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非日常ではく、日常から地続きの旅に

年1~2回の海外旅行(出張)が何よりの気分転換だった自分にとっては、特に、日本から国境を出て、目的地の国境に入るまでの無国籍な解放感は、ストレスを吹き飛ばしてくれる、とても大切な時間でした。なので、コロナ禍で向こう数年は気軽に海外出来なさそうな未来には喪失感しかありませんでした。

残念ながら国内旅行一択となった昨今。密を避けるという観点では、一人旅の自由をこよなく愛する私のような人間が、今こそ観光業に貢献しなければ!と奮起して、国内旅行をすでに5回、Go to travelキャンペーンも2回使用しました。それまでは、海外旅行を懐かしんで航空会社の通販で空弁を取り寄せたり、リモートの海外ツアーを見たりしてましたが、そんなことをするくらいなら、コロナ禍で生まれたキーワードをヒントにして2020年しかできない旅をする、と発想を転換した次第です。

過密スケジュールならぬ過「疎」スケジュール

これまでは、ついつい過密スケジュールを立てた挙句、疲労を家に持ち帰るような旅行の仕方をしていたのですが、今は「密」の反対語である「疎」を意識した旅にしています。観光は1日1か所、食事も毎食張り切らずに軽く済ませる、うたた寝したり、ぼんやりする時間を作る、などです。目的地への行き方に迷うといった、焦る時間を極力減らして心が平穏にキープできるように努める、なんていうのも意識しました。コロナ禍で無意識に神経が昂っているこのご時世、あえて、空白の時間を設けて興奮を鎮めるのも、今っぽい旅の活用方法かと思います。

↓館内や室内で作品が見られるアートホテルに宿泊

リモート演劇で”遠征”気分を

緊急事態宣言をきっかけに生まれたリモート劇団の劇団ノーミーツの公演が7月にありました。オンライン演劇ですので、当然劇場はありません。逆転の発想をすると、自分で観劇環境を整えられるという自由を手に入れたともいえます。
遠方のコンサートや演劇を見にいくのを「遠征」と言ったりしますが、それをリモート演劇にも転用することを思いつきました。交通費をかけない代わりに、通勤圏内の高級ホテルを予約。最高級のリネンの上に寝転がったり、ルームサービスを楽しみながらオンライン演劇を見る。映画を配信で見るのとは違い、ライブ感があるのが演劇のいい所です。上演中もライブチャットで参加できるのはオンライン演劇ならではですし、終了後はTwitterやLINEのオープンチャットで感想をシェアしたり…。一人旅の割には見知らぬ人と交わる時間が多い、とても2020年らしい体験でした。

非日常ではく、日常から地続きの旅に

振り返ってみると、旅行でしか出会えないような出来事とか体験というのは、これからは減っていくのかもしれません。特別な体験をするために詰め込んだり、むやみに盛り上げたり。それよりも、場所を変えることによる気持ちや身体の微妙な変化を体験する。旅行先でしかできないことをするのではなく、日常でもできることをあえて旅先でやる。言葉も移動手段も日常から地続きの国内旅行は、それくらい肩の力を抜いてみてもいいのかもしれません。そうすると旅行の回数も増えて、日本国内の心地よい場所をもっとたくさん体験できるような気がします。

↓こちらの #どんな国内旅行したいですか という企画に投稿してます。

#日経COMEMO #どんな国内旅行したいですか

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