「バケモノと花束」に関する考察


はじめに

おはようございます。ナミノア屋です。
現在「ボカコレ2023春」というイベントが行われています。

沢山の素敵な曲が投稿されている本イベントですが、その中で私が最初に「大好き」と思った曲がこちらです。


凵 -ukebako- 様「バケモノと花束」。
複雑な変拍子と激しいサウンド、美しい旋律。
そして幻想的な動画と、非常に作り込まれている作品です。
最初に聞いた時に世界観に引き込まれ、「美しいなぁ…」と感動した私。
その時も好きだったのですが、翌日もう一度聞いてふと感じました。

「この曲、昨日感じた以上に切ないんじゃないか…?」

そう思ってしまった私は、さっそく物語の考察を始めてしまいました。

最初にお断りしておきますが、本記事の内容は完全に私の妄想です。
作者の凵 -ukebako-様の考えとは全く異なる可能性が十分にあります。
それでも宜しければ、以下にお進みください🙇

本記事の公開について、凵 -ukebako-様から許可を頂いております。
※今回の考察では、動画のサムネイルの
「花の頭のキャラクター」「バケモノ」。
「バケモノの頭と花束の花」を「薔薇」。
「曲中に登場する少女」を「あなた」「君」
と仮定させて頂きます。
※文中に登場する歌詞は、
   凵 -ukebako-様がpiaproに掲載している歌詞から引用させて頂きます。

①この曲の世界観について


「バケモノと花束」の世界観を、私は以下のように考察しました。

・人に恐れられている存在「バケモノ」が生きる世界。

「僕は檻の中」
「怖がらないで 逃げないで」
「僕らはバケモノだ 醜いもんさ」
という歌詞から、この世界において「バケモノ」は、人に怖がられ、檻の中に入れられるような存在なのではないか…と想像しました。

当たり前に思うかもしれませんが、
異形の存在が人々にどう思われているか
というのは、物語において割と重要な気がします💦

②なぜバケモノの頭は薔薇なのか


本作品のイラストを担当されたいくら丼様は、頭が花で出来たキャラクターを多く描かれているイラストレーター様のようです。
故に今作の「バケモノ」の頭が薔薇でも、私は「いくら丼様が書かれているから薔薇なのかなぁ…」としか思っていませんでした。

しかし次の日、私の頭によぎってしまった一つの疑問。

「どうして薔薇の頭のバケモノが、薔薇の花束を渡しているのだろう?」
「美しい薔薇の頭なのに、どうして『醜いもんさ』なのだろうか?」

私の未熟な頭を悩ませて出した仮説は、

「バケモノは自分が薔薇であることに気付いていないのではないか」

というものでした。

注目した歌詞は、イントロと各サビの部分です。

「あなたに花束を 贈りたいんだ
  僕が好きな花だから。」

あなたに花束を 贈りたかった
 平凡な願いなのにさ
 僕らはバケモノだ 君の願いや
 好きな花もわかりやしないよ


「バケモノ」は一人の少女に「花束を贈りたい」と考えているようです。
同時に映るイラストは、花束を大事そうに抱えるバケモノ。
「僕が好きな花」と言っているので、彼は薔薇が好きなのでしょう。

しかし同時に、自分が「バケモノ」=「少女と同じ人間ではない」
「君の願い」「好きな花」が分からない…とも考えているようです。
バケモノの少女に対する愛情はもちろん、自分に対する自信の無さ。
自分がバケモノであることに対する悲しみ
を感じました。

⑶あなたに花束を 贈りたかった
 平凡な願いなのにさ
 僕らはバケモノだ 醜いもんさ
 ただ、世界に触れたいんだ

醜いバケモノである自分は、人間の少女を怖がらせてしまう。
花束を贈るという平凡な願いすら叶わない。世界に触れることも出来ない。
この世界はバケモノに対して、とても残酷で厳しいようです。

⑷「あなたに花束を 贈りたいんだ
  君に似合う花だから。」

そんなバケモノが「君に似合う」と選んだ花は、薔薇の花束でした。
薔薇を見て「醜い」と思う方は少ないでしょう。
大半の方が「美しい」「綺麗」と思うのではないでしょうか。

「…ん?バケモノの頭も薔薇じゃない?」

そうです。
バケモノの頭は、彼自身が「君に似合う花」と語る薔薇。
どうして醜い自分と同じ花を、少女に送りたかったのでしょうか?

そもそもバケモノは、冒頭で薔薇を「僕の好きな花」と言っていた筈。
ならば尚更、自分を「醜い」と言うのは違和感があります。

「バケモノ」の姿は、一般的に想像される「化け物」とは異なるものです。
美しい花が生えた頭部。きっちりとしたスーツにネクタイ。
一枚の絵。或いは「ファンタジーのキャラクター」としてみた場合、我々はまず「醜い」とは思わないでしょう。

しかし想像してみてください。

もし貴方の前に、頭に薔薇が生えたバケモノが現れて話しかけてきたら。
「君に似合うから」と花束を渡してきて、それを我々は受け取れるのか?

