見出し画像

まずは、自分のことを大切に

2024年、新しい年の幕開け。
飛び込んでくるニュースに心を痛めつつ、被害のない地域に住む自分たちは、なんとか日常を普通に送らなければと意識せずにはいられない三が日を過ごしました。

何かしたいと焦っても。被災地に心を寄せるくらいしかできません。自分はちっぽけで、できることには限りがある。微力でもできることを、細く長く、続けていきたいです。

被災した経験も、大きな事故に巻き込まれたことのない私です。

同じにしてはいけませんが、みずからの生命を脅かされる事態に直面したことはあります。自宅に窓ガラスを割られて不法侵入され、刃物を向けられ、通報したタイミングが1分でも遅ければ監禁されて命もどうなっていたかもわからないといった状況でした。

万事休すと覚悟を決めたのもつかの間、警察の方が自宅まで様子を見に来てくれ、事なきを得ました。

命を助けてもらった直後は、現場検証、警察に出向き事情聴取、当時の職場や子どもの保育園に事情説明や手続きなど、自分のケアなどは二の次で、ただひたすらに、目の前のことをこなしていくことで必死でした。

当時3歳だった我が子。こわい思いをさせてしまった分たくさん笑ってほしくて、くだらない話をしたり、ストライダーで近所を散歩したり、なるべく子どもの好きなことで一緒に遊ぶようにしました。

迷惑をかけたのでお世話になった方々にもきちんとお礼をしなければと、常に気を張っていたことを思い出します。

自分の心、暮らしを、他のなによりも大事にしてください

自身の過去を踏まえて、これから書くことがかなり見当違いなことだったら本当に申し訳ありません。状況を比較するレベルではないことなど百も承知です。実際身内や近しい人にも「震災を経験した人たちからすれば、全然たいしたことじゃない。がんばれ。」と言われました。以来、弱音などは一人で抱えこむようになりました。誰にこの気持ちを吐けばいいのかわからず、精神的にずっと孤独でした。

およそ10年ほど経過して安全な場所にいる私ですが、被災地にいながらに普通の暮らしを少しずつ取り戻しつつあるだろう方の心身を守ってほしくて、これを書いています。

今被災地にいて、自分の住む場所が被害が比較的少なかった、家を修理したり片付けながら普通に生活してもいいのだろうか、被災地に近いのだからもっと自分にできることはあるのでは?と焦ってしまう方たち。きっと大勢いらっしゃると思います。

これだけは忘れないでください。みなさんは、大きな地震に遭い、被災された当事者なんです。今もなお、怖いでしょう。不安でしょう。そんな中、日常を取り戻そうと、なんとか必死で力を尽くしておられるのです。

今この瞬間でさえ、精一杯に過ごしておられるはずです。これ以上、誰かのためにとか、なにかできることがあるのでは?とか、考えないでください。

ご自身を、大切なご家族を、助け合っているまわりの人たちと、くだらない話をしてください。

悲しい、つらい、しんどい、なんでこんな目に遭わなあかんねんと、心の底からわきあがってくる気持ちを愚痴ったり、吐露したりしてください。

感情がわきあがるままに、泣いてください。

内に押し殺しているご自身の感情こそ、今すぐに、存分に吐き出してほしいです。

なぜこんなことを空気も読まずにお願いしているかというと、私自身、事件があった日から、自分の感情を押し殺しがちになり、それに慣れてしまって、ネガティブな気持ちを素直に表現するのがむずかしくなったからです。

東日本大震災などでもっとつらく壮絶な体験をしている人たちがおられる。それに比べて自分の体験なんてまだたいしたことない。だから、気持ちを吐き出すなんてとんでもないとか、自分には帰る実家もあってまだ恵まれているのだからとか。

他の大きななにかと比べて自分の気持ちをおろそかにしていました。すると、どんどんマヒしていきました。

だから、気持ちが落ち込むときは、つらい、不安だと言ってほしいです。

しんどいときは、ダラダラしてほしいです。

じゅうぶんに心身にダメージを受けているのだから、当たり前に優先すべきケアです。

思いっきりネガティブ沼に落ちて、ご自身のペースでまた、少しずつでいいから、立ち上がってほしいです。

まずはご自身の心、暮らしを大事に、日々を過ごしてください。

けっして焦らないでください。人間、困ったときはお互いさまです。支え合っていきましょう。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?