わたしと、特発性過眠症。
1月某日。
私は「特発性過眠症」の診断を受けた。
これまでの人生を振り返ると、「よく眠る子」であったことは間違いない。
幼い頃は不眠症の気があり、小学生の頃はまったく寝ずに毎日学校へ通っていたため体調を崩したり倒れたりすることもあった。
それが高校時代から、急によく眠るようになったのはなんとなく覚えている。
授業中、通学中、いつでもどこでも寝れるようになったが、特別気にしたことはなかった。
大学に入ってからは講義中寝ることが増え、気がついた教授に注意を受けるようになった。
それでも自分はよく寝るだけで、病気だなんて考えたこともなく、決定的な出来事は大学2年生の時に訪れた。
あれは、派遣会社のアルバイトだった。
ビルの一室で3人同時に簡単な面接をしていた時、受け答えをしている最中に私は眠ったのだ。
あの時、どうやっても起きることができなかった。
起きなければいけないとわかっているのに、体が言うことを聞かず、眠ってしまう感覚。
アルバイトは不合格だった。
大学を卒業し、社会人になった私の検索履歴はいつも同じ言葉で埋まっていた。
「寝る 足りない」
「睡眠不足」
「朝起きる 辛い」
「睡眠時間 平均」
「気づいたら 寝てる」
心療内科に行ったこともあったが、そこでは夜きちんと寝られていないのが原因だろうからと、睡眠薬を処方された。
毎日仕事でパソコンと向き合うたびに寝てしまい、起きたいのに起きられない苛立ちから泣きながら寝たこともある。
そんな私に転機が訪れたのは、今の仕事に転職してからだった。
現在は施工管理の仕事をしているが、元請けさんとの会議中、机を挟んで目の前に元請けさんがいる状況下で私は寝たのだ。
何度も手をつねり、爪をたて、血が滲む傷だらけの手を見ながら、ふっと意識が飛ぶ。その時私はもう自分が普通の人とは違うことをやっと認識した。
認めることに8年以上かかった。
部長に話して検査を受けるのに、時間はかからず、トントン拍子で検査は進み、病院に行ってから3ヶ月経たずしてわたしは「特発性過眠症」の診断を受けた。
病院で、担当医が最初に言ってくれた言葉を私は一生忘れない。
「あなたが怠けているわけでも、努力不足なわけでもない。これは病気です。今までよく頑張ったね」
特発性過眠症に限らず、「過眠症」という病気の認知度は少ない。理解されず、笑われたこともある。
せっく特発性過眠症になったので、これからは病気について発信していこうと思う。
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