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GA文庫編集者の応募作品感想ツイートを見る

※参考ツイート一覧が間違っていたので修正しました

先日TLを眺めていたら、GA文庫大賞の応募作品はいくつか編集者の感想がツイートされることを知りました。という訳で、いくつか拾って読みました。これは感想ツイートの感想noteです。

今回見ていくツイートは、(多分)第15回GA文庫大賞の選考期間に投稿された18ツイートです。他にもツイートがあるかもしれませんが、私は見つけられませんでした……。他にあったら教えてください。  

!注意!
応募作品のツイートから大賞の傾向は読めません! ちゃんと受賞作や直近の流行作を読みましょう!!!


GA文庫大賞とは

広義のエンターテインメント小説作品(ファンタジー、学園、ラブコメなど)。
日本語で書かれた未発表のオリジナル作品。

https://ga.sbcr.jp/novel/taisyo

ざっくりいうとジャンル不問のラノベ大賞ですね。評価シート制度があるので参加している人も多いかと思います。
私もいつか参加してみたいです。



ツイートを見る

ジャンル分析

全18ツイート一覧の上から番号を振っています

ラノベと言えば! な感じのジャンルが並びましたね。やはり学園ラブコメファンタジー作品が多めです。  
ファンタジーの中に現代ファンタジーを入れてしまいましたが、大枠のファンタジーが異世界な気がするので、独立した円にしたら良かったかもしれません……。直すの面倒くさいのでそのままにしておきます。

個人的に好きなのは現代ファンタジーですが、  ツイートされている分に関しては多くありませんでした。
最近思ったのですが、日常+ちょっとした不思議みたいな現代ファンタジーチックなモノは今だとライト文芸寄りなのかも。
この記事を読んでいる皆さん、自分の書いた作品に適切な賞に送ってくださいね。ラノベはなんたかんだ青少年が対象な気がします。ニチアサ系とかと一緒で、大きなお友達はたくさんいるけど、作る側は大きなお友達のことをメインには考えないんじゃないかなーという思いです。

以下、それぞれのジャンルについて細かく見ていきます。

学園モノ

殆どが恋愛要素を持っています。
ラノベの想定対象読者であろう中高生は、

共学であれば身近に異性が多い
(私の業界は男女比で女が多いです。職種によって職場で出会いがないのは割とある)
大人のように色々考えなくて良い
(特に大卒は社会人になれば結婚が頭に過ぎる人が多いと思います)

そういう理由で中高生の頃というのは、「好き!」「格好良い!」「おもしろい!」「人気者!」という要素で突き進めるので恋愛に発展しやすいと思います。
日本は学校に通える人の方が多いですし、その年頃には初恋を経験していると思います。小説に入り込みやすいというのは大きな強みでしょう。

恋愛要素でない場合、部活青春モノになりそうです。

ただ、メジャーな部活は書き尽くされており(数が多い分だけ名作も多いはず)、マイナー部活の場合は読者の興味を惹きながら説明をしなくてはならないので難しそうではあります。

恋愛

私はあまり恋愛メインの小説は読まないのですが、やはり根強い人気。
成年女性向けだと異世界だったり中華後宮が多いかな? と思っているのですが(広告漫画のイメージかも)、青少年向けだと学園+恋愛が多い気がします。

恋愛に関するツイートで気になったモノはこちら。  

最初からずっと主人公を支えていたヒロインが救われるというのは、やはり好感度が高いようです。
私は幼馴染み派とは言えないのですが、好きな登場人物には幸せになって欲しいと思うのは同じです。これに関しては、 有名人が有名になる前からの恋人と結婚するとイメージアップするみたいなものだと思っています。

ビアンカ・フローラ論争でビアンカ選ぶのもわかるなぁという感じ。(未プレイですが各々の主張を見た感じ)

ファンタジー

ここでは異世界ファンタジーについて書きます。現代ファンタジーに関しては次の項目で。

やはりファンタジーは設定が大切なジャンルです。学園モノは、多くの人が学校に通っていたという共通の経験や、所謂あるあるがある(陰キャと陽キャ、ジョックとナードみたいな)ので、説明を省いても良いことが多いと思います。
しかしファンタジーは、世界観など伝えるべき要素が多いと感じます。私もあるのですが、自分の頭の中で世界観ができあがっているので説明不足になりがちです。

ツイートを見ると、設定が凝っていればいるほど良いわけではなさそうですね。やはり王道は王道の良さがあるようです。

現代ファンタジー  

私が一番好きなのは現代ファンタジー。
日常に+される非科学的な要素が好きなのですが、 そういうのはラノベというよりライト文芸寄りな気がしている今日この頃です。

このツイートは現代ファンタジーに限らないと思うのですが、最初の引きの弱さを魅力的なキャラクターでカバーしているというのが肝だと思っています。

皆さん、自作キャラの魅力を他人に伝えられますか?

