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ドイツ統合30年「欧州 すくむ民主主義」によせて

日経新聞の10/3朝刊。ドイツ統一から今日で30年だそうだ。

実は、高校生のころベルリンの壁崩壊への流れをリアルタイムで見たことが、大学で政治学科を選んだきっかけだったので、とても感慨深い。

岩盤のように変わらないと思っていた政治体制が、みるみるうちに転換していくのは、歴史の目撃者として、とても高揚感のある体験だった。

当時は、自由主義・民主主義が明るい未来を作る唯一のソリューションに見えたものだ。

その後、政治経済学部でいろいろな理論を学び、「共産党宣言」も読んだし、マルクス経済学も含めて経済理論も学ぶことになった。目の前で否定された経済理論が、しっかり学ぶと新鮮に見えたし、共産党宣言の高揚感は圧倒的だった。だから、これが二十世紀の歴史を動かした原動力になったのも納得できた。

さて、30年経って今、自由主義や民主主義の負の側面が顕わになっていると感じる。特に、あのハンガリーが、コロナ禍をきっかけにして、独裁のゾーンに入っているという話はショッキングである。

自由主義は格差を生み出す。一方で、民主主義は一人一票という原理なので、格差の犠牲になる民衆の人口が増えれば増えるほど、自由主義へ反発する票が増える。自由主義と民主主義をセットで推進すると、このパラドックスに陥るのは避けられないのではないか。これが大学時代に疑問に思った最大の点だ。

そして、格差の犠牲になっている民衆の不満をてこにして、民主主義以外のソリューションが提示される。

… なんだか歴史を繰り返しているような気がしてしまう。

ここで出てくるのは、民主主義は究極の政治体制なのか、という論点だ。民主主義は最終形態なのか、それとも、その先にあるまだ見ぬ政治体制に至る中間形態なのか。

コロナ禍の結果、歴史の進化の速度が加速していると感じる。ドイツ統一から30年、あらためて、この問いへの答えを知りたくなった。



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