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【翻訳】家賃ストライキのための「道具箱」その1

原文:https://5demands.global/toolkit/(5 demands global)

訳者より:アメリカでひろがる家賃ストライキの波。給料が入ってこないのだから家賃が払えないのは当たり前。そもそもただ「いる」こと、ただある場所で生きてそこにいるだけで金を取られる家賃というシステム自体が人権侵害なわけですが、とはいえ「家賃を払わない」という決断はさまざまなリスクを考えるとなかなかできることではないでしょう。ではアメリカでは実際にどんなやり方で家賃ストライキを組織しているのでしょうか?

今回は、この運動で広く共有されている家賃ストライキのための「ツールキット/道具箱」を紹介してみます。もちろんこれはアメリカで家賃ストをする際のハウツーであり、日本では当てはまらない部分も多いので注意してください。しかし、日本で同じような運動を起こす場合の重要なインスピレーションになることは間違いないでしょう。また、ある地域のグループが「全国で自分たちと同じような草の根運動を起こしてほしい」と思った時に運動のための「ツールキット/道具箱」を提供するという発想が、日本でも広く共有されるといいと思います。

「家賃ストのための『道具箱』」
その1:孤立から組織へ
その2:画像編その3:画像編のつづき
その4:手紙等のテンプレートや資料リンク集(英語)

孤立から組織へ
COVID-19によって、家賃を払わない人々が空前絶後の波となって押し寄せる。ある者は連帯として、ある者は他に選択肢がなく。ある者は建物一棟ごと、ある者は近所のブロックごとに、ある者はたった一人で。このストライキはだれか活動家とかリーダーたちのものではない。これは私たち全員のものである:ただただ支払いができない私たち、この危機によって押し付けられる負荷に耐えられない私たち全員のものだ。そして支払わないことを選ぶたち、借金を拒否する私たち、そして声を挙げることで互いを肯定し支持する私たち全員のものだ。

「ツールキット/道具箱」とは、運動をどう進めるかをステップごとに説明したガイドです。活動に必要な有形無形の「道具」となるものやネット上の情報へのリンクも満載です。コミュニティの集合的な力を築き上げ、それをテコに地主に抵抗する際に役立ちます。

***最近可決されたコロナウイルス救済法によって、連邦により4軒に1軒の借主が6月まで立ち退きを免除されます。自分の住む家がこの法で守られるかどうかはここここで確認できます。

■ ステップその1:

このページを読んで、自分の活動を始めるための情報源を得て、そして自分の「ツールキット/道具箱」を構築しつつ、ポッドキャスト(英語)を聞いて大まかなイメージを掴みましょう。外部リンク集もあります。(訳注:次回の記事で紹介します)

1.自分の家の大家を調べる。彼らがいくつの不動産をどこに持っているか掴みましょう。不動産登記簿はネットで見られることが多いです(アメリカの場合)。これで、どの範囲に支持を頼んで回ればいいか、誰を仲間にすればいいのかわかります。一軒一軒回るまえには、説明のための台本を用意して練習しましょう。友達や近所の人と一緒に行きましょう。

2.準備する。家賃の支払い期日までに支払いの猶予やその他の救済策がない限り家賃ストライキが必要なのだと説明する準備をしよう。愛想良く。ポジティブな態度を大事にして。

3.自分が住んでいる建物だけではなく、同じ大家のほかの借主の人たちに会いに行く。距離を保ちつつ、チラシや手紙を手渡すか、郵便箱に入れます。自分の連絡先を教えて、電話やメールに答えられるようにしておきましょう。

4.SignalかTelegramのアプリをダウンロードする。TelegramグループRentStrike2020に入って最新の情報をチェックしよう。アプリ上で自分のグループを立ち上げて、第一回目の会議を設定しましょう。物理的に同じ空間にいるのが不安だという場合は、ZoomやJitsiといったビデオ通話を使ってもいいでしょう。あるいは物理的な距離を十分にとれる空間で会うのも選択肢の一つです。

5.連絡をとりあい、話し合うための物理的/ネット上の場所を決める。

6.参加者の顔合わせを設定する。主催者の役割として、参加者が話し合って互いに知り合うことができように司会をする。さまざまなコミュニケーションのやり方の基本線を決め、何が参加者の恐れとトラウマを刺激するかをよく配慮してください。まず自分が自己紹介をして、その場にいる人たちにも自己紹介してもらいましょう。会議は終わりの時間を定めて、次回の会議の場所と日程を決めましょう。動きを止めないためには次回の会議まで間を置かないように。

7.支払うべきか、支払わざるべきか? 参加者それぞれに、家賃を支払うつもりか、あるいは払わないつもりかの意思を述べてもらうようにします。そうすることで、誰がより支援を必要としていて、誰が中心になって指揮をとれるかを把握できます。

8.参加しようか迷っている人と個別に話そう。そして、自分の状況と、あらゆる場所で働く労働者の要求を実現するために連帯を求める全国の無数の人々が置かれた状況を、一人の個人として訴えよう。

9.どのようにストライキの力を築くべきかを知るために。現在利用できる立ち退き猶予制度を良く調べる。「追い出し対抗マップ(立ち退きを制限する法律/条例を可決させた郡・州をまとめた地図)」で自分の地域にどんな保護があるかをチェックしましょう。保護がなければストライキは危険になり得ます。

10.自分たちの住む建物に関する要求を、一通の手紙にまとめましょう。団結し組織された団体としてみんなの家主にお目見えするわけです。さあ、借り主たちの評議会が今ここに設立されました。これからCOVID-19に関する問題はすべて、個人ではなくこの評議会を通して取り扱われます。いくつかの州では、これが報復措置から身を守ることにつながります。手紙は内容証明郵便で家主に送り、記録のためにコピーを手元に残しておきます。

