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コーチング超入門|自分で実践できるスキルをいいとこ取り

こんにちは。秦です。
北海道にある浄土真宗のお寺に生まれて、今は住職になる前の俗世での修行期間として、Hakaliというメンタルケアアプリを開発するスタートアップで働いています。サイドワークとして、プロコーチとして活動しています。


先日、早稲田大学の大隈塾というゼミの卒業生コミュニティで、「コーチング超入門」講座の講師をする機会がありました。これがなかなか好評だったので、noteにも内容を公開します。

ざっくりコーチングの理論を学んで、日常生活に使えるテクニックをいいとこ取りできる資料になっています。
コーチングちょっと気になってるんだよね〜という方、是非読んでみてください!
(※コーチングには複数流派があり、ここで紹介するのはあくまで自分が学んだコーチング理論を自分なりに編集したものになります。)

ちなみに今回講座を作る際、特に意識したのが「コーチングの胡散臭さ」を払拭するということ。

コーチングは流派が無数にあり、またコーチによってスタイルもかなり異なります。それゆえコーチの質にばらつきがあり、「熱量を押し付けられた」「上からでうざい」「説教されてるみたい」「スピリチュアルっぽい」などネガティブな印象を持っている方も多いようです。

僕が学んだコーチングは、学べば学ぶほど驚きの連続で、自分なりに確立していたコミュニケーションの正解が次々と覆されていきました。めちゃくちゃ面白いです。なので、できるだけ胡散臭くないということをわかってもらえるよう、中立的に要点をかいつまんでいます。

では本編です。

コーチングとは

まず、コーチングの定義から見ていきます。

国際コーチング連盟(International Coaching Federation)では、コーチングは以下のように定義しています。

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特に注目して欲しいのが下線部「クライアントが自身の可能性を公私において最大化」させるという部分。つまりコーチングとは、受ける人が自分の可能性を最大化することが目的ということです。そのためのサポーターとして、コーチがいる構図です。

そしてコーチングにおけるコーチのあり方を規定するのが、「コーチングマインド」というもの。

コーチングでは、クライアントの持っている可能性を信じ、
すべての答えはクライアント自身が持っていると考えます

これをコーチングマインドと言います。
大前提、コーチが何か教えたり導いたりすることはなく、あくまでクライアントの中にしか答えはない、というスタンスを取ります。上から指導したり、何かを押し付けたりは絶対にしません。


コーチングとカウンセリング、ティーチングの違いは?

次に、コーチングとカウンセリング、ティーチング、コンサルティングの違いを明らかにしておきます。これらは以下のように分類できます。

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縦軸は、答えの有無です。下側のコンサルティングとティーチングは、専門性を持ってクライアントに答えを提示します。一方で上側のカウンセリングとコーチングは、提示するような答えは持ち合わせず、あくまで傾聴と問いかけによりクライアントの中にある答えを導き出します

横軸は、問題(ネガティブ側)にフォーカスを当てるか目標達成(ポジティブ側)にフォーカスを当てるかの違いです。左側に分類されるカウンセリングとコンサルティングは、基本的に自分を苦しめる問題の解決を目指します。右側のコーチングとティーチングでもそのようなテーマは扱いますが、コーチングのメインは、現状よりさらに良くしたい、大きな目標を達成したい、といったポジティブ面にフォーカスを当てた0→1を扱います。

これは一般的な分類ですが、厳密にはそれぞれ領域がオーバーラップしている部分もありますので、あくまで大まかな分類だと思ってもらえると良いかと思います。

コーチングの効果

次に、結局コーチングって何が得られるの?ということですが、ざっくり分けると以下の5つくらいに集約されるかと思います。

①漠然とした目標が明確になる
②目標達成のためのアクションが具体的になる
③継続セッションによって怠けず頑張れる
④誰かに話すことでスッキリする
⑤心から応援してもらえているという安心感を得られる

①②がコーチングの醍醐味ですね。コーチが壁打ち相手となって、クライアントの思考ややりたいことの整理のサポートをします。そして、整理ができたら、明日からできる第一歩をどう踏み出すかまでブレイクダウンしていきます。

③も大事なところです。心が強くて自分を律することができる人にはぶっちゃけコーチングは必要ありません。しかしそんな人多くないですよね。僕も何かやろう!と思い立つことはよくあるのですが、よくて3日坊主、下手すりゃ1時間後にやる気がなくなっています。そういう時に、コーチと約束をすることで、しっかりとコミットできるようになります。

