第一回『綿毛見つめる選手権』の思い出話。
こんばんは。原っぱでも隅っこが好きです。
初めましての方は、初めまして!また来てくれた方は、どうも有難う!koedananafusiです。
さて、今日は私の中で思い出深い、第一回『綿毛見つめる選手権』の事を話そうと思います。なぜ秋の今に書くのかは、最後にご説明しますね。
あれは、春のうららかな日差しが心地よい日でした。
私は主催者として、テント張りをしたり、参加してくれたボランティア達に指示を出したり、朝から忙しかったのを覚えています。
『綿毛好きによる、綿毛好きの為の集まりがしたい!』と私が発信し、それに賛同してくれる人達が集まって、1年がかりで準備をしてきた『綿毛見つめる選手権』がとうとう始まるかと思うと、忙しさも楽しかったです。
野草を使ってハンドメイドをしているフユさんという女性が、『選手権会場で是非お店を出したい!』と申し出てくれたので、そういった販売ブースも設けました。
春の日差しが温かいとはいえ、まだまだ寒さも残るので、参加者には無料で温かい『たんぽぽコーヒー』や『緑茶』を用意。
有志の皆さんから、貸し出してもらった椅子やテーブルも設置しました。のんびりと、原っぱの春を、可愛い綿毛を楽しんでもらう為に。
少しずつ出来上がる会場に喜びが溢れました。
『選手権』の参加者には名前を書いてもらい、ルールを書いた紙と綿毛をイメージして作ったバッチを付けてもらいます。
『綿毛見つめる選手権』のルールをザッと紹介します。
・会場内の好きな綿毛の前に座りましょう。(イスや、レジャーシートは貸し出しもおこなっています)
・見つめていることがわかるように10分に1回『選手権』のグループlineへ綿毛の写真投稿をお願いします。
・見つめるのをやめる時は「綿毛以外」の写真を投稿して、中央テントまでお越しください。記念品をお渡しします。
・体調の優れない方は無理をしないでください。
・可愛い綿毛達と心の交流を楽しみましょう。
・わからないことや、問題があった場合は、会場にいる右腕に綿毛マークをつけた係員にお申し付けください。
以上のような内容です。皆さんバッチをつけていい笑顔なのが嬉しかったです。
選手権の参加者は10人程でした。しかし、思いの外なんの集りか知らない近所の方や、参加者のご家族などが集まり、春の原っぱで談笑したり、ワークショップを覗いたり、とても賑やかでした。
伊東さんと斎藤さん
参加者の方の中で、気になる方が2名いました。
一人は、伊東さん。とてもハツラツとした男性で、趣味はカメラとのこと。仲間と山に入り、野鳥観察なども行っているそうで、軽くお話をさせていただきましたが、どのお話も面白かったです。
もう一人は、斎藤さん。これまた男性なのですが、とても物静かな方です。会場の原っぱを普段からお散歩されているそうで、興味を持って参加してくださったようです。
さて、この対極てきなお二人。
なんと!同じ綿毛の前に向かい合うように座ったではないですか!!
『綿毛見つめる選手権』は、選手権と名前がついていますが、あくまで『綿毛好きの集い』なので主催者の私としては、ほのぼの、柔らかな可愛い綿毛を眺めるイメージでいました。
しかし…綿毛を間に向かい合うお二方からはピリリっとした闘気を感じるのです。
他の参加者も、各々お気に入りの綿毛を見つけたようでした。確認完了のlineをボランティアから受け取った私は高らかにホイッスルを鳴らしました。
こうして『第一回綿毛見つめる選手権』の戦いの火蓋は切って落とされたのです!
