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リスニングー英語を聞き取るために、高周波への慣れは必要なのか?

こんにちは、なみのリズムのアサコです。

英語のリスニングが苦手という人は多いですよね。かくいう私もかつて、英語の音の聞き取りがすごく苦手でした。

リスニング対策として、あれやこれやと試しまくり、教材ジプシーになっていた私。そんな中で見つけたのが高周波教材です。英語に特徴的な高周波の音に慣れることで、英語の音の聞き取りを向上させようというものです。

この高周波教材は、果たして効果があるのでしょうか。

私の学習経験と指導経験などから、独断と偏見で検証してみます。

日本語と英語の言語の周波数のちがい

言語にはそれぞれメインとなる周波数があります。日本語は低周波の領域に属する音が多く、英語は高周波の領域に属する音が多いそうなのです。

日本語は125Hz~1500Hzくらいの間で、イギリス英語は2000Hz~12000Hzくらいだといいます。この説だと、それぞれ重なるところがありません。
(ソース 英語の周波数は幼少期に攻略がBEST!大人は訓練で克服せよ / ママナース英語ブログ (mnseb.com)。)

日本人は低周波の音には慣れているけど、高周波の音を聞くことに慣れていないだから英語を聞き取れないという話なんですね。

でも、本当にそうなのかな…?というのが、私の疑問でした。というのは、私は大学時代にとあるヨーロッパ言語(ポーランド語)を学んでいまして、その言語もかなり子音が多く、日本語よりずっと高周波に属する言語です。

現地に留学したことで、現地語はかなりのところ聞き取れるようになり、コミュニケーションには問題ありませんでした。子音に大分慣れたことで、副専攻語で学んでいたドイツ語も、音声の聞き取り面では問題を感じませんでした(文法や語彙がおぼつかないので、簡単な文しか理解はできませんでしたが)。ですから、子音に対して耳がかなり慣れたはずなのですが、英語に関しては、なぜだか聞き取りが全然できなかったんです。不思議ですよね…?この謎は、最後にお話ししますね。

リスニングがあまりにもできないわけですから、わらにもすがる気持ちで、とある高周波教材を使って、TOEICでのリスニング対策のために毎日取り組んでました。ですが、あまり効果が感じられなかったんです。

さて、この高周波についての話ですが、以下の記事が信ぴょう性があると思います。

英語の周波数帯を聞き取るには「英語耳」が必要、それって本当?:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)

結論から言うと、英語を聞き取るために、高周波に慣れる訓練は特に必要ないということになります。

日本人が英語の聞き取りが苦手な理由は?

日本人に、英語の聞き取りが苦手な人が多い理由はいくつかあるのですが、その主な理由としては子音の聞き取りが苦手であることがあげられます。

日本人は、子音の聞き取りが苦手

日本語は母音の多い言語ですよね。日本語を”NIHONGO”というふうにローマ字にすればわかる通り、日本語の文字はほとんどが「子音+母音」で構成されています。

一方、英語は子音の多い言語です。”strength”という単語を見てください。この単語は、「子音+子音+子音+母音+子音+子音+子音」で構成されています。なんと、子音6つに対し、母音が1つしかないのです。

このギャップに原因があるのです。

日本語においては子音よりも母音が大事なので、私たち日本人の耳は、母音ばかり聞こうとするモードの耳になっています。

そして英語を聞くときも、この日本語モードの耳で英語を聞いているので、母音ばかり聞き取ろうとしてしまう結果、子音を聞き逃す傾向があるのです。

具体例を挙げますね。

私は昔、イギリスのアイドルグループ、One Directionが大好きでした。残念ながら、もう解散してしまいましたが…。彼らの曲に、”What makes you beautiful”という曲があるのですが、それをYoutubeで聞いていたところ、こんなコメントを見つけました。

That’s what makes you beautifulが、

カ・ツ・メ・シ・ビューティ・フォー」にしか聞こえん!

と(笑)カツメシ(笑)

いや、笑っちゃいけません。私も昔はそういう耳でしたから^^;

なぜ、”That’s What Makes You”が「カツメシ」に聞こえてしまうのでしょうか。分析してみます。

Thaが「カ」に聞こえ、t’sが「ツ」に聞こえ、whatは見事にスルー(前の「ツ」に意識を取られているからですね)、makes youが「メ・シ」に聞こえる。そんな具合ではないでしょうか。

見事に母音ばかりに気を取られていて、子音を聞き落とし、実際に存在しない母音まで入れてしまっているのがわかりますか?日本人は母語の影響で、子音の方になかなか意識が向かない結果、英語でキャッチできない音が多くなってしまうんですね。

実際にどんなふうに聞こえるか、聞いてみてください!(時間がない方は2分7秒あたりから聴くと、what makes…の部分が流れます) One Direction “What Makes You Beautiful”

子音には高周波が多く含まれる、でも…

上で述べたとおり、日本人は子音の聞き取りが苦手です。

だとすれば、子音を聞き取れるようにすることが、リスニング力向上に対するひとつの対策だと考えられるわけです。では、どうしたら子音が聞き取れるようになるのか。そこで、高周波教材の出番だというわけです。

子音には高周波が多く含まれます。母音の多い日本語に慣れている私たちは、高周波に慣れていないから、高周波が多く含まれる子音が聞き取れないという論理です。そこで、高周波に音を慣らすことで、子音を聞き取れる耳を作ろうというわけですね。

でも、待ってください。

私は、子音の多い言語である、ポーランド語やドイツ語は聞き取れたんですよ。でも、英語は聞こえなかった。ここと、矛盾してしまうんです。

そして、さっき紹介した日経ビジネスの記事をお読みの方ならおわかりでしょうが、私たちは、本当に高周波の音が聞こえていないのでしょうか?