「作品を読んだら伝わる!」と豪語したくなる気持ちはわかりますが、小説を半分読み進めても伝わってこないんじゃ最後まで読まれないと思います。本は最後まで読んでこそでしょ!派の人は読書家に多い気がします。でも漫画だってドラマだって、途中で切りませんか?YouTubeのオススメ動画、冒頭気に入らなくて最後まで見ますか?

『「書き出し」で釣りあげろ』という教本もあるくらいですから、ツカミは大切です。エンタメが飽和している現代では、小説は頑張らないと読んでもらえないでしょう。私は小説よりYouTube見てる時間の方が長いです。
読書家(マニア)だけだと業界は先細りします。普段本を読まないニワカも取り入れなくてはなりません。メディアミックスは、他の娯楽に流れた人を取り込む作業だと思っています。

その他(SF、ハードボイルド、?)  

SFは、他作品のオマージュネタが多い作品とタイムリープが投稿されていたようです。
元ネタを知らないと面白くない元ネタを知っているとより面白い作品では雲泥の差があるでしょう。当該作品がどのような小説だったかはわかりませんが、自戒としておきます。

ハードボイルド作品では、テーマの暗さほどには陰惨になりすぎないバランスが良かったとツイートされています。何かめちゃくちゃ難しそう…。
これはラノベなので、ある程度の読みやすさがあった方が良いということだと思います。しかし重厚な作品でも緩急はあった方が良いでしょう、とまたまた自戒としておきます。
野球で言うと155km/h↑のストレートだけでは一試合で打者を完璧に抑えることはできないんです。それより遅いチェンジアップだったり、クイックで投げたり、工夫って大切だなと思っています。

?に分類したのは以下のツイート。

雰囲気だけじゃ駄目ってことですね。ジャンルは何なのでしょうか?可愛い不思議ちゃん、気になります。
不思議ちゃんってマイペースなだけの協調性のないワガママになりやすくて書くのが難しいと思います。キャラクターの書き分け、身に付けたい。


実際の受賞作

選評は↓のページで公開されています。
以下の引用は作品あらすじです。

大賞(4年ぶりの《大賞》受賞作品)

 人と関わることが苦手な大学生の空野かけるは、渋々参加した新歓コンパでひとりの女性と出会う。冬月小春。モデルのような顔立ちに、長い黒髪が似合う近寄りがたいほどの完璧美人。――そして、目が見えない。
 でも話す彼女は明るく前向きで、自分とは真逆だった。自分にはない強さを持ち合わせていた彼女に惹かれていくなか、かけるは彼女から秘めていた願いを告げられる。
「打上花火、してみたいんですよね」
――目が見えないのに。その言葉に蓋をして。気付けばいつも隣にいた彼女のため、走り出す――。
 第15回GA文庫大賞《大賞》に輝いた、奇跡の青春ラブストーリー。

透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。

銀賞

 人外魔境の地でドラゴンに拾われ、すくすく育った女の子ティスピン。
 精霊魔法の習得のために王都の学校へ通うことになるのだが……
「二人ともついてきちゃうの!?」
 父ラキ。世界最強の滅界邪竜。母スピカ。創世神の御使い竜。
 過保護すぎる親ドラゴンたちは、可愛い娘ティスピンと一緒に人間の街へお引越しです!
 でも、破格のドラゴンに育てられたティスピンですから、心配ご無用の最強少女に仕上がっちゃってますよ?
「魔獣を一撃で……!」 「何者だ、あの娘!?」 「人前で竜気を放っちゃだめよ?」
 王都で様々な出会いを経験し、誰よりも優しい『ドラゴンズロアの魔法使い』になっていく。
 これは大きな竜の小さき愛し子ティスピンがめぐりゆく、勇気と成長のドラゴンファンタジー!

