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六車奈々、会心の一撃!

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タレント・女優の六車奈々によるエッセイ集。子育てをしながら働く、ハプニングと全力投球な日常をエッセイでお伝えします。
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2019年3月の記事一覧

焼き肉と泪と男と女

「うわぁ!このお肉、めちゃくちゃ美味しい!」 男は溢れそうな笑顔で必死に頬張った。 彼の名は、冨田佳輔。 当時21歳のイケメン俳優だ。 この日は、マツムラケンゾー監督の映画『吠えても届かない』の撮影初日。 海辺でのシーンを無事に撮り終え渋谷へ戻って来ると、すでに夕方近くになっていた。お昼ご飯を食べていないから、お腹はペコペコだ。 「お腹空いたね〜。」 「いやぁ、もうペコペコですね!」 「寮に住んでるんだよね?この時間に戻って、ご飯あるの?」 「いえ。無いです。コンビニで

お花を摘みにきたの

私はこう見えて、花が好きだ。 といっても花の名前に詳しいわけでも、花を上手に生けられるわけでもない。ただ気に入った花を買っては、お気に入りの花瓶に飾る程度だが、それでも独身の頃から部屋に花を欠かしたことは無かった。 今の時代、ブリザードフラワーやハーバリウムなど、手をかけなくても生き生きとした美しい花を飾ることはできるが、私はやっぱり生花が一番好きである。 毎日水をかえないといけないが、手間をかけるからこそ愛情が湧く。 いつかは枯れてしまうが、だからこそ命あるものは美しい

ヘヴンリーロマンス

2005年10月30日。 東京へ向かう新幹線の中で、私はカチコチに緊張していた。 なぜなら人生をかけた大きな戦いが待ち構えていたからだ。 TBSの昼ドラマ『愛の劇場 病院へ行こう!』主役の最終オーディション。 この時の私は、八方塞がりだった。 ラジオのレギュラー番組がなぜか突然クビになり、そのショックを埋めるかのように彼に結婚を迫ったら、彼は夢を追ってニューヨークへ留学してしまった。 何もかもおしまいだ。 私の人生は終わった。 絶望の中、最後の力を振り絞って挑んだオーディ

トークの恩人

私は人前で話すことが、大の苦手だった。 16歳から始めたモデルの仕事は、人前で話さなくていい。 カメラの前で表現することは大好きだったため、モデル業はやりたいこととやりたくないことがピッタリ一致していた。 そんな私にリポーターの話が持ち上がったのは、大学を卒業してすぐのことだ。グリーンチャンネル『ターフトピックス』リポーターのオーディション依頼。毎週、栗東トレーニングセンターへ取材に行き、レース出走馬のインタビューやリポートをする仕事だ。 人前で話すことが苦手な私は、すぐ

占いの館へようこそ

私は占いが好きだ。 フラれては占いへ行き、 仕事で悩んでは占いへ行き、 一人暮らしするときも占いへ行って、話を聞いてもらった。 占いが好きだからといって、行きつけの店があるわけではない。 タロットや手相、霊能などなど、『当たる!』と聞けば足を運んだ。 あるとき、友人にタロット占いをしてもらっていた。占ってもらった後、タロットカードに関する話や占い法を聞いて、にわかに興味を持った。 タロットカードに描かれている絵それぞれに意味がある。とはいえ同じカードが出ても、周りのカード