本当に見たいのはそれじゃなくて

人生ゲームというものを1度だけやったことがある。大学生のときのことだ。
どんな内容だったかは全く記憶にないのだけれど、当時の日記にはこう書いてある。「最後のほうになると、行ったり来たりしながら借金が増えていくばっかり。なるほどこれが人生ゲームなのか」。
そうだったか。ゲームの世界って意外と厳しかったんだな。なんてことをしみじみ思う。

さて、どうして急にこんな話を始めたのか。それは、最近の人生ゲームについてちょっと耳にしたから。
どうやらそのゲーム、これまでのものとは一味違うらしいのだ。
令和に入ってから登場した人生ゲーム。そこで競うのはお金ではなく、「SNSのフォロワー数」なのだという。

なんてリアルなんだろう、と思う。
確かに今フォロワー数は、お金と同じくらい大きな意味を持つものだ。いやもしかしたらお金以上かもしれない。
でも何となく、モヤッとする。そう感じるのは私だけだろうか…。

SNSなどやっていると、時々悪魔がささやきかけてくる。
「数字をもっと増やすのよ!数字が伸びればうれしいでしょ?ね、そうでしょ??」
その言葉に惑わされ、私は数字を追いかける。とにかく数字を意識する。増減を繰り返す数字を眺めて一喜一憂する。
「危ない」。もう1人の自分が警告する。

見た目なんてそれほど意識しない。私は基本的にそう思っている。
それなのに、気づけば目に見える数字ばかりに気を取られているのだ。
本当に見なければいけないのは数字ではないはずなのに。その向こうにいる「人」であるはずなのに……。

たくさんの人に自分の投稿を見てもらえたらうれしい。
自分の投稿を好きだと思ってくれる人が増えたらうれしい。
でもだからと言って、数字が増えればいいというわけじゃない。
数字のことだけ考えていたら、自分らしい発信はできなくなるかもしれない。フォロワーさんとのつながりは薄いものになるかもしれない。
数字が増えることで見た感じは人気者になっても、そういう状態だったら意味がない。
大事なのは、見た目で簡単にはわからない「本質(最近この言葉がお気に入り)」だと思うのだ。
だから私は人を見たい。つながってくれる1人ひとりの存在を、見たい。

と、そんな気持ちを呼び起こしてくれた令和版人生ゲーム。
やってみたら意外とはまるのだろうか。
ゲームの中くらい、あえて思い切り数字を意識してみるのも楽しいのだろうか。
機会があれば試してみたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?