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不登校とアタッチメントと育て直し②

いとしさと~せつなさと~こころづよさと~
と歌いたくなるタイトルですがそれはさておき

前回の続きです。
https://note.com/nanaio627/n/nd1951d5022ca
息子が完全不登校になった後、引きこもりにさせてはならないと教育相談室、適応指導教室、別室登校、学習支援教室などいろんなところに相談し、息子をつれていきました。しかし、現地まで行っても教室に入れない、入っても頭をかかえて机の下に潜り込み動けない、心理士さんと二人で面談も途中で脱走、全て惨敗でした。

不登校は心のエネルギー切れなどという話をよく聞きます。
ここは焦らず充電時間だと思い過ごさなければならないのでは。
いやしかし、不登校に関して発信している経験者の方々のお話というのは、大半が不登校を経て社会や学校に復帰できた人のお話です。つまりは成功者バイアスなんですよね。世の中には不登校から始まりそのまま引きこもってしまい社会にでられなくなったまま40代50代を迎えている人もたくさんいます。そういう方々の声はなかなか私たちには届きません。
では障害も持つ我が息子に対してどうしていけばよいのだろうと頭を抱えていました。どう考えてもこのまま引きこもってしまう可能性の方が高いと思ったのです。

家では全く勉強することもなく、私も特に勉強をさせようともしませんでした。ただでも学校に行けない自分を責めて苦しんでいる息子をこれ以上追い詰めることはできませんでした。だいたい毎日昼頃に起きてスマホのゲームやYouTubeを見て過ごしていました。
ある時から、息子が自分のやっているゲームを私に一緒にやろうと盛んに勧めてくるようになりました。正直いうと私はそのゲームには全く関心がなくのらりくらりとかわして断っていました。私自身もスマホでゲームはするのですが、好みの違いで興味がもてませんでした。

もしかしてコレは?

今まで息子の方から何かを要求してくることもなかった子供だったのに、自分の好きなゲームを私に勧めてくるというのはなぜか。
彼の中で人と何かを共有したい、共感したい欲求が出てきたのでは?
これは今まで不可能だった愛着形成を育て直すチャンスが来たのでは!と思いつきました。

早速息子の好きなゲームをダウンロードして始めてみました。息子にゲームのコツを教えてもらいながら親子の会話が増えていきました。息子はとても嬉しそうに私にゲームについてたくさんたくさん語ってくれました。対戦型でもソーシャルゲームでもない個人でやるタイプ、タイミングの技術や結構頭を使う戦略型のゲームです。

そうして一年ニ年と親子でずっとゲームをし、ガチャでいいものが当たれば共に喜び、一緒に戦略を立て、YouTubeを見て過ごしました。
そのうち息子に少しずつ変化が現れました。私の身体に近づき触れるようになったのです。
おお!これは!あの!アタッチメントというヤツではないのか!

しかし母親と思春期男子、異性ということもあり赤ちゃんのように抱っこしてヨチヨチするわけにもいきません。度を超えると性的虐待にあたってしまうのではと悩みながら、
寄ってきた息子の頭を撫でたり手を繋いだりしていました。

問題は私自身も発達障害者で感覚過敏を持ち、ベッドの中で服を着ることができません。真冬であっても裸で布団の中にいます。
そして息子も当時は酷く感覚過敏が出ていてお風呂のお湯さえも痛いと泣くくらいでしたのでどの服も着ることができませんでした。
つまり親子してラだったわけです。
(安心してください!『パンツは』はいてますよ!)
その状態で息子が私の布団に入ってくるのです。もちろん両方に性的な意識は全くありませんが、流石にこれは性的虐待になるのではと児童精神科の主治医に相談し、間に毛布などを挟みプライベートゾーンには直接肌が触れないようにしていました。

そういう色んな心配もありながら、一般のお子様の成長過程とは時期が相当ずれてはいますが、息子にとってはまさに今、親に安全基地を求める段階に来ているという確信はありました。
発達障害を持つということは発達における過程に凸凹があるということ。やっと息子にその時期が来たのだと。
なので求めてくるまま思いっきり甘やかして過ごしていました。
そうやってイチから息子に対して愛着形成の「育て直し」をしていきました。

養育者との愛着形成という他人を信頼するための第一歩、人と関わる上での土台のないまま学校など社会に放り出されていたのですからうまくいくわけがありません。親すらも、もちろん他人も誰も信頼できないのですから困っても助けを求めることなどできるわけもありません。
彼にとって世の中は恐怖と混乱に満ちていたのだと思います。
自閉症の特性による困難もたくさんありましたが、息子が不登校になったのも必然的であったのだなと今となってはそう思います。

そして外の世界へ

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