11.一軒一軒の家にお知らせを送って、ストライキに参加すると決心したことへの連帯を示しましょう。地元の借家人組合に加入するよう誘って、彼らを守りましょう。立ち退きにあうリスクをよく理解して、分からないことがあれば弁護士か法律の専門家に相談しましょう。

*オンライン・ミーティングの注意:Jitsi callやZoomは話し合いをするための新しい形です。参加者が他の誰かの話に割り込んだりするのを防ぐために、簡単なルールを決めておきましょう。司会は、誰かがしゃべっている間は他の参加者はマイクをミュートするようお願いすること。そして「挙手制」に代わるようなやり方を見つけましょう。何回かそうしてみたら、参加者のコミュニケーションの仕方が変わってくることに気づくはずです。つまり、互いに配慮しあって、ペースを少し落とすようになります。

*いまの時期に組織化をすることへの注意:恐怖は強い感情です。恐怖に捉えられると「解決なんかない」という考えに陥ってしまいます。そうすると、集合的な行動が止まってしまします。なぜなら、(恐怖に捉えられた人は)弱く傷つきやすい自分でいることができなくなり、この瞬間を乗り越えるために必要な互いに引き合う孤独の力がなくなってしまうからです。もっとも孤独を感じる時、集団性とコミュニティが私たちの力になります。今この時代、心を開いて我慢強くあることで、私たちは繋がり、これから私たちが歩むべき長い道のりに必要なサポートのネットワークを築くことができるようになります。深呼吸して、前に進みましょう。

■ ステップその2:

1.お互いのニーズを把握するための時間を取る。例えば:子育て中の人もいるし、高齢者も、免疫不全の人、障害がある人、慢性疾患を持つ人なども居ます。あらかじめこういうことを考えておくことで互いに思いやりと配慮を持つことができ、みんなが「グループに支えられている」と感じられるようになります。とくに、あなたは家賃を払えない人、最も必要とする人のために住居を危険にさらしている人たちのために集団的な交渉を担っているわけですから。

2.自分の地域で活動している相互扶助ネットワークを見つけましょう。連絡を取って、どんなサービスを提供しているのかを調べましょう。食料や薬を必要に応じて提供しているところが多いですが、犬の散歩や子供の面倒を見てくれるところもあります。相互扶助ネットワークは多くの場合連携しあって生活の様々な面での必要を満たしていますから、もしあなたが何かが必要なら、たいていの場合それをできる誰かを紹介してくれるでしょう。
(訳注:相互扶助グループについてはこちらも参照)

3.近隣の地図をつくろう。それから、私たちが全米の地図を作るのにも協力してください。みんながどこに住んでいて、地域の教会や組織など、支援の仕組みがどこにあるかを把握しましょう。それらの場所が自分のストライキのネットワークに加わることを手伝いましょう。

4.仕事を分担する。外出自粛でできた時間に、自分ができる一番いいことを実践するようにみんなに働きかけましょう。ドアに吊り下げたり窓から掲げたりする旗や横断幕を描こう。ストライキに参加することを示すサインやマークを考えだそう。順番で料理を作ったり、衛生グッズのパックを作って近所づきあいのある家に持っていこう。モノは自分たちで修理して、「管理費」なんて必要ないのだと示そう。住人同士でケアしあい、そしてお互いの住まいをケアしあおう。

5.定期的に会って関係性を築こう。これから来るもっと困難な時代の助けになってくれるはず。だれかに頼ることを自分に許そう。隣人の知恵やユーモアに頼っても良いし、恐怖に襲われたら誰かの強さに頼ってもいい。ひとは共にあれば、もっと強くなれる。

6.会議は議題と終わりの時間を決めること。司会、書記、タイム・キーパーのローテーション制を組みましょう。意識的にそれぞれの発言を聞くことと、ストライキの目標と行動に向かって議論を進めることを両立できるやり方を見つけましょう。

7.自分の住む市区町村や州の行政に家賃の延期と「COVID-19危機を生き延びるための5つの要求(訳注:ただいま鋭意翻訳中)」を実行するよう要求する手紙を書こう。他の建物や家に連絡して、どんなふうにことを進めているか教えてもらい、お互いに学び合おう。

8.資源をたくわえよう。シェアの仕方を確立させよう。誰かがみんなの買い物を引き受けてまとめ買いするようにしたり、上手くやりくりするやり方を見つけよう。散歩に出かけよう。距離をきちんと意識しつつ、近所のお年寄りを訪ねよう。料理のレシピやおすすめ映画を教え合おう。自分があるひとつの身体のなかの一部分だと考えてください。お互いが健康であるように、支え合いましょう。

9.調べつづけること。不動産賃貸に関する法律は各都市・州によって異なります。自分の権利を理解し、自分の組織を守る方法を知りましょう。大家は(訳注:水道など)重要なサービスを止めたり、鍵を勝手に変えたりすることは法的に出来ません。もし大家が脅してきたら、団結してきっぱりと立ち向かおう。状況の激しさについて話し合い、扱うための場所と時間を確保して、目標を立て直そう。

10.これからやってくる日々に互いが互いを守れるようにするための準備をしよう。大家やその代理人を建物に近づけないようにする必要が出てきたときにどうすればいいかのプランを考えよう。相手が追い出しにきたり、脅しをかけに来た場合に近所の人々が即座に集まるために、緊急の場合に送る合図を決めておこう。
 
さあ、今やあなたのご近所はみんな白いシーツ(訳注:建物が家賃ストライキに入ったことを示すしるし)を窓からぶら下げているかもしれません。じゃあ次はなにをしよう…??

続く! 

その2:画像編】【その3:画像編のつづき】【その4:手紙等のテンプレ集】

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