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コロナ自粛開始以来

初めての、5ヶ月ぶりの舞台でした。先生生徒にとっては人生の歴史に残る大きな本番。この日を迎えられたこと、この日を迎えるために日々悩んでこられた方々、そして、私を一緒にステージに立たせてくれたこと、本当にありがとう。私にとっても、この本番はとても印象深いものとなりました。

人と合奏すること、外の人と話すこと、外の人と過ごすこと、子供と離れて仕事をすること、お昼に楽屋でお弁当をいただくこと、人に演奏を聴いていただくこと、人に自分が見られていること、全てが久しぶりで、ソロだったわけでも緊張する本番だったわけでもないのになんかものすごく疲れて、娘が作って待っててくれた串揚げもポテサラもものすごく美味しかったのに思うように喉を通っていかず、息子を寝せるのに精一杯で、娘の就寝を待てず息子と一緒に寝てた。

今ふと目が覚める直前に、息子を14時から外でプールさせて遊ばせてるのを忘れて16時まで放置してしまった夢を見てた。あぁもうダメかも、なんでこんな事を、と思い泣きながら迎えに行くと、息子が私の母校の小学校の校庭で、寒い中下着一枚でビショビショになりながらプールの中に砂を入れて砂遊びしてる。
周りにはおばあちゃんと遊んでる同じくらいの幼児がちらほら。誰も息子を見ていない。
「(息子の名)、ごめんね!!!!」
そう言って走り寄り近づくと、私に気付いた息子がとても嬉しそうに微笑む。

あぁ、一人で遊べたんだ、よかった、この子は私が絶対に迎えに来るって信じてたんだ、それなのに…ごめんね、ごめんね…生きててよかった…

次は娘。娘も迎えにいかなくちゃ。携帯を忘れた。Apple Watchから私の携帯に電話すると(どういうこっちゃ)私の高校の頃の恩師が電話に出る。娘は学校でお昼ご飯中。大丈夫だよ、かわいいよ、とのこと。(夢だから時間設定おかしいね)娘の笑顔が脳裏に浮かぶ。寒空の下水遊びし続けて冷たくなっちゃった息子を抱きかかえながら、泣くのを我慢して一生懸命走る。

というところで目が覚める。

子供を義母にお任せして連日1日中仕事に出たことが久しぶりすぎたのか。

帰宅後全然構ってやれなかったことへの後悔なのか。

部屋を冷やそうと温度を下げた部屋で寝落ちして自分が寒かったからか←

その夢を見た自分の心理がわからないけど、あの息子の、私を見つけたときの顔が、夢なのに忘れられない。

って書きながらもう忘れ始めてるから夢ってすごい。

本番「君を乗せて」を演奏しながら、引退する3年生が読んだ手紙を舞台上で聞きながら、ウルッとした。

今年を学生、生徒として生きる子たちは、なんと辛かったことだろう。いろんな葛藤があったことだろう。大人とは違う悩みをたくさん抱えながら、希望を何に見出せば良いかわからなくなることだらけだっただろう。私はその子たちに何をしてあげられただろうか、いや、何もできない。何もできなかった。

「休校中、定期演奏会を開催できるようにたくさんのことをしてくださっていた先生、最高学年として出場する予定だったコンクールも中止になり、目標を見失った私たちは、定期演奏会のために頑張りました。ありがとうございました」
という内容の手紙を読んでいるのを聞いて、私まで目頭が熱くなった。

声を大にして社会に呼びかけられる権威を持つ人もたくさんいる。
その権威を利用して社会に助けを求める。寄付金を募る。それも、自分が、音楽が、芸術が生きていくためには、芸術の歴史が途絶えないためには、絶対に必要なこと。

でもその一方で、声を上げる暇もなく、世界に向かって声を上げられる立場でもなく、しかし家族ではない誰かのために毎日毎日一生懸命、図らずも自分に責任がある誰かの人生が前に進むように動いている人がいる。

そのことに、心から感謝している誰かがいる。

自分が大切にしたいもの、価値観、人。
自分は何のために生きたいのか。

ものすごく考えさせられる本番でした。

自分は、こんなにエネルギー使う事を仕事としてやってきたんだということも、コロナ前は「普通」だったから知らなかった。

家族の中の私、子供の社会の中での「母」ではなく、自分を主体とした社会の中で生きることが、こんなに刺激のあることだったんだということも忘れていた。というか、恐らく認識していなかった。

コロナウイルス。世界をメチャメチャにしたこのウイルスは、身体ではなく、人の心をメチャメチャにした。きっと人はこうして滅びていくんだなと思う。人を殺し、人を自殺に追いやり、他人を責め、人同士で命の灯火を消しあう。未来を真っ暗にし、出口も見えず、小さな世界に塞ぎ込む。それは、災害で命を落とすよりも余程、人間の醜さを思い知らされる。自然に人は勝てない。ウイルスと共に生きることはできても、ウイルスに勝つことは、人にはきっとできない。

パソコンと同じ。それを直せる人、解決できるかもしれない人は一握り。私はパソコンの中の小さなアプリのひとつでしかない。何もできない。いつ消えるかもわからない。それでも、私を必要としてくれる誰かのために、私は希望を持って、明日も明るく笑っていたい。

こんな世界だけど、まだもう少し、あと50年くらい、、我が子の成長を見届けるまで、幸せだなと思いながら、毎日を生きていたい。

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