ドラゴンズロアの魔法使い~竜に育てられた女の子~

 謎の美少女・冷堂紅葉が転校してきた高校二年生の夏の日、クラスメイトが体育館で殺された。密室殺人だった。
「私たちで事件を解決しましょう、天内くん」
 文芸部に所属する俺・天内晴麻は、なぜか転校生の彼女に事件の調査を依頼される。
――ミステリ小説の主人公みたいだ、と俺は思った。
 そして冷堂も殺された――はずだった。誰にも解かれることのない究極の密室で。
「私を殺した犯人を見つけて下さいね――探偵さん」
「……冷堂の方が俺なんかよりよっぽど探偵らしいよ」
 不死探偵と“普通”の相棒。奇妙な二人は時に推理し、時に死にかけながら真相に迫っていく。
 再現不可能な殺人事件に挑む学園ミステリー、開幕――!

不死探偵・冷堂紅葉 01.君とのキスは密室で

 京都のボロアパートに住む冴えない大学生・相楽創平。彼の家の隣には、やたらと目立つ美人の女子大生が住んでいる。同じゼミ所属のキラキラオシャレ女子・七瀬晴子。創平の高校の同級生である彼女には、創平だけが知る秘密があった。それは――大学デビューに成功したすっぴん地味女だということ。
「好きでやってるんだけど。でも、たまに申し訳なくなる。本当のわたしはこんなんじゃないのになあって」
 秘密を共有するうちに自然と距離が近づいていく二人。しかし、文化祭で大事件が起きて――?
 ありのままではいられない? 冴えない地味男と養殖キラキラ女、等身大の二人の青春ラブストーリー!

ビューティフルワールド

 地図にも載らない部外者立ち入り禁止の埋め立て島に存在する特殊職業訓練学校・紫蘭学園。そこは行き場を失くした訳ありの少年少女が集められる防衛省特殊作戦軍の秘匿組織であった。
 潤は付き従うマスターの護衛役として、海外でのテロ鎮圧作戦に加わっていた。手際の悪い上層部に業を煮やして単独でテロを鎮圧するが、その結果として紫蘭学園への左遷を言い渡されてしまう。
「オーダーとあらば、戦場だろうと学園だろうと何処へだって行ってやる。それが一介の道具であるオレの役割だ」
 そんな彼の前に待ち受けていたのは、腕は確かだが性格に一癖も二癖もある少女たちで――。
 最強のエージェント×問題児少女たちが送る、新時代の学園ヒロイックアクション! ここに開幕!

路地裏のシアンエラン

やっぱり恋愛・青春・学園は強い!

私のイメージですが、最近は特に青春恋愛モノが強い気がします。もっと言うと、ポスターになった時に若い男女のイラストがあって、手書き文字でタイトルが書いてありそうなタイプ。出版社として、そこら辺の読者層を引き込みたいのかなーと感じています。

あと、異世界ファンタジーが 『ドラゴンズロアの魔法使い~竜に育てられた女の子~』しかなかったことに驚きです。過去の回に比べると少ないですね。
公募作品が毎回同じモノなんてことはないので、異世界ファンタジーが下火かどうかは正直わかりませんが、青春はやはり王道です。


感想の感想

読んでいて「うっ」となることが多々ありました。

ツイートを見て感じたのは、キャラクターは大切ということ。  
恋愛モノで、『ヒロインの可愛さを序盤から~』というツイートがありましたが、要するに読者の好きになる(応援したくなる)人物であれば読み進めてくれる率が高くなるということ。なるほど。好きな俳優さんが出てくるドラマなら、とりあえず見るのはよくあることです。

あとはハッピーエンド適度な明るさ
個人的には不幸にカタルシスを感じてしまうタイプなので、結構暗めの話を書いてしまうのですが、どうせ読むならハッピーエンドが良いとは思います。自分の好きな人には報われて欲しいですもんね。私は辛そうな顔をしているイケメンが癖なのですが、Forever 不幸は望んでいません。  

感想を読んだ感想で胸に残ったことを作品に生かせるかはわかりませんが、今回の記事を書くのはとにかく楽しかったです。

以下、今回見ていったツイート一覧です。
こういう取り組みは応募者は嬉しいでしょうし、GA文庫——推せる。


全18ツイート一覧

分析のベン図では、上のツイートから順番に番号を振りました。分類間違っていたらごめんなさい!

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