野草食日記 227 都会の真っ只中で野草ランチ会
10月の自然観察会で知り合った方が、ご自宅で野草ランチ会を開催していると聞き、先日参加してきました。
お住まいは都内、しかも山手線沿線。
立地のイメージと野草が結びつかない・・・そう思いながら最寄駅に降り立つと、アスファルトに覆われた街。
しかも送られてきた住所までは日の差さないビルの谷間を通り、高速の下をくぐりぬけて行くのです。
若干盛りを過ぎた黄色い銀杏並木だけが、自然を感じるただ一つの要素でした。
高層マンションの一室のドアフォンを鳴らし、案内されたのはよそよそしい街の風景とは一変、明るく気取りのないリビングルームでした。
上のお豆腐にはまったりとした鬼胡桃のペーストがかかっています。
ノビル入りの鶏団子にはナズナがたっぷりと添えられていました。
鬼胡桃もナズナも多摩川べりで採れたものだそう。
数駅電車に乗って行くんだそうです。
おまんじゅうの中身は浜大根の葉を中華風に炒めたもの。
おやき風でとても美味しかったです。
その隣にはタネツケバナの葉。
鎌倉で見かけるものとはサイズが違って大きい。
こちらも多摩川産。
紫色が綺麗なのは、エビヅルで酵母をおこして焼いたパン。
陰陽マークのムースの黄色い部分は、クチナシの実で色付けされていました。
この2つは、マンション近くのアスファルトの街で採取できると聞いて、びっくりしました。
ムースをサイドから見ると、こんな感じ。
マテバシイのクリームで、ココアの風味です。
胡桃豆腐にも乗っていた赤い実はクコ。
これも多摩川で。
実だけを口に入れるとほろ苦です。
黒い液体は、ネズミモチを炒って抽出したネズミモチコーヒー。
苦味と酸味、ほのかにフルーティーさも感じました。
鬼胡桃入り蕎麦粉のあん巻きと共にいただきます。
塩漬けの桜は目黒川のチェリーブラッサム。
豊かで幸せな食卓。
これまで、コロナだから、近くに自然がないから、と自然との関わりを諦める声を聞くことは1度ではありませんでした。
鎌倉だからいいねと言われることもあります。
それを聞いて、そうだね、鎌倉だから自分は恵まれていて幸せ・・・と思っていました。
でも、今回のランチ会に参加して、自然と共にある暮らしは住む場所ではないんだなと強く感じました。
何を見て暮らすかは、それぞれの意識と行動次第なのかもしれません。
野草の勉強や観察会のために使いたいと思います。