④⑤も意外と効果が大きいです。社会人になると、心からなんでも話せて頼れる人って少なくなるんですよね。皆忙しくストレス溜めながら頑張ってるので、「自分ばっか話して悪いな」「自分の話なんて大したことないしな」などと遠慮してしまいがちです。コーチングのコーチは、利害関係の全くない第三者なので、なんでも話せて心地良かったりします。

コーチングで得られるものって意外とこんなもので、飛び道具的なすごい技があるわけじゃないんですよね。結局は、実直に一つ一つ前に進んでいくしかありません。
だけど、一人でやるよりは何倍にも速く進めるようになっていきます。これがコーチングの最も重要な意義の一つだと思っています。


コーチングの流れ

ここからより具体的な理論の説明に入っていきます。
コーチングはざっくりと以下のような流れで進行していきます。

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アイスブレイクから始めて目標を決め、最終的には明日からできる最初の行動をコーチと約束するところまで具体的に落とし込んでいきます。

コーチングピラミッド

このコーチングを成立させるのが、コーチングピラミッドという概念です。

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下から土台を積み上げて、一番上にあるスキルを支えているような構造です。

コーチの資質として、まずは自己基盤が必要です。そこが不安定だと、クライアントのサポートをする中で雑念や迷いが生まれてしまいます。

次にコーチングマインドは先ほど説明した通り、「クライアントの中にしか答えはない」とクライアントの可能性を信じ抜くスタンス。

そしてその上に信頼関係(ラポール)がきます。普段の生活でも、信頼できない人に自分のプライベートなことを共有したり、質問をたくさん受けたりってあんまりしたくないですよね。信頼できる人と思えて初めてコーチングが成立します。したがって、まずはクライアントと信頼関係を築いていくことを非常に重視します。
ちなみに、逆に言えば「この人ちょっと信頼できないな」と感じる場合は他のコーチを探したほうがよさそうです。

これらの基盤がしっかり整って、初めてその上にコーチングスキルが活かされます。


明日から使えるコーチングスキル集

さて、ここまでコーチングの概念を説明してきました。ここからは明日から使える日常コーチングスキルをご紹介します。

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コーチングスキルは上記の4つに大別されます。

それぞれについて、主要なスキルをつまみ食いで一気に紹介していきます!

認めるのスキル

まず「認める」のスキルから。

クライアントから出てきた言葉や考えを、判断を挟まずそのまま受け止め認めることで、クライアントが安心感を得、コーチと信頼関係を築いていくことができるようになります。

主な認めるのスキルには、以下のようなものがあります。

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特に僕が目から鱗だったのが、「比較表現を使わない」ということ。ある発言に対して「とってもいいですね!!!」と反応した後に、違う発言に対して「ほう、いいですね。」と言うと、クライアントは自分の発言が評価されているように感じて話しにくくなってしまいます。

「むやみに褒めない」というのも同様で、一度褒めてしまうと、褒めない時に「これは褒めてくれないんだ。。」と評価された印象を受けてしまい、安心して話すことが難しくなってしまいます。

日常生活で同じで、普通に話していると、ついジャッジしたり評価したりしてしまいがちですが、特に相手に安心して話してもらいたいという場面では、これらを意識することで話し手に安心感を与えることができるはずです。

聴くのスキル

コーチングをやっていると、しばしば自分はただ聴いているだけなのに、クライアントの中で勝手に思考が整理されて満足してもらえる、ということがあります。特別な問いかけなどをせずとも、誰かに壁打ち相手となってもらって話をするだけでも考えは整理されていくんですね。なので、できるだけ相手に気持ちよくたくさん話してもらうことを意識するだけで、コミュニケーションは随分と変わっていきます。

主な聴くのスキルには、以下のようなものがあります。

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この中でも「沈黙」は、わかっちゃいるけど難しいスキルですね。コーチングでは時にクライアントの内面の深いところまで話すことになるので、言葉がうまく紡がれないことも多々あります。そうした時に、慌てて言葉をつなぐのではなく、「この沈黙はこの人にとって必要な時間なのだ」と捉えてじっと待つことが、クライアントのより深い思いを引き出すことに繋がります。

