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人間って、案外カンタンには死なないんだな~チャレンジ編~

行動の範囲も制限がなくフリーに

体力と筋肉を付けるという目的と、たまには気分転換したい目的で、行動制限が今までは病棟内だけだったが、その制限もなくなって、下の階にあるコンビニと、コーヒーショップまで行けるようになった。

今まではデイルームまで歩いて、デイルームにある自販機でお茶やジュースを買ったり、テレビカードを買ったり、自分でお水を汲みに行くだけだった。

お風呂には入れなかったものの、その間は看護師さんが洗髪してくれたり、体を拭いてくれていた。

だが、フランジ交換をするため、看護師さんの介助付きで、約3週間ぶりにお風呂にも入れて、垢も落としてさっぱり出来たが、やはりまだ抜糸が終わっていないし、排膿のチューブが入ったままでのお風呂は、おっかなびっくりの逃げ腰のお風呂となってしまった。

やはり腹圧が掛かってしまうと、お腹の傷口が痛む。

その後はWOCナースさんに見守ってもらいながら、フランジを自分で交換することも出来た。

ここで再確認したことといえば、ストーマには痛覚も筋肉もない分、自分の意識しないところでも、便が出てくるという事だった。

お風呂の最後に、キレイにシャワーで流しても、すぐに水様便が出て来てしまう。

看護師さんが用意してくれた、吸水パッドをお腹に当てて、サージカルテープで止めて、パジャマが汚れない様にしてくれたが、これからは工夫が必要だとも思った。

この日はWOCナースさんの他に、外科の主治医の先生も来て、ストーマの状態を観察していった。

「膿が溜ったりしているのは別として、ストーマ自体は良さそうだね。生命力に感謝ですね。今まで何度も危機を乗り越えてくれて、有り難う」と言われた時には、涙腺が思わず緩んでしまった。

「先生、それは反則だよ」と思いながら。

その時に、外科の主治医の先生は、今回の手術で切除した腸の生検の結果と、切除した穴が開いた腸の標本を持ってきてくれた。

カラー写真の腸の標本は、どこに穴が開いていたのか分かるほど鮮明で、その辺のB級ホラーよりも、グロテスクだった。

S状結腸は3センチほど裂けていて、小腸と大腸の繋ぎ目の周囲には、親指大の穴が無数に開いていた事を知り、手術前のお腹の激痛も、腹膜炎から敗血症になったのも納得出来た。

ついでに生死の境を彷徨っていたのも。「これは痛いわ。今まででこんなに酷いのは、見たことがないかも」と、一緒に見ていたWOCナースさんも、写真に興味津々だった。

WOCナースさんとは、かなり波長が合ったのか、フランジ交換の途中も、フランジ交換が終わっても、世間話と笑いが絶えなかった。

普通ならイヤだと思うようなフランジ交換も、WOCナースさんのお陰で、楽しんで交換することが出来る。

今までちゃんと大腸も小腸もある時は、消化に良くないものや刺激物の制限があったが、ストーマでは特に食事制限がないらしい。

それは、意外だった。

ただコンニャクやホルモンみたいに、ストーマに詰まりやすい物は、腸閉塞になりやすいから、食べない方が良いらしい。

ストーマになっても、毎日の気付きや学びって、案外たくさんあるものなんだと思う出来事だった。

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