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JTCでの新規事業開発

※JTCとありますが、製造業(素材)での体験に根ざしたものです。他業界には直接応用できる話ではないかもしれませんが、何かしら気づきがあれば幸いです。

ここまでの道のり

MBA留学を終えて、自分の中のエンジニアとしてバックグラウンドのこだわり(他の賢いMBA級友との差別化戦略)に気付き、組織開発とMOTを極めようと古巣の生産技術部に属しながらこの2つを実践を通じて体系的に整理しました。また、並行して約1年間の時間をかけて、業界の俯瞰と深掘りを行うことで自分が事業開発者として飛び込む場所を定めて3年前に社内転職を果たして今の事業部に飛び込みました。

その後、スピンオフも視野に入れた新規事業開発に取り組み、世界初の技術を社外メーカーとの協業の中で作り出し、注目テーマとして取り上げられるようになりました。

ただし、注目されているのは、その技術や事業性というよりも、今の会社の中でのエグジット戦略だと感じています。ビジネスモデルが本業と異なっており、組織図がマッチしない。

もちろん、新規事業をやるための出島組織はあります。が、MOTの観点で技術事業開発の確度を重視した自分はその場所を選ばず、付加価値創出の源泉となる固有技術が豊富な事業部に目をつけた…という背景があります。

ターニングポイント

既存組織の枠に捕らわれず、新規事業創出をスピンオフしてゴリゴリやる…そういう道もあるし、そのつもりで2年前まで振る舞っていましたが、ターニングポイントが来ます。
RDマネジメントへの参画です。このあたりの生々しい想いは、マガジン「マネージャーへの道」を発行して記録してきました。易しい決断ではなかったと思います。

ともかく、この分野への参画により、安易にスピンオフ!とは言えない立場になりました。部下も大勢いるのに、統率の取れなくなるような言動はできないですよね。

…ここまで読むと、ビジネスモデルが異なる事業そのものに既存事業を母体として挑むのは悪手だったのでは?という気もするかと思いますが、それは違うとハッキリ断りたいと思います。理由はまたどこかで書きます。

JTCでの新規事業開発

さて、JTCでの新規事業開発に関する本題に話を戻します。

私がマネジメント側になる前に精力的に進めていた事業開発は、既存事業の固有技術を活用しているので、社内アセットを上手く使っているとはいえほとんどを社外のアセットに頼るものです。脱自前主義であり、それ自体は別に悪くないのですが、大企業でやるテーマではない。
これは所属事業部のRDポートフォリオマネジメントに携わる中で、じわじわと認めざる得ない事実です。

また、
「あれ、自分は上手くやってきたつもりだったのだが、年商数百〜千億円の事業が予算を奪い合う状況(投資の源泉に制約があるのは理解しているが不毛だと感じている)には何もポジティブの影響を与えていない…」
と感じ始めたのですね。

「自分が新規事業開発を通じて得たかったトラックレコードは、きっともっと構造がシンプルな組織での方が得やすい。でもその事例をそういう場所で作ったとしても、社内起業家として成功と言えるのだろうか??自分がこの会社で成し遂げたいことは何?」

と自問自答しはじめます。

出会い

そんなとき、僕とは違う課題感で単なる中小企業の集まりである状態をあらため、事業間のシナジーを真剣に模索して製品開発を目指す方と出会いました。”シナジー創出”。こういう話はすでに存在してたのですが、理想追求で抽象的であり具体案が足りなかった。具体案がなければアクションプランは定まらず人は動きません。

その方が示した具体構想にハッとしたのですね。よほどご自身の足でフィールドワークを重ねて仮説の精度を上げたのでしょう。それでも完成度は50%ぐらいだったけれど
「この構想はサポートすれば化ける。自分のモヤモヤが解消できる。マネージャーになった選択が花開く!」
そう思ったのです。

そこからの動きはダイナミックでした。
・事業部間の調整(成果の取り合いを防ぐ)
・実務役の巻き込み(実現性を高める)
・TPF:テクノロジープラットフォームの巻き込み
・経営幹部への個別構想説明(こういうのが大事)

この動きを基本戦略立案者と手分けして行いました。

大企業の強みの再認識

もともとは事業間のシナジー追求が面白い…と思いながら動き始めましたが、TPFの存在が大企業の強みだ!と認識しました。

多くの事業を保有すると、特定の事業に一挙集中することが難しいのが現実です。この結果、一挙集中型競合他社にコストや開発速度で負けてしまう事例をいくつも見てきました。「そこに勝つには、それくらいの身軽さになるよう規模縮小したスタートアップ企業を作るより他ない」そう思うこともありました。

ただ、かつて自分が所属していた生産技術部や、コーポレートイノベーション(中長期的な技術開発を担い、テクノロジープラットフォームを所管する部門)があるのは、大企業ならではだ…と恥ずかしくも再認識したわけです。彼らは粛々と逆算思考で要素技術を積み上げているのですが、どちらかというとその技術の適用先が弱い傾向があります。彼らに、「具体的にこの領域にこういう材料で踏み込んでいきたいから、出口目標をパキッと定めて一緒にやろう!」と言える状態になったのですね。

諸々の調整はもちろん簡単ではありませんが(時間勝負!)、この機能を効果的に使いこなせば見たかった世界が広がっている!!そう思いながら取り組めるようになりました。そういう立場にあるのは、その具体構想を支える事業のRD責任を担っているからこそです。また、課題設定をした後、その実行案を描けるメンバーにも恵まれました。これがすごく嬉しい。

というわけで、今やっていることは理詰めで考えたら多くの人が辿り着きそうな 一つの解だと思うのです。が、自分なりに葛藤したり迷いながら、そして人との出会いで腑に落ちる状態になったこと、この事実はすごく大切な気がしています。

まだ結果を出しているわけではないのでこれから一層頑張りますが、
「大企業での奮闘も捨てたもんではないよ!!」とこのNoteを読んでくださった方にメッセージを残して今回は閉じたいと思います。

38歳。スタートです🎈






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