…率直に言って、私は怖いです。
話すどころか、そんなのがいるだけで逃げ出していると思います。

バケモノも同じような目に会ったのではないでしょうか。
本当は誰も傷つけたりしないのに。
少女の為に似合う花を探すほど優しいのに。

…いえ。それだけ優しいからこそ、
周りから怖がられる自分を「醜い」と思ったのかもしれません。
そんな自分を薔薇の花と思うことはないでしょう。

バケモノが「君に似合う」と選んだ花は、自分と同じ薔薇でした。
彼は醜い自分と同じ花を渡して、少女を困らせたかったのでしょうか?
いいえ、きっとそうではありません。

バケモノは本当は、薔薇のように美しい存在なのです。
「君に似合う花」とは彼が持つ花束ではなく、
彼女の為に悩み苦しむバケモノ自身なのではないでしょうか。

大好きで「君に似合う」とまで言っている薔薇の花。
自分を嫌う余り、己の本当の姿に気づかないバケモノ。
この二つの関係を想像した時、無性に切なくなりました…💦
(改めて言いますが、これは全て私の妄想です🙇)

ここでイントロと各サビの歌詞を、改めて見てみましょう。

⑴「あなたに花束を 贈りたいんだ
  僕が好きな花だから。」

あなたに花束を 贈りたかった
 平凡な願いなのにさ
 僕らはバケモノだ 君の願いや
 好きな花も
わかりやしないよ

あなたに花束を 贈りたかった
 平凡な願いなのにさ
 僕らはバケモノだ 醜いもんさ
 ただ、世界に触れたいんだ

「あなたに花束を 贈りたいんだ
  君に似合う花だから。」

自分の姿を知らず、ひたすら花束に思いを込めるバケモノ。
彼を前にした少女の表情は、とても幸せそうです。
それは渡された花束に対するものなのか。
それとも願いが叶ったこと。
彼女が本当に「好きな花」
に対するものなのか…?

③最後の歌詞について


⑷「あなたに花束を 贈りたいんだ
  君に似合う花だから。」

曲中における、最後の「 」で囲まれた詞です。
「 」は登場人物の台詞に使われることが多い記号。
バケモノは花束というモノを贈ることに夢中で、
自分が美しい花であることには、まだ気付いていないようです。

しかし歌詞の一番最後。
(paproのテキスト上では、この一行だけ離れて書かれています)

写真にうつる人は二人だろう

この一言に、バケモノと少女の未来が象徴されていると感じました。

「写真」とは皆様ご存じのように、機械が写した風景です。
機械には自我や感情など、不安定な要素がありません。
「バケモノだから怖い存在」「僕は醜いバケモノだから」
感情があるからこそ、目に映る世界を歪めてしまう人とは違い、
全てを等しく平等に。
美しさも醜さも、区別なく撮影してしまいます。

全ての偏見を取り払った後、残ったものは「人が二人いるだけの景色」。
醜さも自己嫌悪もない、ありのままの世界が写されたのではないか…
そう想像してしまいました。


そして写真の他にもうひとつ、ありのままの世界を見ている者がいます。

あなたは最初にこの動画を見た時、バケモノに恐怖を抱きましたか?
バケモノを醜いと思いましたか?
バケモノと少女、二人が一緒にいることを奇妙に思いましたか?

写真にうつる人は二人だろう

この歌詞に違和感を抱かなければ、
それはきっと、あなたの心が綺麗な証だと思います。
(私は違和感を感じたので考察してしまいましたが…💦)


豪華な花束より、一本の花の方が思いを伝えられることもあります。
いつの日かバケモノも、自分の美しさに気付きますように。

④考察ですらない妄想など


・童話や映画で有名な「美女と野獣」で、野獣の城には薔薇があります。
 数ある花の中でバケモノが薔薇なのは、それも関係あるのかなぁと…(・・;)
(本作のタイトルも、「美女と野獣」に通じるものを感じました)

・一本の薔薇(バケモノ)には「ひとめぼれ」「あなたしかいない」
 三本の薔薇(花束)には「愛しています」「告白」
 四本の薔薇(バケモノ+花束)には「死ぬまで気持ちは変わりません」
 …と言った意味があるそうです。

⑤おわりに


長々と書いてしまいましたが、これは全て私の勝手な想像です。
凵 -ukebako-様の思っていたものと異なっていたら申し訳ありません🙇

歌詞の中で度々登場する「ずれた時計」や「鍵」。
印象的に登場する読み込みマークの意味。
「あなた」と「君」を分けている理由。
「僕らはバケモノだ」が「僕ら」と複数形である理由など、
未熟な私では考察しきれていない部分も多々あります。
この点に関しては、時間をかけて考察したいなと…
(個人的には、少女もただの人間では無いような気もしています…)


素晴らしい作品を生み出してくださった凵 -ukebako-様いくら丼様
そしてこの作品に携わった全ての方々に、深く敬意を表します。




おまけ

ちなみに今回のボカコレ、私も参加しています。
「バケモノと花束」のご視聴後、もしお時間があれば…💦


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