日本からオーロラ姫が消える日
昨今の日本のディズニーでは『眠れる森の美女』の『オーロラ姫』という存在が消えかけていると感じている。
グッズを見てもラインナップはベル、ラプンツェル、アリエル…シンデレラやジャスミンも加わっており、たまに白雪姫も入っているがオーロラ姫の姿が見えないものが増えた。
オリエンタルランドが運営するディズニーランド・ディズニーシーのどちらにも『眠れる森の美女』関連のアトラクション等施設はなく、オーロラ姫単品のグッズもほぼ無いに等しい。
ディズニーアプリで『オーロラ姫』と検索した時と、『アリエル』や『ベル』と検索して比較してみてもその差は明らかである。
また、オーロラ姫のいるグッズがあったかと思えば、他のプリンセスの後ろに埋もれているだけ。
オーロラ姫がメインのグッズは見当たらない。
(※2023年春現在)
『オーロラ姫』は確かに作品の中で見れば登場時間が明らかに短く、後半は眠っているだけである。
『眠って起きたら好きな人と再会しただけ』のプリンセス、と言われても間違いではないし事実その通りだ。
まずそもそものタイトルが『眠れる森の美女』なので眠るのはその通りの行動(運命)であるし、むしろ「主人公は3人の妖精だ」という意見があり、それはそうだとも言える。
ただオーロラ姫は他のプリンセスと同じく優しさや美しさ、そして芯の強さを併せ持つ、まごう事なきディズニープリンセスだと思っている。
それに『眠れる森の美女』には、オーロラ姫以外にも魅力的なキャラクターがたくさんいる。
3人の妖精・フォーナ、フローラ、メリーウェザーはとても個性的な妖精だ。
考え方の基準が妖精のそれなので、人間から見ると「オイオイ」とツッコミたくなることも多いが、いずれも人間に対する『優しさ』からくるものであり、それが彼女たちの魅力なのだろう。
何より妖精たちによるケーキとドレス作りのシーンは幼少期に見ていてとても楽しかったし、今の子どもたちに見せても食い入るように見ていたので嬉しかった。
他の登場人物としても、勇敢に戦うフィリップ王子。
「ローズとの出会いがほぼ不審者www」と言われるが、そりゃ一目惚れの相手に出会ったら男は一直線だろう。
そして16年間も森から出たことがないオーロラ姫からしたら、初めて出会った人間の男(オス♂)である。
2人とも浮つかない方が不自然だ。
そして何よりフィリップ王子のポテンシャルは高い。
あの大量のグーンたちが投げつけてきた武器に対して『かすり傷ひとつ』追うことなく崖を降りている。
(ズボンすら破けてないし、まず崖を降りたのに汚れていないというのはツッコまないでおこう)
馬のサムソンも、普通の馬であれば恐れるであろう攻撃に怯むことなく突き進み、更には跳ね橋から大ジャンプまでしてみせた勇猛な馬である。
フィリップと揃って、ポテンシャルが普通の人間と馬のそれを超えている。
(フィリップ王子の父ヒューバート王が「息子のどこが不満なんだ!?」と怒るシーンがあるが、フィリップ王子はマジで不満など一つもない完璧な『物語の王子』であると伺える)
他にも、ステファン王とリア王妃も娘の無事を祈り続ける優しい両親で、ヒューバート王も茶目っ気たっぷりなキャラクターである。
2人が乾杯するシーンも冷静に見れば『この時間いる?』という感じだが、これはこれで愉快なので面白い。
(※私は決闘の際に魚が ヘニャッ とするシーンが好きだ)
マレフィセントも魅力あるキャラクターで、彼女の名前を扮した実写映画が作られる程なので詳しい解説等は省くが、『眠れる森の美女』のオーロラ姫以外にも個性的なキャラクターがたくさんいるのがわかる。
マレフィセントと比べると存在感の薄いと言われるオーロラ姫。
(※マレフィセントはハロウィンではほぼ主役級の存在であり、いつもプリンセス集合絵の後ろにいるオーロラ姫とはえらい違いだ)
しかし私はそれでもオーロラ姫が大好きなのだ。
森の中で初めて王子と出会った時の場面や、エンディングでの幸せなダンス。
ラストも妖精たちの意地の張り合いでドレスがピンクとブルーに美しく変化していくシーンはこども心ながら印象的で、「いつか私もこんなお姫様になりたい」と思った人も少なからずいるのではないだろうか。
ただ眠れる森の美女は設定的に、『いや「お隣の国」ってどこだよwww』『てか全員眠らせたらダメでしょ!他の国から攻められたらおしまいじゃん!』『「お隣の国」の王様(ヒューバート王)まで眠ってるじゃん!』みたいなツッコミもしたくなるので完璧な物語とは言いにくいが、むかし話にツッコミを入れたらそれこそ他のディズニー作品も挙げなければならないのでキリがない。
しかしたとえツッコミどころ満載な作品でも、私は好きだ。
この夢と魔法の溢れる、ハッピーエンドな物語『眠れる森の美女』が大好きだ。
オーロラ姫とフィリップ王子、そして眠れる森の美女のキャラクターたちを愛している。
それだけは変わらない事実だ。
だが結局のところ、現在のディズニーではクラシックと呼ばれる作品の中でも『眠れる森の美女』は無用の長物なのだろう。
ディズニーランド40周年記念のパレードがそれを物語っている。
登場するプリンセスの中にオーロラ姫の姿はない。
完全に切り捨てられてしまった。
これが『今のディズニーの答え』なのだ。
それがとても残念でならない。
最後に。
海外では眠れる森の美女もといオーロラ姫ファンにはたまらない、理想的なパレードが行われている。
今の日本のディズニーではできないパレードだと感じた。
いつか日本から『眠れる森の美女』が。
『オーロラ姫』という存在が不要な存在として消えるのではと、考えるだけでつらい。
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