聴力検査を思い出してみてください。「キーン」という音が鳴るあれです。あれ、みんな聞き取ることができますよね?もしあれが聞き取れなかったら、耳に障害があると判断されてしまいます。

甲高い高周波の音というのは、いろんなところで聞こえるものです。鳥の声も、マイクの「キーン」という音も、私たちにはちゃんと聞こえています。

高周波はきちんと耳に届いている。でも、意識が向いていないだけ。

そうなんです。私たちは、ちゃんと高周波をキャッチできる耳を持っているのです。

つまり、「聞こうと思えば聞こえる状態にある」のですが、英語の場合、意識がそちらに向いていないので、聞き逃してしまっているだけなのです。

音は、そこにあるのです。そして、それを聞くことのできる耳も私たちはきちんと持っています。

けれども、日本語の影響で、そちらに注意が向いていないがために、英語の音が聞こえないのです!

高周波に慣れる練習では不十分

だとすると、高周波そのものに慣れるだけでなく、子音に意識を向ける習慣を身に付けることが大事だと言えます。

高周波を強調して録音した教材を聞けば、強制的に、一時的に子音に意識が向くようになります。私自身、先に述べた通り、高周波教材を1か月ほど試したことがありますが、聞いた直後、英語がかなりクリアに聞き取れるようになりました。(気がしただけ?)

しかし、聞かなくなって少し時間が経つと、元の、英語が聞こえない耳に戻ってしまっていたのです。他の人のレビューを見ていると、「効果があった」という感想をよく見かけるので、これは私だけなのかもしれませんが、私にとっては、

高周波教材は、高速道路効果みたいなものでした。

高速に乗っているときは早いスピードに慣れますよね。そのスピードに慣れた状態で普通の道路におりると、普通のスピードが随分と遅く感じます。けれども、しばらく経つと、その遅いスピードに次第に慣れていきますよね。

それと同じように、高周波教材を聞いた直後は、高周波の音に慣れてそっちに意識が行ったのだけれど、時間が経ったらいつもの聞き方に戻ってしまったということだと思います。

つまり、そもそも子音を聞き取るのだという意識が身に付いていないと、元に戻ってしまうのではないか、というのが私の経験からの推測です。

子音に意識がいかないのは、いらない母音に気を取られているから

聞こうと思えば聞こえるはずなのに、子音に意識が向かない。それは、日本語モードになっている耳が無駄に母音を聞こうとしてしまうことが原因なのではないかと私は考えます。

高周波の音に慣れていないから子音が聞き取れないというよりかは、いらない母音に気を取られるから子音に意識がいかない。その結果、高周波の音にうとくなるということなのではないかなと。つまり、高周波の音に弱いのは、原因ではなく結果だということ。

実は、ポーランド語もドイツ語も聞き取れるのに英語は聞き取れなかった私が、英語のリスニングが飛躍的に伸びたきっかけは、リズムの認識だったんです。

正しいリズムで英文を読む練習をしたことで、母音を無駄に入れてしまうという日本語の習慣を取り除くことができた結果です。

(ポーランド語は、英語と違って母音をはっきりと発音する言語であり、リズムも単純明快です。対照的に、英語は頻繁に母音が脱落するなど発音変化がかなり起きますし、リズムも複雑です。ですから、聞き取れなかったのだろうと考えています。ちなみに、知人で、ポルトガル語は聞き取れるけど、英語は聞き取れないという人もいます。そう考えると、個々の子音以上に、リズムの問題だと言えるのではないでしょうか。)

なので、リスニング学習にはリズムがカギ!だと私は考えています。

ただ、高周波教材を聞いた直後は子音がクリアに聞こえるようになる気がする?ことはあります。だから、子音の音、かすれるような息の音の聞き取りが苦手だという人は、試してみるといいと思います。

ただ、英語にはリエゾンなど発音の変化もありますし、それを学ばずに、高周波教材だけに頼っても、根本的な解決にはならないのかもしれないというのが私の結論です。

まとめ

  • 日本人は子音の聞き取りが苦手

  • 私たちの耳には高周波の音はきちんと届いている

  • 子音が聞き取れないのは、意識がそちらに向いていないから

  • 子音を聞き取る習慣を身に付けることが大事

  • 子音を聞き取る習慣を身に付けるにはリズム学習が有効

  • 高周波教材は一時的には有効かもしれないが、根本的解決にはならない

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