参加者から送られてくる綿毛写真はどれも、可愛らしく、愛おしい気持ちに溢れていました。微笑ましく見ていくと、やたら構図の上手い写真が!思わず『プ、、プロい』と声が出ます。
カメラが趣味の伊東さんでした。綿毛の良さをこれでもかと引き出した写真の数々に『いやぁ、これは、すごい!』と溜め息が漏れました。
その、伊東さんのすぐ後にブレっブレの綿毛写真が1枚送られてきました。頑張って撮ったんだなぁ…と思って確認すると斎藤さんです。斎藤さんは、そこそこ年配の方で普段はあまり写真を撮らないとの事。この、写真を送るシステムはいいなーと思ったのですが、もっと他に方法を考えるのもありかなぁと思いました。
私は主催者として会場を周り、参加者にお茶を配ったり、声をかけて感謝の言葉を述べたり、お話を聞いたり、一緒に綿毛を見つめたりしました。
1時間もすると、皆さん動きたくなるようで、チラホラ『綿毛以外』の写真が送られて来ました。広場の真っ黄色なタンポポの写真、小さなオオイヌノフグリの写真、飛んでいるモンシロチョウの写真…皆、思い思いの終了写真で、良かったです。
私がホイッスルを鳴らしてちょうど1時間半が経った時には、見つめているのは、あの一つの綿毛に向かい合う伊東さんと斎藤さんだけとなりました。
二人に声でもかけようと、そばによるとお二人の話し声が聞こえます。
『斎藤さんは、何時も散歩されてるんですか?』
『そうですね』
『いやぁ!何時までも健脚というのはいいですね!僕も見習わないと!散歩以外には何かなさってるんですか?』
『特には…』
伊東さんの質問に、単語で答える斎藤さん。開始直後のピリリっとした空気はありませんでしたが、なんだかチグハグな二人です。
『温かいお茶いかがですか?』
私は二人に紙コップを差し出しました。お二人はそれを受け取りそれぞれ「有難う」と言って飲みました。
『あとお二人だけですよ〜!』
と私が伝えると、二人とも静かに綿毛を見つめました。
この、選手権をした日は風もなく穏やかでしたが、その時ビュッと風が吹きました。本当に一瞬の強風!バサバサと髪が揺れ、思わず目をつぶりました。
『あっ!』
という声が聞こえ、そちらを見ると斎藤さんが立ち上がっています。伊東さんも。
二人の間にあった可愛い綿毛は、さっきの強風が旅に誘ってしまったのでした。
『いやぁ、旅立たれては勝負のしようがない!こりゃまいった!』
伊東さんは楽しそうにそういいました。すっかり綿毛が居なくなってしまった茎を眺めたまま斎藤さんが
『こうして、皆旅だっていく。なんだか嬉しくも、寂しいものだね…』
と小さく呟きました。私は、そうですねと小さく返し、その場で終了のホイッスルを吹きました。
今回は、綿毛が飛んでしまったため1位を決める事が出来ませんでしたが、伊東さんも斎藤さんも「自然が相手の大会だから」と笑ってくれました。私は二人に感謝をのべ、参加者全員に渡した綿毛メダルを手渡しました。
そうだ!見つめるのを終了するには「綿毛以外」の写真を撮らないと!
私はメダルをかけた二人を撮影しました。二人ともいい笑顔で、太陽に照らされて、まるでフワフワの綿毛のように輝いて見えるのでした。
私やボランティア達は、その後ゴミ拾い等を完了し、原っぱには何時もの静けさが戻りました。
もう終わりかぁ。私は少し寂しく思いました。でも、綿毛のように旅立って、また咲いて、そうやって繋げていけばいい!そう思いました。参加してくれた皆とつくった春の思い出。
こうして、無事に第一回『綿毛見つめる選手権』は終わったのでした。
まるで、春の夢のように素敵な…………………………………………
夢のように………………………………
そう、これはまさに夢物語。
『伊東さんと斎藤さんて誰だよwww』と言ったのは昨日の布団の中の私です。
なぜ秋に春の話をしたのか、説明しますねと書きましたが、なんのことはない。
全ては私の妄想話だったのです。
始まりは、昨日の何気ない呟きから。
私は綿毛が好きなんです。ホワホワで、フワフワで、終わりと始まりで、好きなんです。それこそ時を忘れて見つめ続けられる程に。そして、そんな綿毛を『なんかいいよね』『可愛いね』とのんびり眺めあう会があったら楽しいに違いないと思ったのです。やってみたいと思ったのです。
布団に入ってからも、綿毛の元に集う人々を妄想して、それはどんどん大きくなり、とうとう夢物語が書ける程になりました(笑)
どうせならノンフィクションのように書いてみよう!
そう思って書いた結果、春の話を秋にするという流れになりました。
如何でしたか?
『綿毛見つめる選手権』やりたくなりましたか?私は、実行力に欠ける人間なので『一人で綿毛を見つめる会』に留まっています。主催者とか怖くてできない(笑)でも、叶うなら、『綿毛が好きな人が集う会』を開きたい。
道端で突っ立て綿毛を見ている人がいたら、それはkoedananafusiかもしれません。どこかで、綿毛を見つめるあなたは、綿毛に何を想うのでしょう。
ここまで読んでくださって有難うございました。
今まで、沢山の媒体で創作物を載せはしましたが、このような形は初の試みでした。本当はもっとそれっぽい写真を入れたり、ルールの紙を作ったりしたかったけれど、そこまでしていると書きたい熱が逃げそうで断念。きっとここら辺が、私の駄目なところですね(笑)
とりあえず無事に書ききれてよかった!
読んでくれたあなたが、綿毛のように素敵な終わりと始まりを手にしますように!
よかったら、また遊びに来てください。私が嬉しいです。
では、また。
サポート設定出来てるのかしら?出来ていたとして、サポートしてもらえたら、明日も生きていけると思います。その明日に何かをつくりたいなぁ。