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ここで一度、漫画のことについて書いてみる

あららぎです。

漫画家としてデビューして漫画のことを書いているブログを読み、私も一度、正直に『漫画』について書いてみることにしました。
ある意味人生のまとめのような内容です笑

私はもう長いこと漫画を描いています。
初めて描いたのは、兄の真似をした小学二年生の時。
コマが並び、吹き出しがあって、キャラクター同士が会話する…。
衝撃でした。
こんなに面白くてワクワクするものがこの世にあっただなんて。
それがわかってからは狂ったように画用紙に漫画を描き続けました。漫画サイズに切った画用紙に漫画を描き、それをセロテープでつなぎ合わせて本に見立てました。
仲の良い友達に読んでもらって、「続きは?」なんて言ってもらえたり。
自分だけが楽しいものだと思っていたら、読んでくれた人も楽しんでくれる。
そんな魅力に取り憑かれてしまいました。
鉛筆がのちにつけペンに変わり、画用紙が漫画原稿用紙に変わりました。

漫画家になりたくて、中学生くらいから出版社の漫画賞への投稿を始め、返ってくる講評シートは「もっとがんばりましょう」。
それでも「もっとうまくなりたい」と漫画を描くことは続けました。

学生の頃、数人の漫画家さんの元でアシスタントとして原稿を手伝いました。
セリフの入っていない原稿なのに既に面白さが伝わってくる。
プロの凄さを見せつけられました。

漫画って、描くのにものすごい労力がかかります。
例えば、30P描くとしてプロットに数日、ネームに数週間〜数ヶ月。
1Pにつき下書き2,3時間、ペン入れに数時間…。
そして読者さんが読む時間は10-20分。

漫画は生産面においてコスパは悪いです。
デザイン業界ではモノクロラフ一枚5,000円のところ、漫画原稿は原作・下書き・ペン入れすべて込みで一枚7,000円〜1,0000円です。

以前twitterのスペースでも言ったことがあるのですが、外の世界を知ると、
漫画を職業にしている人たちは能力が高いということがわかります。
企画の立ち上げ、キャラクターの作成・深掘り・キャラの関係性の構築、物語の構成・執筆、キャラクターデザイン、背景デザイン、作画に着彩…。
企業ではこの作業それぞれを各専門家がこなしています。
漫画家はなんとそれらを自分だけで全部やってのけます。(原作者と作画担当で分かれることもありますが)
企業だとこういったマルチプレイヤーは重宝されます。
商業での連載をしてるかしてないにこだわらず言えば、

そもそも漫画を描ける時点でその分野においての能力は高いのです。

担当編集にボツを食らい続けてるとメンタルがやられて「もう二度と漫画なんて描きたくない…!」となってしまうのですが、漫画を描いている皆さんにはぜひここに立ち返ってほしい。
編集さんが言ってくれないので、代わりに私が言いましょう。

漫画を描ける時点でその人の能力は高いのです。(二回目)

コスパも悪くて求められるハードルも高く、労力も半端ない。
辞めたいと思うこともしょっちゅうあります。

じゃあなんで続けるのでしょう。
私個人としては
漫画が自分の内面・世界観を見せるのにもっとも適しているから。
あとは、今のところ漫画ほど魅力を感じるものが他に見つかっていないからです。
漫画以上に魅力を感じる媒体に出会えたら辞めてしまうかもしれません。

しかしながら、
「面白いってなんだろう」を延々考えることのできる漫画はやっぱり楽しいのです。
「面白い」を考えることは「人間」を考えることです。
こんなにしんどくて楽しいと思えることは他にないです。

日本人は本当に漫画が好きです。
毎日長時間労働をして、心身ともに疲れ切っている私たちにとって、漫画は日々の助けになっているのではないでしょうか。
本を開けば気軽に違う世界に、魅力的なキャラクターに会わせてくれる漫画。

「あなたの漫画で救われた」

その一言をかけてもらった時、私は漫画を描いてよかったと心から思えました。

人を救うなんて大袈裟なこと、言い切れませんが
そうなれたらいい。そうなりたい。誰かの力になりたい。

このところ漫画を描くモチベーションが下がってしまっていましたが、
私はまた漫画が描きたくなることでしょう。

今だって、「あ、このアイディア面白くなるかもしれない」なんて考えてしまっています。
それくらい漫画には“惹きつける何か”があるのです。

子どもの頃の私は「漫画が大好きだ」とずっと周囲に言い放っていました。
漫画の良いところも悪いところも見た今の私が子どもの私に会ったらはこう言います。


「私だって漫画が大好きだ」




漫画を描く制作環境を整えるため、モチベーション向上のためご支援頂けたら幸いです。何卒、よろしくおねがいします!