人生桜

早いものであれから50年近くの年が過ぎ、久し振りに戻った故郷の桜はあいも変わらずの美しさだった。
サクラ舞い散る道を歩いて帰った小学生。
初めて出来た彼女と満開の桜を見上げてゆっくりと歩いた中学生。
しかし同じ高校に入学し散り始めた桜の下でキスをしたにも関わらず、彼女に新しい彼が出来て別れることになってしまった高校2年生。
それからはこの道を歩くと楽しい思い出が辛くなり、何時しか避けるようになった高校三年生。
学校を卒業してからも同窓会の誘いも断り、田舎に帰るときも時期をずらして会わないようにした20〜30代。
40になってやっと新しい彼女ができ、その彼女が桜を見たいというので一緒に帰った40代。
そして彼女と二人、今日この桜に結婚報告をしています。


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