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中国のワクチン外交は「ワクチン売ってあげるよ」らしい。ワクチンの為に台湾と断交しそうなホンジュラスは「国民のためにできる限り多くの費用を支払うことを (中国に) 申し出る」そうです。ということは米国が無償援助すれば…●中国、日本の台湾支援けん制 新型コロナワクチン

中国外務省の汪文斌副報道局長=2020年11月、北京(AFP時事)
中国外務省の汪文斌副報道局長は31日の記者会見で、日本政府が台湾に新型コロナウイルスワクチンの支援を検討していることに関し、「医療援助は救命という初心に立ち戻るべきで、政治的利益をはかる手段に成り下がってはならない」とけん制した。    
台湾では中国が申し出たワクチン支援に拒絶反応が起きる中、日本からの支援には歓迎の声が上がっており、こうした状況下での日台接近に警戒感を示した形だ。「日本は今もなお自国のワクチン供給を十分確保できない。日本政府の表明は(台湾)島内を含む多くのメディアや民衆から疑問視されている」とも主張した。 
●台湾の友邦ホンジュラス「中国からのワクチン調達をエルサルバドルが手助けしてくれる」―中国メディア
2021/05/12 05:40【レコードチャイナ 抜粋】

台湾と外交関係のある「友邦」15カ国の一つである中米のホンジュラスは10日、外交関係のない中国からの新型コロナワクチン調達を、2018年に台湾と断交し中国と国交を樹立した隣国のエルサルバドルが手助けしてくれることになったと表明した。
ホンジュラス保健省は10日、ツイッターへの投稿で、「パンデミックを政治化していない友好国にとても感謝している。これまでに、イスラエルが私たちにワクチンを寄付してくれて、ロシアが私たちに販売したスプートニクVは今週、4万回分が到着する。
私たちは以前、エルサルバドルの人々に薬品とバイオセーフティー物資を寄付したことがあるが、エルサルバドルは今回、地政学的な封鎖を打破し、中国からワクチンを購入できるように支援してくれる。ホンジュラスはホンジュラス国民のためにできる限り多くの費用を支払うことを申し出る」とした。
●米中「ワクチン外交戦」…中国“台湾と断交”を条件としたワクチン提供に米国が対抗…米、海外に提供する予定の8000万回分「中南米に優先供給」
5/21(金) 8:39配信【the hankyoreh 抜粋】
24日に開かれる予定の第74回世界保健総会(WHA)の開幕を控え、中南米で中国と米国の「ワクチン外交」競争が本格化している。そのため、米国は同地域に対するワクチン供給を最優先的に考慮しているという。  
フィナンシャル・タイムズは20日付で、米政府高官の発言として、「(17日に)バイデン大統領が外国に提供することにした新型コロナワクチン8000万回分の最優先供給地域は中南米諸国になるだろう」と報じた。
同地域で台湾と国交がある国々が、中国産ワクチンの供給を受けるために台湾と断交する可能性があるという指摘が相次いでいる状況を意識した措置とみられる。  
現在、台湾と国交を結んでいる国は計15カ国で、このうち9カ国がカリブ海沿岸と中南米に集中している。…中南米各国が中国産ワクチンを活用しているが、台湾と国交がある国には供給されていない。同紙は「中国はすでに1億4400万回分のワクチンを中南米10大人口大国に供給した」と報道した。
2016年、台湾で蔡英文総統が当選してから、中国は経済力を武器に中南米諸国に対する外交を強化してきた。これにより2017年のパナマを皮切りに、翌年エルサルバドルとドミニカ共和国などが台湾と外交関係を絶った。 
これら3カ国は中国からコロナワクチンの支援を受け、1回以上接種を受けた人が全体人口の13.3~21.4%に達する。一方、台湾と国交を結んでいるホンジュラス(1.1%)やグアテマラ(1.8%)、パラグアイ(2.9%)などは中南米最低水準にとどまっている。  
ホンジュラス政府が最近、中国に貿易代表部を開設する案を検討することを明らかにした背景には、このような事情がある。同紙はホンジュラス政府高官の言葉を引用し「台湾と維持してきた長年の親善関係を断絶することは避けたいが、ワクチン需給が何よりも緊急な状況」だとし、「中国は友好国を支援しているのに、我々の友好国からはなぜ支援がないのか、国民が疑問に思っている」と述べた。  
米国内でも米国の「無対策」を批判する声が高まっている。同紙は対中国強硬論者であるマリコ・ルビオ上院議員(共和)の言葉を引用し「中国がコロナ禍を悪用し、感染拡大が深刻な国々を(台湾と断交するよう)追い込んでいるが、バイデン政権は何の措置も取っていない」と報じた。
これに先立ち、ジョー・バイデン米大統領は「ロシアと中国がワクチンを利用して影響力を拡大しているといわれているが、米国は米国の価値観で世界をリードする」と強調した。   
これに関し、中国外交部の趙立堅報道官は翌日の定例ブリーフィングで、「米国がワクチン提供の約束を早期に履行し、開発途上国の防疫のためになるなら、中国はこれを歓迎する」とし、「ワクチンの話をする度に中国を引き合いに出すのは醜いやり方であり、米国の真の意図が何なのか疑わざるを得ない」と非難した。 北京/チョン・インファン特派員
毎日新聞 中国、ワクチン外交攻勢 台湾断交狙い、中南米に照準 米、「裏庭」接近に反応より


