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唐突に春のにおい。

島の春は、突然やってくる。
終わらない冬のような、どんよりよりも激しい冬。

日照時間が極端に短く、天候も曇り雨雪ばかり。2時間ごとに変わる目まぐるしい天気。
たたみかけるような風。

それがウソのように、まるでなかったかのように。春が始まる。

けれど、それがあったからこそ、春を色ごく感じられるのかも。

朝と夜の境目が碧く。
どこまでも青い空間で。

目を閉じたままでも感じられる青さは、心地よくて。

ゆっくり瞼をあけたとき、
目線の高さよりちょっと上に。

まっすぐに一本線の水平線が引かれている。


青と碧の境目が、きっちりと。
こんなにもまっすぐに。
こんなにも水平に。

それは、とってもうつくしいことに思えたし。
これまでもうつくしかったし、
これからもうつくしいことに変わりない。

こんな穏やかなアオの世界。
春の風と共に。

せかいは変わりなく、
いつも目の前にあったことに
とってもうれしく思った。
心から、思った、


4月の日記より


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