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印刷物の制作について。

ずっと前に、素敵な作品を描く作家さんに
初めてお会いする機会があり、素敵な作品ですねと
声をかけたら、

「ポストカードありますので買ってください。」

と言われた。

目が点になり…

どういう意図かさっぱりわからないまま、その場を
後にした。

お世辞など言えない性分なので、本音を言ったまでだった。素敵な作品であり、その作者に会えた事でますます
作品の魅力に深く感銘をうけるはずだった。

なんなら作品を所有したいと申し出る可能性もあったのに。
作品の説明もなくポストカードを買えと言う言葉だけを投げつけられた。

意図はわからないが、悲しくなった。

好きとか言うなら買え?

そうなら原画を勧めてほしかった。

私は変だろうか。


この日から、作品を印刷する印刷物を販売すること
についてずっとずっとずっと考えてきた。

自分以外の作家さんの活動やひとつひとつの選択に
ものを言いたいのではない。人それぞれであり、正解はない。

私はどうしたいのかをしっかり突き詰めて考え、
その時の最善を尽くしたいと思っているからこそ。

提示された金額で私は自身の絵を手放し、それを所有してくれる方がひとりでもいるならば、その複製商品を販売後も涼しい顔で売り続ける事を、
私は出来ないと思ったのが私の真実だと思う。

例えば。万が一、何かがどうにかなって。ある1作品が何十億とかになった暁には、ポストカードは勝手に売られるだろう。
そんな未来に、そういうことはとっておけばいい。
そんな冗談も浮かんだりして。

いまは私の手から手渡される、原画を大事にしてくれるその人を大事にしたい。

いい絵だねと言ってくれるその人を大事にしたい。

私はそんなスタンスでいたいと思った。

とはいえ、絵を描くにも売るにも売れていくことも現実的に必須ではある。
絵の具や紙、道具などは道端には落ちていない。
霞を食べている訳でもない。

売れていけば、また制作をすることが出来る。

というわけで、まだまだ知名度も名誉も何もない作家(私)は、印刷物用の作品を生むことにした。

これはプレタポルテとオートクチュールともいえるかもしれない。
こういう事をすでに考えていたりする人には会えなかったのだけど、考え方も実際に出来ることも作家の数だけあり皆違っているだろう。
いろんな考え方を聞いてみたいとは思う。

ひとまず、私の思いと所作はそんなところ。


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