見出し画像

日経新聞は偏向報道?日本企業の多くが中国とずるずる付き合っているのは、日本の財界人がこぞって読んでいる「日本経済新聞には、中国に対する勘違い記事が良く出ている」からかもしれない。

中国が、米国と豪州の縄張りだった南太平洋諸国に食指を伸ばして、5月30日に「中国・太平洋島国外相会議(オンライン開催)」の席で、中国と南太平洋島しょ国10ケ国全体との安全保障を強化する協定案が合意に至らなかったことは、世界に報道されました。

このニュースは殆どの報道機関が、「南太平洋島しょ国10ケ国の中で異論が出て、合意しなかった」と報道しています。

しかし、日本経済新聞の5月31日の朝刊では「中国・太平洋諸国安保合意見送りー対米刺激回避か」と見出しをつけて、「秋の党大会を前に、米国を刺激して対米関係を悪化させるのを避けたとの観測も出ている」として、中国自身が合意を棚上げしたかのような印象を持たせる記事を書いています。

信憑性を持たせるためか、「外交上のメンツをことさらに重視する中国が自らの提案を棚上げにするのは異例だ。緊張が高まる米中関係と共産党内の権力闘争が影響しているとり見方も出ている」とも付け加えています。

私は、大多数のメディアが報じているように、事実のほうは、(中国が、『南太平洋島しょ国を中国の手下国にして、台湾を中国勢力で取り囲んで台湾を屈服させようともくろんで、一方的に中国と安保協定を結びましょうよ』と提案したものの、一国一国丁寧に説明して合意を得るという外交的下準備がずさんだったために、拒否された) のだと推測します。

しかし、一方的に拒否されたでは、中国のメンツが立たないので、中国は「中国のほうから棚上げにした」と主張しているのだと思います。

その中国の強がり芝居をまともに受けて、日本経済新聞が「観測も出ている」だとか「見方も出ている」とかの信憑性のない理由をつけて、(中国が拒否されたわけではない)と、読者に誤った印象を持たせる記事を書いているから、日本経済新聞を読んでいる『日本企業の多くが中国とずるずる付き合っているのではないか?』と、私はふと思いました。

現に【中国のQian Bo駐フィジー大使は、会議後、記者団に対し、中国が太平洋諸国に送付したコミュニケと5カ年計画の草案は、合意に達するまで棚上げにされるとし、「国交のある10カ国からは概して支持されているが、当然ながら、いくつかの具体的な問題については懸念もある」「この2つの文書については、今後議論されることで合意した。」と述べた。(2022年5月31日、スバ、SBS/REUTER/PACNEWS)】そうです。

「合意に達するまで棚上げにされる」とは、不可思議な表現ですが、早い話が今後も合意を目指して頑張るという意味だと思います。だから「今後議論されることで合意した。」のであって、実質は棚上げにはされていません。

つまり、中国・習近平政権は、米国・豪州を出し抜いて南太平洋の島しょ国を中国の手下国にして、そこに中国軍の軍事基地・軍港わつくる事を全くあきらめてはいないのです。

なのに、日本経済新聞が「中国・太平洋諸国安保合意見送りー対米刺激回避か」などという記事を掲載してしまっては、日本の財界人の中には「中国はやはり米国と本気で対立する気はないのだから、中国でこれからも商売していても大丈夫だ」と誤解する人も少なくないでしょう。

その意味で、日本経済新聞が「観測」だとか「見方もある」という書き方で印象操作をするのは、罪深い行為のように感じます。

(2022年5月31日、スバ、SBS/REUTER/PACNEWS)によれば、

【ミクロネシアは地域協定に対して反対を表明し、以前から中国ソロモン協定とそれが地域の安全保障にとって何を意味するかについて公然と懸念を表明していた。

あるキリバス政府職員はロイターに対し、安全保障上の取引よりも、経済的な結びつきを重視したいと述べた。…

フィジーのフランク・バイニマラマ首相は、外相会合の後、地域協定に対する「コンセンサスを第一とする」アプローチが残っていると述べた。(しかし、一方で) フィジーの最大野党である社会民主自由党(SODELPA)のビリアメ・ガボカ党首は、当選すれば中国との経済協力拡大を支持するが、治安や警察権に関する協定は無効にするとし、「絶対にノーだ。私たちSODELPAにとっての安全保障は、伝統的な同盟国との関係だ。私たちは英連邦の国であり、私たちの安全保障は豪州、NZ、米国と共にある。」とSBSニュースに語った。】とあるように、南太平洋の島しょ国は、中国の経済援助や貿易による利益は望んでも、安全保障を中国にゆだねることは望んでいないのです。

【豪州のペニー・ウォン外相(が)…「太平洋の安全保障は、豪州が属する太平洋家族(Pacific family)の責任であり、私たちはより強固な太平洋家族の構築に貢献したい。」…豪州は常に太平洋島嶼国と協力し安全保障上の課題に取り組んでいくとし、「太平洋に新しいエネルギーとより多くの資源をもたらしたい」 「私たちは、共有する文化や、太平洋労働プログラムや永住権を通じた経済的機会など、豪州ならではの貢献をしたい。」と述べ…東京でのクアッド首脳会談に続いてフィジーを訪問】したように、「絶対に太平洋島嶼国に中国軍を入れない」と、決意している様をみれば、下手に中国の誘いに乗れば「米豪・中の代理戦争の現場にもなりかねません」から、中国の差し出す金に目がくらんでいない限り「中国軍や中国警察と関わり合いになりたくない」のは当然です。

 なのに、日本経済新聞だけは、奇妙な記事を掲載します。

なぜなのでしょうか?

不思議です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?