他には、これも目から鱗だったのが「プラスの否定をしない」というもの。
皆さんは、「俺なんて全然ダメだからさ。。」という卑下の言葉に対して、つい反射的に「え!全然そんなことないじゃん!」と言いたくなってしまった経験はありませんか。僕もいつもそのようなコミュニケーションをとっていました。
だけどコーチングでは、励ましのつもりでも発言を否定することは避けるべきと考えます。なぜなら、否定してしまうとそこから先に話が進まなくなってしまうからです。そうではなく、まずは「そのように感じているんですね。」と本人の発言を受け止めます。このようなニュートラルな反応が来ると、話し手ももっと説明しないと、という気持ちになって、そこからさらに話が続いていきます。

僕も日常生活でつい「プラスの否定」をしてしまいがちでしたが、コーチングを学んでからそれを実践してみたところ、本当にこれまでよりも深い話をしてもらえることが増えました。日常生活に多くみられるシーンだと思うので、ぜひ機会をみて試してみてください。

質問するスキル

質問はコーチングの醍醐味です。コーチングで一番楽しいところの一つです。質問と言っても、コーチングにおける質問の目的は、クライアントの中にあるものを引き出すことになります。自分が情報収集するための質問ではありません。クライアントの中の曖昧なものに対して、あらゆる角度から光を当てて、全体像を明確にしていきます。

主な質問のスキルには、以下のようなものがあります。

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オープンクエスチョンはYES/NOで答えられない質問です。YES/NOで答えられる質問が続くと、口数が減ったり、場合によっては尋問のように感じさせてしまうこともあります。できるだけオープンに、答えの幅が多様に持てるような問いかけをしていきます。

個人的に、質問スキルの中でも一番面白いと思うのが、視点移動の質問です。

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皆さんのご経験の中で、他人のことは冷静にフラットに考えられるのに、自分のことになると急に認知が歪んだり、思考が止まったりして、うまく向き合えなくなることってありませんか。僕はめっちゃあります。
そういうときに効果的なのが、視点移動の質問。視点を自分から外して過去未来、第三者、仮定などに置いて思考を柔らかく広げていくテクニックです。
これをやると、どう捻っても出てこなかった本心がすんなりでできたりすることがあります。どの質問をどのタイミングで投げかけるかが難しいのですが、うまくできれば大きな効果を発揮します。

フィードバックするスキル

最後に、フィードバックです。これもコーチングにおいては重要な要素の一つです。コーチが感じたことを率直に伝えることで、相手は今の自分の様子を客観的に認識できるようになります。そして相手自身では見えていないことに意識が向き、新しい気づきが生まれていきます。

主なフィードバックのスキルには、以下のようなものがあります。

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セッション途中でも、客観的に感じたことは都度伝えていきます。話し振りを見て感じたことを率直に伝えてあげると、自分が思っている以上に熱量があったり、その逆だったりということを俯瞰してみることができます。

おまけ|コーチングのよくある失敗例

ここまで書いてきたことを理解していても、なかなかうまく行かないこともあります。よくある失敗例をまとめてみました。是非参考にしてみてください。

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まとめ

以上、バーっと書いていきましたが、コーチングの概要はつかめたでしょうか。少しでも興味を持ってくれたり、実践しようと思ってくれる人がいたら嬉しいです。

最後に僕がコーチングをしていて感じていることを書いておきます。結局のところ、コーチングで一番大切なのは、「いかに盛り上がってモチベーションを高められるか」だと思っています。論理的に整理して進めていくことが効果的なこともありますが、結局行動するのはその人自身です。どれだけ美しい整理をして綺麗な戦略を描いたとしても、その人がやりたい!と思えて継続できなければ何の意味も持ちません。
なので、コーチングではたとえコーチ目線で筋の悪そうなアクションプランだったとしても、クライアントがやる気に満ち溢れていればそれを尊重します。うまくいかなくとも、それもクライアントにとっては学びになり、次への糧になります。何より大切なのは、やる気を保ち続けることです。そのためにコーチが存在していると言っても過言ではないと思います。本当に上手いコーチは、それが自然にできていて、話しているだけでやる気が湧いてきます。

僕もまだまだ経験が浅いですが、コーチングは本当に好きだなと思えるので、これからさらに腕を磨いていきたいと思います。


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