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人間って、案外カンタンには死なないんだな~入院生活編①~

入院生活

大腸カメラの結果を受けて、大量のステロイドと抗生物質での治療が始まった。採血やCT検査、大腸カメラで徐々に減量していくことを考えても、退院するまでは3ヶ月近く経ってしまうし、退院出来たとしても自宅療養中に体力を付けて、職場復帰するのが目標だった。

その時点での大きな目標が職場復帰で、目の前の小さな目標を1日1つずつ決めるようにしていた。

『今日はコンビニまで行く』、『今日は洗濯をする』、『この本を読んでしまう』、『病棟内を散歩しよう』といったように、クリア出来る目標を立てて入院生活を送るようにしていた。

もちろん、体調の善し悪しで、その小さな目標をクリア出来ないこともある。高熱が出てしまうと翌日も、泥のように眠っている日もある。

文字通り「何もしない」で、1日が終わる日もある。昔はそんな自分にも嫌気がさして、焦って落ち込む時代もあったが、今は『ゆっくり完全オフの時間』と、自分に都合良く解釈して、休む時間に当てることにしている。

元気に働いている時の生活のスピードが、急行列車だったとしたら、入院生活のスピードは、徒歩のように遅くなってしまう。

そのスローライフも昔は総てが許せなかった。それでも今は考え方が変わって入院生活のゆっくりした時間も、今では好きである。

悪化していく症状

治療でステロイドを増やしていたが、症状が快方に向かうと表現するとまでは行かなかった。毎日のように採血しても、炎症を示す数値は上昇していくばかり、ステロイドの効き目を確認するためにした大腸カメラの検査でも、潰瘍はよくなってはいなかった。

それでも、ステロイドを1日60ミリ服用し続けるのは、副作用の観点からしても、回避しなければならなかったため、1ヶ月後には50ミリまで減らしたが、結局は数値と症状が余計に悪くなってしまい、結局ステロイドも60ミリまで戻されてしまった。

口からジュースや固形物が解禁になっても、お腹が痛くてご飯が食べられず、上手くご飯が食べられない。ずっと栄養の点滴も打っていたが、入院して1ヶ月半で体重は15キロも落ちた。

病気と薬の影響で腕の血管はもろかったため、鎖骨の下にCVポートを埋め込んでいたが、発熱の原因かもとCVポートを抜いた結果、そこから細菌が出て、腕の血管から点滴を入れても、数時間と持たないで、毎日何度も差し替えなければならない。

両腕には点滴の痕の青あざが出来て、パジャマのサイズもワンサイズ小さくなった。体重が減ってしまったのは、不健康ながらダイエットに成功したと思えば、笑うしかなかった。毎朝体重計に乗る度に、体重がみるみる減っていく。

その後も、持続的な発熱と腹痛は続いていた。今思えば、それが手術の前兆だったのかも知れない。

もちろん、色んな検査もしていた上で、1つずつ原因と思われることも排除していったが、私の症状には、さすがに主治医も頭を抱えるほどの状態だった。

入院してもうすぐ2ヶ月が経とうとしていた頃の話だった。本当に出口が見えない敵との闘いだったが、この後にもっと大きな敵との闘いが待ち受けているとは、夢にも思わなかった。

そして、私の体は一気に病にむしまれて、手術へとシフト変更していくのだった・・・。

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