家族のエッセイを読みながら、小さな自信を手に入れたお話〜「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」を読んで〜


私は文章を書くことが苦手だ。
どのくらい苦手かというと、研修に参加した時に提出するアンケート用紙が摩擦ですり減ってしまうくらい。

どういう事かというと、感想を書いては消し、書いては消し、書いては消し…を繰り返すうちに紙がすり減ってぐしゃぐしゃになってしまう。
アンケート用紙がわら半紙だと、破けてしまい、提出の時に運営の人に苦笑いされた。

大学では卒論必須ではなかったため、4年生の時はゼミを取らなかった。
小論文・就活の志望動機・社内論文…
人生の節目節目に文章を書く機会がやってきては泣きそうになっていた。
今でも、毎年年に3回書く人事調査票ですら、書くことが億劫になる。

そんな私がなんと読書感想文を書いているのだ。
学生時代、最も嫌いな宿題だったのに!!
「書くこと」が苦手な私の背中を押してくれた一冊の本、そして作家さんに想いを重ねて綴っていきたいと思う。

ヒヤリハットの多い社会人でした


「瞬発力はあるけど、落ち着きがない」
「誤字脱字が多い」
「もっと集中して」
社会人になってよく言われようになった言葉だ。

「決められたことを決められた通りにすること」が苦手なことに気づいたのは、大学3年生の時。
劇場でのアルバイトでオペレーションが細かくて覚えることができず、よくミスをしては怒られていた。
オペレーションのマニュアルを自分で作り、バイトに入る前に毎回チェックしていたものの、お客様を目の前にすると、焦って何かを忘れてしまうのだ。


就活を控えていた私は、ひとつの決断を下す。


「ルーティン業務は絶対にしない」


苦手なことをやると絶対に周りに迷惑をかけることに気づいた。
その一方で、掛け持ちして電化製品のキャンギャルのバイトは楽しかった。


「人と話すことが好きだし営業の方が役に立てるな」


と営業系の部署を希望し就活。
入社後も営業系の部署を渡り歩いてきた。
とはいえ、一定数の事務処理はもちろんあった。
何ならこの5年は入社して一番事務処理をする時間が多い。

人と話す仕事をしている時は楽しいのに、事務になると辛くなる。
もともと細かいことが苦手だったこともあり、事務処理の時には盛大にやらかした。
書類の訂正箇所を見落としてそのまま処理してしまい、誤った内容で処理が進みそうになったり。
勘違いから誤った事務処理をしそうになり、危うくお客様に迷惑をかけそうになったことも。

ヒヤリハットが起きるたび、胃が収縮し、心臓もバクバク。
「なんで人と同じようにできないんだろう」
怒られるたびに自己肯定感がどんどん下がる一方だった。


「あ、私だけではないんだわ。」


遡ること、2019年9月。
とある noteがTwitterのTLで流れてきた。
『赤べこ』の岸田さんとの出会いはそこからだった。

その時の気持ちは残念ながらよく覚えていない。
ただ、読みながら笑った事と心が温かくなった事は覚えている。
なんなら読み終わるとちょっと泣いた。
そこから岸田さんは私の中で推しになった。

私も地元で売ってるファービーが英語版しかなく、欲しい欲望に任せて何も考えずに買ってもらった事を思い出したり。
(ちなみに初めて手に入れたたまごっちも、多分海外版だった。)
前園さんに会いに行く時には読みながら応援したり。

多分、デビュー目前に控えたアイドルを応援する、みたいな感覚だったと思う。
だけど、アイドルのように遠すぎる存在ではなかった。

「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」にも会社に勤めていた時の様子が描かれている。
仕事で沢山失敗してきた私は、失敗談を読んでは大きく頷きまくった。
何より、「自分に自信なんてこれっぽっちももてなかった」が胸に刺さた。


「あ、私だけじゃないんだ」


と安心させてくれたのだ。
目まぐるしく活躍されていて、眩しい存在。
だけど、その裏では沢山の苦労をされていたこと。
華やかに見える部分だけでなく、苦手なことにもがき苦しんでいた等身大の姿にシンパシーを感じたのだ。


未来の自分に希望を持てた。

自信があるかないかと聞かれれば、自信はない方だ。
怒られないように、周りから嫌われないように、と気を使うことが多い。
一方で、元々目立ちたがり屋のため、みんなによく思われたいと思う。
自分ではなく、人からの評価を求めてきたのだ。

35歳を目前に控え、周りを見渡すとどんどん凄い人達が現れた。
一方、ただただ年齢を重ねてきただけで、これといったスキルもない私。
眩しい人達を見るたび、そうなれていない自分に落ち込むことも。
自信のなさから自分と向き合わずにきたのだ。

そんな時にこのエッセイは私の心の拠り所になった。
読むたびに、クスッと笑いつつも、温かい気持ちになる。
そこには沢山の愛があるから。

自信を持てたかというと、完璧には持てていない。
岸田さんみたいに沢山努力しているかと問われれば、まだまだ道半ば。

ただ、こうして「文章を書くこと」が苦手だった私が、人様の目に触れる場所にたまに自分の思いを時たま綴るようになった。
自信がなかった私にとっては大きな変化だ。

小さな自信がいつか大きな自信になる。
その時までこの本を繰り返し読んでいこう。


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