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vol.51『ツバメとわたし㉕~天敵が与える精神的ダメージ~』

(前回作はこちら→『ツバメとわたし㉔』

 ツバメ避けとして、あれこれ施策を試す日々が続いている。今回の用心棒は、ツバメの天敵No,2であるヘビ。さすがに本物のヘビというわけにはいかないので、ネットで注文したハイクオリティなおもちゃのヘビを使う。

 働き度合い未知数の用心棒を車庫の壁掛け照明の上にセットして二日が経とうとしていた。その間、ツバメは車庫に何度か出入りしていたが、鎮座するヘビに気づいては、慌てて急旋回し、車庫の外へ出ていくようになった。

 さすがは、ツバメの天敵。ヘビ。ツバメにとってもう恐怖しかないだろう。これ、人間に置き換えたらどんな感じなんだろう。ふと、そんなことが頭をよぎった。


 人間の天敵と言えば、それはもう、言わずもがな「人間」だ。いけ好かない人。自分の全エネルギーを吸いつくすような人。とにかく、嫌いな人。そう。いわゆる一緒にいたくない”合わない人”だ。

 ツバメが巣作りをしようとした場所に天敵出現を、人間でのシチュエーションにいくつか当てはめてみた。こんな感じが考えられる。


《シチュエーション1》
マイホームを建てようとして、まさにキングオブ一等地、立地条件のめちゃめちゃ良い土地を見つけた。家の基礎工事をしようとした時に、なぜかそのいけ好かない奴が土地に立っている感じ。祖奴は、ただ、そこを通りがかっただけだと、現実から目をそらす。

《シチュエーション2》
ちょっとよさげな部屋を見つけて引っ越しをしたら、隣人はあの嫌いな人だった。自分のリサーチ力の甘さに失望するとともに、これから毎日隣りにその人の存在を感じながら過ごすという相当ながっかり感が心を占領する。そして、運の悪さを呪う。

《シチュエーション3》
お気に入りの部屋に帰ってきたら、大っ嫌いな人が我が物顔で部屋を占領している。もう完全にやってることヤクザ。どうやって入ったのかとか、なぜいるのとか、聞きたいことは山盛りだけど、恐怖で何も言えない。


 とにかく、どのパターンにしろ、相当なストレスだ。住めば都とか、その状況に慣れるとか、そういうレベルではない。天敵が与える精神的ダメージの大きさは、計り知れない。


 こんなそう簡単には立ち直れないくらいの極悪な状況を、今ツバメに提供している。ほんとひどいな。そういう自覚は十分ある。でも、ツバメのワラ・ドロ・フンの三大被害から車庫を死守するために優先されるエゴイズム。……ごめんね、ツバメ。なにげにやっぱり凹む。



(つづく)

最後までお読みいただきありがとうございました。
『ツバメとわたし㉖』を更新しましたので、よろしくお願いします(*'▽')

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