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オーディブル読書 『腰痛放浪記 椅子がこわい』夏樹静子 

ネタバレあります。




『Wの悲劇』などで、有名な小説家。
夏樹静子さんが、54歳の頃、3年間、原因不明の慢性腰痛に苦しんだ手記が生々しく描かれています。

そして、最終的には、2ヶ月の入院のその最後の最後に、劇的に回復するのですが、治療は、断食。
森田療法を用いた方法で、原因は、心身症だという事でした、

3年間、著者は、ありとあらゆる検査、治療、また祈祷なども行い、鍼灸も、何種類か試されましたが、ほぼ効果なし。


鍼灸師として、悔しい気持ちになりました。


鍼灸師として、これは、心持ちから来ているのでは?という症状に出会します。それも、結構な頻度で。
しかし、私は、ひたすら、体のバランスを整えるように、鍼を使い続けます。
体のバランスというのは、フィジカルな体だけでなく、メンタル面のバランスも、鍼灸で整えられると信じています。
例えば、肝のバランスを整えると、怒りっぽいのが、落ち着いてくることもあります。
怖がりも、泣き虫も、東洋医学では、バランスの乱れです。

それでも、週に一度か、月に一度、鍼灸を受けただけでは、
それ以外のその方の、考え方の癖、ストレス、こだわりなどが、またバランスを崩してしまいます。

私は、今来られている数人の患者さんを思いました。

夏樹静子さんは、明るい性格で、心身症になるようなタイプでひないと、ご自分で、初め、腰痛の原因は心だとは、納得されませんでした。入院されても、なお、疑っておられました。

入院し、断食中に、平木医師が、痛みを受け入れるという事をおっしゃっているのは、とても、共感しました。私の腰痛の経験から、痛みを拒絶し、痛みを敵とみなすことで、痛みも、私を敵とみて、攻撃してくるということは、経験しました。

私の中学の時の腰痛体験を思い出し、著者の辛さに
同調しながら、聴き入ったのでした。

心が体に影響するというのは、もう疑いようがない事実です。



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