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えびのはなし

わたしはえびが大好きだ。

飲食店に行き、「海老」の文字をみつければ、そのメニューは問答無用で注文する候補に上がるほど好きだ。

とはいっても、えびならなんでもかんでもよいわけではない。

火が通ったえびが好きだ。

生のものや、桜えびなどもあまり興味がない。むしろ生や甘えびは苦手だ。あと殻付きもあまり好きではない。

わかってきた。火が通っているむきえびが好きだ。


そんなに好きなので、家族や友人との食事の時にえび料理を頼めば、まず出てきたときに数を数える。

えびというのはその料理のメインであることが少なくないし、切り刻まれていることもあまりないので、数えやすい。

好きだからといって欲張るつもりはない。みんながえびを好きだろうと思っているフシがあるので、喧嘩しないようにちゃんと最初に数えてわける。

というか、自分が好きなものが出てきたときには、基本的に数える。ひとり当たり食べてよい量を数える。
だから、ひとり3つなのに4つめを何も言わずに食べる人がいたら陰で少し軽蔑する。

そんなだから、割り切れないえびが出てきたときに、「食べていいよ」と言ってくれる人に出会うと驚く。なんて優しい人なんだと思う。


それが夫である。


割り切れないえびをくれる。

夫の好きなところのひとつである。



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