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野草食日記 177 椿の花の中医学 その2

椿の中医学 その1  はこちらです。

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さて、送っていただいた資料が載っている「中薬大辞典」、これは一体どういう本なのでしょうか?
気になるので調べてみました。

中薬大辞典とは、上海科学技術出版社より第一版が1970年代後半に編纂され香港、台湾でも出版され、その後版権を海外に移して韓国語版、日本語版も出版された中薬関係のベストセラーのひとつなんだそうです。

椿の薬効は、様々な出典ごとの記載と共にまとめてありました。

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涼血止血の涼血は、「血を涼める」。
散瘀消腫は、瘀血をとる(血液循環をよくする) 、腫れを消す。
清肝潤肺は、肝火を清める、肺を潤し陰を養う。

そのような記述が見えますね。

わかったようなわからないような、微妙〜な感じですので、強力な助っ人に連絡してみることにしました。

以前鎌倉で気功教室をされていたNorikoさんです。
私より少し年下の彼女は、5年ほど前に京都の明治国際医療大学で鍼灸を学び始めました。
ご実家は漢方薬局を経営されていたというNorikoさんが、鎌倉在住時代に開催した陰陽五行と気功のワンデイワークショップ。
そこで私は陰陽五行のいろはを学んだのです。

ご連絡したあと、すごく難しくて面倒なことをお聞きしちゃったかなと、ちょっぴり申し訳ないような気持ちもあったのですが、逆に面白がってくれて熱心に返事をくださったことに心から感謝です。


まず、血を涼めるについて。

中医学では「血熱」という概念があります。

血熱とは、血分中に熱が鬱積して、血行が加速する病的な状態をいう。

血の熱を冷まして、流れを緩めること、とNorikoさんは解説します。


散瘀消腫は、血が滞る瘀血になると腫塊などができることもあるが、その滞りを散じて腫塊を消すこと、だそうです。
これははじめの予想通りでした。

そして問題の「清肝潤肺」。
Norikoさんは、五行説の理解が必要と言います。

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前出の武鈴子さんの本に掲載されている、五行の図です。

Norikoさんのメッセージをそのまま書き出してみます。

こんな感じで 〜中略〜 普段は肝は肺を克していますが、肝の働きが亢進したり肺が弱ったりすると、肝の陽気が高ぶり肺に熱が生じて、肺が潤いを失ってしまう。

表現が難しいので、武さんの薬膳の本をもとに私なりに翻訳してみると、こんな感じになるでしょうか?!

普段は肝が肺を抑制してバランスをとっているけれども、肝の働きが過剰になったり、肺の働きが弱まることでバランスが崩れる。
すると、肺に熱が入り、潤いを失う。

「清肝潤肺」とは、その逆に肝を冷やすことで肺を潤し、治す、という意味でしょうとのことでした。
肺が潤いを失っている状態の具体的な症状としては、空咳があげられるそうです。

椿の中医学 その1で、私の春の不調についてお話ししましたね。
春に対応する臓器は「肝」なので、中薬大辞典の薬効の欄の「肝を補い緩める」「肝火を清める」という記述に、春の不調改善の効果があるかと内心期待していました。

「もしかしたら良いのかもしれませんが、あまり椿は漢方では使わないので、薬効は穏やかなのでしょう。」とNorikoさん。

以前かかっていた漢方薬局の先生は薬膳料理をする方でもありました。
症状が辛い時に、「これを薬膳で何とかできませんか?!」と質問したことがあったのですが、ここまで辛いとやっぱり薬じゃなければ無理ねと。

当時は子育て真っ最中で、様々なことが思うようにならず、ストレスを溜め込んでいる時期でした。
春先に起こる気の上昇は今でも全く起こらないわけではありませんが、薬を飲むほどではないのは、子育てが終わり、生活が変化したことによるのでしょう。

椿の薬効の穏やかさ。
今の自分には丁度よいのかもしれませんね。


協力
Norikoさん  明治国際医療大学卒
有限会社サニーヘルツジャパン 仲 裕子様

参考文献 
鍼灸学基礎編         東洋学術出版社
中医鍼灸学の治法と処方    東洋学術出版社
旬を食べる 和食薬膳のすすめ  武鈴子著  家の光協会

参考サイト




野草の勉強や観察会のために使いたいと思います。