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40年前に読んだ本

Kids Hurt Too Hawaiiで特別研修があり、創設者シンシアの娘さんのミシェルが講義をしてくれた。ミシェルはオレゴン州の学校で特別教育に携わっている。テーマはrestorative practice。日本語だと修復的実践と訳されることが多い。主に司法関連の分野で広がっていて、徐々に福祉や教育分野にも広がっているアプローチだ。

この内容を聞いて、「あ、プリズン・サークル!」と坂上香さんの顔が思い浮かんだ。彼女はハワイ大学の法学部に千葉大学の後藤弘子さんとともに招かれて「プリズン・サークル」の上映会とレクチャー、シンポジウムがあり、たまたまフェイスブックでつながりがあって、参加させてもらった。

「プリズン・サークル」ではよりサイコドラマ的な、ゲシュタルト療法的な技法が使われていたけれど、ベースにはrestorative practiceの理念がある。

教育現場でも失敗への批判や反省の促しを中心とした指導がマインドセットになりがちだが、それとは逆方向のrestorative practiceという形でまとめられた視点にとても心惹かれた。「この視点がある」と知るだけでも、心持ちに余裕ができる気がする。

Kids Hurt Too Hawaiiでの実践は多くがこの視点と共通している。トラウマや大きなグリーフを体験した子どもたちが、将来的により幸せな道を進めるように、と。Kids Hurt Too Hawaiiでの「遊び」の時間に、自己否定的、自己破壊的な方向に向かう可能性を含む、批判や指導的な要素は全くない。

restorative practiceはpeacemaking circleと呼ばれることもある。ネイティブ・アメリカンの文化に伝わる方法で、問題が起こったときに、関係者が丸く座り、talking objectと呼ばれる「それを持っている人だけが話し手」となるモノ(Kids Hurt Too Hawaiiではすりこぎのような手作りのtalking stickを使っている)を順番にまわしながら、全員が自分の思いを十分に話すという方法だ。

circleという単語に触れて、「あれ、昔、circleがタイトルに入った英語の本で、すごく感動した本があったよなぁ」と思い出し、あやふやな記憶で、アマゾンの本サイトで「circle」とか「children」とか入れて検索したら、出てきました。「A Circle of Children」。どうやって、この本に辿り着いたかが定かではないのだが、多分、その当時、不登校の子どもたちへの関わりをしていて出会った藤田悟さんにいただいたような気がする。さとし(と、当時呼んでいた)やそのパートナー妙子(と、こちらも呼び捨てで。子どもたちも名前で呼んでいた)には、むっちゃお世話になり「子どもとゆく」というミニ冊子発刊に混ぜてもらったりして、世界がぐぐんと広がったんだった(と、今、書きながらいろいろ、思い出してきた)。

さっそく、購入して読み読み中。ボランティアとして現場にかかわり始めた主人公マリーがどう、子どもたちに接してつながりを作っていったかが、とっても丁寧に「私視点」で書いてある。そして、驚いたことに自分自身が子どもたちに関わるときに、この視点をむっちゃ取り込んでいた! 英語の本だし、当時、じっくり読んではいないような気がするのだが、子どもとのかかわりで気をつけていることが、ここにあることだらけ。ところどころ、「ちょっと操作的じゃない?」と思うところもありながら、でも、このアプローチしてるなぁと思うことがいっぱい。

40年前ぐらいに読んだ、しかもまばらに理解してたはずの英語の本に、無意識レベルで影響されているっていうことに気づいてびっくり! そして「本ってすごいなぁ」と改めて感じたのでした。



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