが褒めていようが貶していようが、他人の見た目に言及すること自体がアウトであるというのが世界基準になりつつある(あるいは既になっている)にも関わらず、2020年にもなって公共の電波で平気でこれをやるのはあまりにも遅れているのではないか。日本はこのまま世界から取り残されていくのだろうか。

もし留学したり海外移住を考えている人がいたら必ず覚えておいて欲しいのだが、たとえ日本では誉め言葉とされる表現(「痩せている」「金髪」「小顔」「イケメン・美人」など)であっても相手が怒り出したり気まずくなったり、あるいは誤解されたりする危険があるので口に出すのはやめておいたほうが良いということである。万が一何故ダメなのか分からない人のために解説すると、

痩せている」=棒のように細いことが美の基準でない国もかなりある。また太りたくても太れない、病気の可能性も。太っていようが痩せていようが、身長のことであろうが、体型のことはとにかくNG(OK表現ほぼゼロ。)。

金髪」=金髪は軽い、頭が悪いなどのステレオタイプがかつて(今も?)存在した。そもそも北欧の国々を除いて、自ら金髪に染めている可能性大。OKな表現:髪(やヘアスタイル)が綺麗ですね

小顔」=小顔が美の基準でないので、全くの意味不明。脳みそがないと言いたいのか!と激怒される可能性もあるのでかなりの禁句。

目がぱっちりしている(二重)」=これも意味不明。不気味がられる可能性も。

イケメン・美人」=見た目だけか!と怒られることが多いうえ、自分に気がある(口説いている)のかと勘違いされる危険あり。特にゲイだと思われたくない人は同姓の外見をやたら褒めるのはやめておいたほうが。

相手の知性、内面、能力やセンス(服や靴、爪、髪型など)はおおいに褒めても大丈夫。


話は変わるが、M-1である。見取り図である。正月番組で初めて、一部で話題になったネタを見ることができた。

正直、「女のスッピンみたいな顔」と「なでしこジャパンのボランチ」という表現自体に問題があるわけでないと思う。ただ、ツッコミの言い方がかなりキツく、それが悪いことであるような、貶しているような印象を与えて違和感を生むかもな、と思った。「女のスッピンみたいな顔」やったら何かあかんのかい「なでしこジャパンのボランチ」がどうしてん、というところだろう。ただ「絶賛」されているコンテクストでないことは確かで、もし自分がなでしこジャパンのボランチだったとしたら、理由はわからないけど確実にちょっと傷付くと思う


私はお笑い大好きだけど、他人を傷つけないと取れない笑いなんて見たくないと思っている。現に芸人のネタもここ数年変化がみられるし、この調子でいくとコンプラ的にアウトな内容は自然と淘汰されていくのだろう。

また、これを表現の自由が制限されるとか言論統制と呼ぶ向きがあるのだが、それは違うと思う。他人の気持ちに配慮しようということの何がいけないのか。それって日本人が一番得意な分野ではないのか(嫌味である)。

もちろん言い方に配慮しようが、本当に意地悪だといくらでも相手に伝えることはできる。体重が重いことがコンプレックスの知人は、友人から「ジェニファー・アニストンに似ているよね」と言われて激怒していた。”顔は”似ているよね、と言われ、つまり体は似ていない=デブということだそうで。一瞬「悪く取りすぎなんじゃ…」と思ったけど、どうやらニュアンスと相手との関係性で分かるらしい。まあ私ならそんな相手を友人とは呼ばないけど。

ともかく、いつまでも「見た目の面白さ」で笑いを取ろうとするのはそろそろやめたらどうだろう。それが日本の笑いだと胸を張って言えるのならどうぞ、もう私は観ることはないだろうけれど。









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