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【会計の基礎】流動資産と流動負債とは?【見方、分析、計算など】


中間決算の時期に近づいてきましけど、いかがお過ごしでしょうか?

時期的にも年の後半に入っていくこともあり、投資家であればウォッチしている企業、事業家であれば自分の会社の会計・決算についての関心が高まっている頃でしょう。

ということで本記事では会社の安全性を分析するための指標について経営者・投資家両方の視点から見ていきたいと思います。


1.流動資産と流動負債

流動資産
現金預金、受取手形、売掛金、棚卸資産など基本的に1年以内に現金化される資産

流動負債
買掛金、未払金、借入期間が1年以内の短期借入金などが該当します。
https://advisors-freee.jp/article/category/cat-big-02/cat-small-04/7762/より


企業の決算書は"借り入れ"からスタートする、ということをまずは覚えておきましょう。

なぜなら企業は基本的に借り入れて、その資本を投資することで利潤活動を行うからです。

つまり、複式簿記は貸方、負債や純資産が入るところからスタートします、というか負債から見たほうがお金の流れがわかりやすい。

なので、今回の流通資産と流通負債という視点から考えると、"流動負債からスタートする"ことを覚えておきましょう。そしてその流動負債が現金として保有されていたら(つまり借り入れたのに投資しなかったら)、それがそっくりそのまま借方、資産のほうに流動資産として記入されることも理解しておいた方がいいでしょう。

そして、まさにここで企業分析の超重要指標である流動比率が出てくるのです。

流動比率=流通資産÷流動負債
→1以上であれば優良企業、それ以下であれば債務不履行(破産)の危険性を考えなければならない

借りた金よりも流動資産が少ない。そしてクレジットは1年以内に返済しなければならない負債で資産はその逆なんですから、流動資産を流動負債で割って1を下回っていたらその企業は場合によっちゃマズいということがわかります。


a.流動資産と利潤率

一方で、これが1以上であればデフォルトの危険性がなくなる他、借り入れた金を投資してそれ以上に"安定した利潤"が得られていることも意味します。

流動資産が1以上=(借入-現金)つまり0+利潤
借り入れ以上に保有されている資産は利潤によって裏付けられていますから、流動比率の高さはその企業の利潤獲得力の強さも表すのです。


b.低い流動比率

しかし、一方で流動比率が低くても経営が安定している企業があります。いい例はアメリカのフィリップ・モリスですね。

あの会社は大量に借り入れをしている分、大量のタバコを安定して売り、そこで獲得した利潤を使って借り入れを返すという方法を長年とっています。

依存性が強いタバコという商品を売っているからこそできる所業ですが、つまり言いたいこととしては流動比率が低いのに長年安定した経営を行えている企業も流動比率が高い企業と同じように高い利潤獲得力を誇っていると言えるのです。

もちろん、その企業が売っているものが売れなくなれば終わりなんですけど、流動比率が低いのに長年安定した経営をできている時点で何かしら他とは違った強みがその企業にはあるということですから、フィリップ・モリスであれば"依存性の強いタバコ"というようにリサーチして"なぜその企業が強いのか?"という秘密を探ることをおすすめします。良い投資先になるかもしれません。


c.流動負債の行き先


流動負債は現金としてそのまま持っていても基本的に意味がありません。もちろん、景気後退を予想したりした場合は現金として保有しておく、というのもあるんですけど、基本的にはそのままにしていても金利を払わなきゃいけなくなるので意味はないと。

つまり、借り入れたクレジットはさまざまな資本として形態変化していくのです。例えば生産のための機械、労働雇用費、研究開発費などとして、貸借対照表の借方の固定資産や損益計算書の借方の費用となって形を変えるわけです。

そしてその投資がうまくいけば、損益計算書の借方、純利益の部分として本来なら借り入れただけであったはずのクレジットを、新たな利潤を産む資本への転化に成功したのです。

つまり、ここで見るべき部分は流動負債がどのようなビジネスに、またどんな形で投下されているかということです。

株式投資でこれを見るのは難しいんですけど(決算書にはいつの借り入れをどうやってどの事業に投資したかまでは書いていないため)、自身の経営する会社であればこれを詳細に見ることが可能です。

ROI、つまり投下資本利益率がこれを示します。

ROI=利潤÷投下資本
→事業別に計算してもいいし、会社全体で計算すればその会社がどのくらい借り入れを効率良く回転させられているかがわかります。1を下回っていれば赤字ということ。

ついでにこのROIを1になるまでかけてやる、例えばROIが0.2の場合、0.2×5をすれば1になるので5年で投下した資本を回収できると考えることができます。(1を0.2で割ってもいいんですけど)

ただ、もちろん事業の拡大を視野に入れることができませんからあくまでも最低限の目安ですけどね


d.流動比率の偽り


流動比率は流動資産から流動負債を割るという特性上、1を出すのは容易なんです。借り入れた金を使わなければいいんですから。

ですから決算短信を見るときには、やはり流動比率だけでなくちゃんと利益率も見なければならないということは覚えておきましょう。

あくまでも流動比率は"経営の安定度"を図るための指標ですから。


まとめ

1.流通資産と流動負債は1年以内に変動する
2.企業の安全性、流動比率は1以上
3.1以上の一層の流動比率、また1以下の長期的な流動比率の低さをもつ企業は高い収益力を誇る可能性がある
4.大事なのは流動負債が投入される場所
5.流動比率だけでなく、利益率も見るべし!!


ということで今回はここまで。
ありがとうございました。

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