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ペットを飼いたい。でも飼えないんだ

実家の帰省を1泊延ばした元旦。散歩がてら、近所の小さな神社まで初詣に行った。帰り道、私が子どもの頃頻繁に遊びに行っていた、今は世界遺産に登録されている古墳群の城山古墳跡にも寄った。公園や広場で遊んだ。

16:00頃は、古墳まわりに住むワンちゃん&飼い主さんのお散歩ピークタイムらしい。6組ほどに遭遇し、ワンちゃんを愛でさせていただいた。ふわふわ、まんまる、くりくりおめめ。ああ、なんてかわいいのだろう。

我が家のワンちゃん大好き5歳児も、撫でたり、頬を擦り寄せたり、リードを持たせてもらったりで、はしゃぎまくっている。微笑ましい光景だ。

人懐っこいワンちゃんズにデレデレな5歳児

たくさん愛でさせてもらった後、「遊んでもらってありがとうございました」と言ってその場を離れた。

帰り道、とぼとぼと下を向いて歩く5歳児。

「ワンちゃん、飼いたい」

ポロポロと涙を流して、小さくつぶやく。

「ワンちゃんは毎日お散歩が必要なんやで。帰ってきたら足の裏をふいてあげなな。おしっこもうんちもするよ。ワンちゃんに合ったごはんも準備せなあかんのやで。お風呂もいれてキレイにしてあげないと。あ、そうそう、お出かけのときはひとりにさせてしまうんやで。いろいろ考えんとあかんのや。●●ちゃんとおんなじひとつの命を守るんやで。できるん?」

ひとつひとつ、ゆっくりと説明する。(こう書くと、一方的に親の言い分を押し付けているように聞こえるが・・・)

毎度のことなので、わたしの小言を聞いている5歳児は「そんなんわかってる!できる!お世話する!」と地面を向きながらふてくされて声をあげる。

わたしは空を仰ぐ。またこの繰り返しか、やれやれ。はあっとため息をつく。

自分のお世話遍歴を振り返ってみろや。全然やってへんやろ。結局おかあさんがお世話してるやろ。つい心の中で悪態をついてしまう。


2023年は、自宅付近で捕獲したアゲハチョウの幼虫、モンシロチョウの幼虫、ミヤマクワガタ(メス)、カエル、ショウリョウバッタを飼育した。

飼育図鑑を一緒にめくり、目次から育てる虫の名前を探して、どんな環境をつくって、どんな食べ物を準備したらいいのか、一緒に調べた。

飼育ケースを整えた後、数回餌やりをする。毎度1〜2日経つとやらなくなる。いや、お世話することに関心がなくなる、といったほうが正しいのかもしれない。

きちんと声掛けもしてお世話につながる行動のサポートだってしている。でも生き物たちのために動こうとしない。そして、叱る。

人間の都合で勝手につかまえて、勝手に閉じ込めて。お世話しないんだったら、この狭い世界から逃してやりなよ。好きでつかまえておきながらお世話しないってなんやねん、と毎度不思議に思うし、我が子に憤りを感じてしまう。そして、いつも悲しくなる。

わたしは生き物が大好きだ。ケースに閉じ込めてごめん、と思いながら我が子の分も愛でて世話をした。アゲハチョウの幼虫のために柚子の若葉をとり、カエルのためにアオムシを捕獲し、糞でいっぱいのケージを毎日キレイにし、「かわいいねかわいいね」と声をかける。

“人間の意志でもって家で育てる”となれば、イヌもネコも、虫も小さな生き物も、平等に同じ命だ。小さな命でさえちゃんとお世話しなければ、イヌやネコの世話など到底無理だろうというのが、私の持論である。だって、やることは虫よりもたくさんあるのだから。


2日に起きた日航機の航空事故。貨物室の2匹のペットだけは救えなかったというニュースを見た。さまざまな意見がSNSで激しく飛び交う。いたたまれなくなった。

動物は大好きだ。でも飼えない。私個人に限って言えば、動物を飼ってしまえば旅行など絶対できなくなるし、おそらくちょっとした外出だって罪悪感を抱いてしまうからだ。なぜなら、家にたった1匹にさせてしまう。これが飼えないいちばんの理由だ。人間がいつもそばにいる動物にとって、世話する人間の不在がどんなに心細いことだろうか。

旅行に一緒に行くとしても、車や電車移動では、狭いケージに入れないといけない。自由を奪っているようで申し訳ない気持ちになる。飛行機だとケージに入れて、さらに飼い主と離されて貨物室で一匹移動することになる。気圧の変化は人間でもコントロールするのがしんどい。さらには人間社会の中の移動だと、さまざまな人がいるので、特に犬猫アレルギーを持つ人に対して配慮しないといけない。

ペットが家族同然、特に子どもさながらの存在であるならば、その動物の苦手要素をも汲んであげないといけないと思う。


・・・とまあ、私自身が動物を飼うことに対して非常にシビアな感覚を持っているため、5歳児の「ワンちゃん飼いたい」おねだりに対しては、最低限の命への意識と覚悟を持ってもらいたい。

そんなふうに願うのは、厳しすぎるだろうか。

(※あくまで、一個人の考え方です。)


※日航機事故で亡くなった動物2匹と飼い主の方に、心から哀悼の意を表します。どうかどうか、安らかに。




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