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六車奈々、会心の一撃!

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タレント・女優の六車奈々によるエッセイ集。子育てをしながら働く、ハプニングと全力投球な日常をエッセイでお伝えします。
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#感動

鬼退治

まもなく15時40分だ。 私は心が落ち着かず、息が苦しくなった。 今日は、節分。 あと数分で、鬼たちが保育園を強襲する。 娘は大泣きするだろう。 怖い思いをするだろう。 そう思うと、胸が苦しくなった。 節分の数週間前から、保育園では準備が始まった。 『節分の日、もしかしたら保育園に本物の鬼が来るかもしれない』 そんな噂を聞いた3歳児クラスの子供たちは、怖くてドキドキした。 森へ柊を探しに行き、鰯と一緒に窓や玄関に飾る。もちろん皆で、豆も買いに行った。 「豆をぶつけて

クイズダービー?日本ダービー?

大学を卒業してすぐ、競馬のレギュラーが決まった。 競馬場やWINSで泣かれる『ターフトピックス』のレポーターである。 当時、まだ競馬を知らない私のために色々な人がレクチャーしてくれたが、よく耳にしたのが、『ダービーは特別』とか『ダービーだけは別格』だった。騎手や調教師、馬主など競馬に関わる人たちは、一度で良いからダービーを勝ちたいと思うそうだ。 はて。ダービーとは、なんぞや? 『はらたいらさんに1000点!』 のクイズダービーか? ダービーのいったい何が特別なのだろう?

お花を摘みにきたの

私はこう見えて、花が好きだ。 といっても花の名前に詳しいわけでも、花を上手に生けられるわけでもない。ただ気に入った花を買っては、お気に入りの花瓶に飾る程度だが、それでも独身の頃から部屋に花を欠かしたことは無かった。 今の時代、ブリザードフラワーやハーバリウムなど、手をかけなくても生き生きとした美しい花を飾ることはできるが、私はやっぱり生花が一番好きである。 毎日水をかえないといけないが、手間をかけるからこそ愛情が湧く。 いつかは枯れてしまうが、だからこそ命あるものは美しい

ヘヴンリーロマンス

2005年10月30日。 東京へ向かう新幹線の中で、私はカチコチに緊張していた。 なぜなら人生をかけた大きな戦いが待ち構えていたからだ。 TBSの昼ドラマ『愛の劇場 病院へ行こう!』主役の最終オーディション。 この時の私は、八方塞がりだった。 ラジオのレギュラー番組がなぜか突然クビになり、そのショックを埋めるかのように彼に結婚を迫ったら、彼は夢を追ってニューヨークへ留学してしまった。 何もかもおしまいだ。 私の人生は終わった。 絶望の中、最後の力を振り絞って挑んだオーディ

決めた!

子供の何気ないひとことは、大人をハッとさせることがある。 先日、三歳の娘とお風呂に入っていたとき、 娘が「決〜め〜た!」と言った。 「決めたって、どういう意味?」 と聞いてみると、 「えっとね、上手に考えたことを言うの。」 と答えた。 目から鱗だった。 そうか。決めたと言うのは、上手に考えたことを言うのか。。。 そうだよな。 決めたってことは、それが一番良いと思うからだよな。 それって、上手に考えたことなんだよな。 なんだか私は感動してしまった。 大人になると、たった

『六車』のルーツを探れ!

「六車さんって、珍しいお名前ですね。どちらのご出身ですか?」 初対面の人に、必ず聞かれる質問だ。 その度に、両親から伝え聞いた事をザックリ答えるしかできなかった。 いやいや、これじゃいかん。 自分の家のことは、もっと知るべきだ。 というか、知りたい。 私は自分のルーツを探るべく、四国へ向かった。 六車の本家があるのは、香川県。 私は『ろくしゃ』と読むが、本家は『むぐるま』と呼ぶ。 そして香川県には『むぐるま』が多いそうだ。 特に高松の東側、現在のさぬき市大川町に多く、こ