挑戦し続ける人

 A rolling stone gathers no moss.
この「転がる石には苔はむさない」という言葉をアメリカでは常に新しいことに挑む活動的な人だという良い意味で、そしてイギリスではコロコロ変わって苔すらむさない、信用の出来ない人だという悪い意味と捉える、というのは有名な話だが。さて、あなたはこの言葉をどちらの意味と取るだろうか。
 日本はご存知の通りイギリス的考え方で同じことをコツコツ続けることの美学がある。私たちはその環境で育っているので、恐らく「信用できない人だ」という見方が多いだろう。転職を繰り返す人、住所がコロコロ変わる人は信用出来ないという考え方。

 さて、今の私にそれを問うてみた。今の私は迷いなく「良い方」の意味で捉えるだろう。でもきっと若い頃の私はそれを言うことを躊躇したに違いない。私自身若い頃から変化が好きだった。それも自分で決めて自分で作る変化。だから必然的に学校が苦手だった。でも人には言えなかった。毎日決められたことをきちんとこなすのが私たちに求められていたことだし、それが出来ない人は無能な人だと判断されるから。それが怖かったのだと思う。

 学校を出てから、それまでしたかったことをした。周りの人が就職活動に勤しんでいる時、私は必死でバイトを掛け持ちした。そして大学卒業後海外で1年暮らした。誰も何もつてのない国に出かけて一人で0から始めてみた。家を借り、仕事を探し、家事をして友達を作った。
 帰国後もたくさんのバイトをした。全くの素人から始めたことだったが、バイトの時にいろいろな仕事の方法を習い、その多くで社員登用の話をいただいた。その内幾つかの仕事で社員になり会社に貢献した。
その後自分で事業を始めて現在に至る。今の仕事では過去のバイトから広告、営業、教育など様々な経験が活きている。月並みな言葉だが、経験は宝だ。更に付け加えるとするなら、素直さや楽しむ力は宝。私がいろいろな国や職場で大切にしてもらったのは、全てのことに素直に喜び、努力をし、常に楽しんでいたからだと思う。そのように育ててくれた親に感謝しかない。
 ただ、一つのことをし続けることを否定はしない。現に私はいろいろなことを経験した後、自分の中に一つ残った「教育」を軸に今動いている。経営をしているから多くの要素が必要だが、その自分のこだわりの「教育」だけは揺らがない。

 A rolling stone gathers no moss.
その答えは、それぞれの中にある。一つだけ言えるのは、自分以外の選択を受け入れることだ。自分は一生懸命一つのことを頑張って良い苔を生やすことに専念しているのであれば、転がっている人のことを悪く言わないことだ。そして転がり続ける人も、一つのことに取り組み続ける人への敬意を忘れてはいけない。いつお互いが交わって助け合うことになるのか、わからない。社会はそういう「違う良さ」同士が混ざって良くなるものだ。
その両方の良さを知っているからこそ、それを思う。そして、人のことを悪く言わない人は自分の選択を愛している、ということも付け加えておこう。
Love yourself. 自分を生きよう。

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