「キミまで700km」アップデートと、「広島の風景」へのこだわりについて
※本記事にはアップデート時に追加した新スチルが登場するので、ゲーム中で楽しみたい方はプレイ後にお読みになることをお勧めします。
イラスト担当のかわずでございます。
当サークルが制作した広島観光も楽しめるノベルゲーム「キミまで700km（キミナナ）」。「ティラノゲームフェス」開催に合わせて、このたびデータ更新を行いました！
具体的には新スチルの追加、公開から新たな情報（建設中のサッカー場の名称決定など）も出てきたTips（広島用語集）の更新です。
今回は主に、僕が新たに描いた新スチルや、背景素材のお話をします。
「キミナナ」はサークルメンバー2人で制作しましたが、初めて触るプログラムも多く、お互いゲーム制作末経験ということもあり完成までにかなりの時間と手間がかかってしまいました（お互い働きながら、てのもありましたし…)。
なんとか公開までこぎつけ、その後ナナさんもイベント参加などで積極的に「キミナナ」を広くPRし、おかげで多くの方々に作品を知っていただき、作品を通じて広島の魅力を発信できていることが僕もとても嬉しいです。
企画制作のナナさんからノベルゲーム界隈の話を開いていると、作品の魅力をより上げ、継続してプレイしてもらうためにスチルや新シナリオの追加などのアップデートを行う作品も多いそうです。
そんなある日「秋に“ティラノゲームフェス”がある！より多くの人に遊んでもらえるかも」とナナさんから教えてもらい「だったらそれに合わせてシステムの見直しや新たなイラスト追加があってもよいのでは？それこそスチルとか」と僕から提案しました。ナナさんも大喜び。そんなわけで今回のアップデートが決まったわけです。
「どの箇所に新スチルを追加する？」という最初の課題も、誰よりも「キミナナ」に思い入れのある原作者のナナさんがすぐに決めてくれました。
次に参考資料として、既存の商業作品のスチルのスクショ等と説明文章が添付されたものをスライドで作成してもらい、自分はそれを見ながらスチルの制作を進めます。
心掛けたのは、スチルにおいてなによりも大切な「キャラの表情」がわかりやすいように、ラフの段階でもしっかり細かく描き、確認してもらう。後から「この表情はイメージと違う」と言われないようこの辺りは時間をかけて行いました（以前それで失敗し、逆に手間がかかってしまったので・・・・。）
それ以外に気をつけたのは、ゲームの流れに合わせてスチルが割り込むので、「立ち絵」の色味や雰囲気からかけ離れたキャラデザにならないようにすること。最初の制作から時間が経っていたこともあり、この辺は元絵を見ながら注意を払いつつ描きました（特に色塗りの部分ですね・・・。）
ナナさんのくれた資料付きのスライドがあったこともあり、割とスムーズに制作することができました。なんにしても「準備」は大切なのだなぁと・・・やはり思います。
「キミナナ」に登場する広島は、2010年代中頃の広島。そのため建て替え工事前の広島駅や、駅の南北を結んでいた薄暗い連絡地下道、改築前の宮島行きフェリー乗り場と僕にとっても懐かしい風景がたくさん登場します。
地元民でないと中々気が付かないかもしれませんが、「キミナナ」では過去と現在、2つの広島の風景を登場させる上で、「当時ないものは、極力出さないこと」を徹底しました。
たとえば序盤の、宮島行きフェリーに乗船している場面。背景に用いた元の写真を撮影したのはナナさんとゲーム背景に使う写真を撮るために宮島を訪れた際撮った、ほんの数年前のもの。奥に紺色のフェリーが写っていますが、ゲームでは水色に変えています。
宮島航路のフェリーを運行する2社のうち1社の「松大汽船」はコロナ渦に入ってからフェリーの更新を進めており、新造船のカラーが紺色。これに合わせて長年親しまれた水色の塗装も紺色に変わっています。
ただゲームの舞台は2010年代中頃。写真をゲーム用に加工する際に時代背景に合わせて、紺色を水色に変更しました。
また、慰霊碑を望む平和公園の背景。この角度からだと現在は右手に複合商業施設「おりづるタワー」の屋根が(ほんのすこし)見えますが開業したのは2016年。時代背景に合わせ、消えてもらっています・・・（以前は東京海上のビルで、1Fの喫茶にあったオムカレーはカープ選手にも人気でした。美味しかったな。
どれも過去のものなのでいま広島を訪れてもすでに無い風景ですが、確かにそこにあった、広島人にとって当たり前だった風景なので、「キミナナ」に登場する広島の風景のリアルさは、今回の新スチル追加でも大切にしています。建て替え工事で消えてしまった旧広島駅ビルの正面玄関・・・USJの大きな広告看板や、占いやスペー●シャワーがエンドレスで流れてた大型ビジョンが懐かしい。
また「キミナナ」では、僕がいままで個人的に撮影してきた広島の写真が大いに役立ちました。中には市民球場もまだ健在で、マツダスタジアム開業前のものも・・・こんな形で役立つ日が来るとは、当時の俺は知る由もなかった：
もう15年も前になってしまった市民球場最終年（“夢と感動をありがとう”というメッセージ看板が正面に掲げられていた）の写真も加工し、ゲームのどこかで使用しているので見つけてみてくださいね。
地元民ならではの魅力が詰まった「キミまで700km」。ぜひプレイし、感想もいただけたらとても嬉しいです。引き続きよろしくお願いいたします。