 
【引用終わり】
「ワクチンが命を助けるモノ」という意識が世界中に広まっているので、「中国は友好国を支援しているのに、我々の友好国からはなぜ支援がないのか、国民が疑問に思っている」という感想も出るのでしょう。
そして、中国がワクチンを餌にして、外交をする事も出来ていたのでありましょう。
この意味で、今までの状況をマリコ・ルビオ上院議員が「中国がコロナ禍を悪用し、感染拡大が深刻な国々を(台湾と断交するよう)追い込んでいる」と指摘するのは的を得ています。
中国はいままで「欧米先進国は ワクチンを独占して途上国に配布しない。一方で中国はワクチンを他国に提供している。中国は世界の人々の為になる良い国だ」と、宣伝してきました。だから中国は、米国がワクチン外交に乗り出した事に対して、表向きは「米国がワクチン提供の約束を早期に履行し、開発途上国の防疫のためになるなら、中国はこれを歓迎する」と言わざるを得ないのでありましょう。
まさか、「米国が援助してしまったら、もう、ホンジュラスに『ワクチンを (高値で) 売ってあげるから、台湾と断交しなさいよ』と言えなくなるじゃないか。金も儲かって、台湾と断交もさせられる。濡れ手で粟の美味い商売を邪魔するな」という本音は言えませんから、一応は途上国の為になるなら歓迎すると口では言わなくてはならないのです。
しかし、それでも中国は「見本のワクチンを少しあげて、後は高値で売り付けて大儲けをして、ついでに政治的利益が付いてくる」状況を変えたくはないようです。
だから、日本が台湾へワクチンを供給する事に対して、中国政府は「(ワクチン提供を)政治的利益をはかる手段に成り下がってはならない」と批判するのでありましよう。
中国政府首脳は次のような夢を見ていたような気がします。
① 台湾がワクチンを自力購入できないようにする。
② 台湾で変異株が流行して、ワクチンが必要になる。
③ 中国政府がワクチンを少しあげて、後は高値で売り付ける。(台湾はお金持ちだから、高値でも買える)
④ 台湾人が中国に感謝する。
⑤ 台湾が自ら中国に併合される。
常識ではありえない事です。普通だったら、「台湾人は中国にワクチンの確保を邪魔された段階で中国に対して怒りをもって、後で中国が何をしても無駄だろう」と考えるだろうからです。
しかし、なぜか中国人は常識に反した《中国の夢》をみて、その通りに行動をします。
台湾でもそうでした。①と②は実際に発生していて、③を目指して中国が台湾政府にワクチンの提供を申し出ました。(台湾人は怒っただけですけれど)
今までアメリカが海外援助をする気配がなかった為に、中国がやりたい放題できていました。
けれど、遅ればせながら、アメリカは中南米に、日本は台湾と南太平洋諸国に(産経新聞)に、ワクチン援助を始めるようです。新聞には書いてありませんでしたが、多分日本は中国と違って売りつけるのではなくて、無償で提供すると思います。
そうなれば、「自分達の友好国は助けてくれない」と不満に思っている、ホンジュラスの人達も、米国から「ただでもらった」足りない分を、中国に「高値でも売ってください」と頼むことになるので、また話は変わってきます。つまり米中を手玉にとれば、全量米国からタダでもらう事もできるはずです。
経済でも 競争相手がいないと、売り手市場になってしまいます。途上国を取り込む外交でも、やはり競争相手がいないと、大国のやりたい放題になってしまうのですね。
ですから、どうもバイデンさんでは不安なのですが、それでも、ワクチン外交で米中が競争するのは、途上国の利益になるので、米国の対米強硬派の人達には大きな声で発言して欲しいと思います。
そして日本も、余分に確保してしまったワクチンは早めに外国援助して欲しいです。

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